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最初から世界を狙う?!〜ASEAN展開を考えているスタートアップに今伝えたいこと〜

BAMBOO INCUBATORは、スタートアップ起業家の情報格差解消を目指し、起業家、エンジェル投資家、弁護士、弁理士、会計士、税理士、司法書士及び社労士で運営されている任意団体です。

このnoteでは、当会が開催している無料ウェビナーのレポートを投稿していきます。

今回は、2021.6.24に開催された「最初から世界を狙う?!〜ASEAN展開を考えているスタートアップに今伝えたいこと〜」のレポートです。
https://peatix.com/event/1903357/view

「スタートアップをやるからには世界を狙いたいけど、どういった事業フェーズになったら進出を考えるべきなの?いつから海外展開をすべきなの?」
「日本人が世界を狙うスタートアップを目指す場合、具体的にどの地域に展開すべき?」
「ウェブサービスを展開するスタートアップが海外展開をするときに、特許や商標はどうやって守る?」
「そもそも誰に相談すればいい?」

こんな悩みをお抱えの起業家の皆さん、ぜひご一読ください。
今回は、ベトナムに長く在住するエンジェル投資家であり、弁護士でもある、工藤拓人先生に主にお話しいただきました。


登壇者紹介(50音順)

糸野慎一郎(司法書士、行政書士):とくに中国人経営者のビザ取得、法人設立を得意とする。
工藤拓人(エンジェル投資家、弁護士):ベトナム在住。アジア圏のスタートアップ支援専門家ネットワークLuatsu(ルーツ) 創業。やまがた特命観光・つや姫大使。
齊藤 整(弁理士):商標を専門とする。神戸芸術工科大学非常勤講師。日本商標協会 関西支部 幹事。
千葉直愛(弁護士):シード、アーリー段階の起業家・スタートアップ支援を得意とする。法律文書ジェネレーター KIYAC 代表。
廣瀬智一(起業家):大企業やスタートアップで様々な経営企画や事業開発を経験。とくにメディカル/ヘルスケア領域を得意とする。


海外展開の魅力?

海外展開には、まずはなんといってもマーケットとしての魅力があります。当たり前の話ですが、日本のマーケットだけを効力する場合のスケールの上限と、東南アジアを加えた場合のそれとではまったく規模が変わってきます。

また、マーケットは日本でも、後述するコストの観点で海外進出することもあります。製造・開発拠点として人件費が日本よりも安いベトナムに工場を構えるなどが典型例です。

ほかにも、「日本にあるビジネスが海外に「ない」 というチャンス」や「日本ではできないビジネス(競合・規制)が海外で「できる」チャンス」があります。

海外を視野に入れるだけで、可能性の「幅」が格段に変わってくることを、まずは知ってください。

なお、海外に「拠点」を置くことに躊躇する方も多いと思いますが、一口に海外進出といっても、様々な方法があることは知識として知っておくべきです。具体的には、以下のようないくつかの方法があります。当たり前ですがどの方法を選択するかによってハードルやコストはまったく変わってきます。

・拠点はつくらずに日本から輸出・サービス展開
・拠点・出向先を作って代理店ビジネスをメインに
・拠点を作って現地で開発・製造や販売まで行う


海外進出に先立って考えておくべきこと

海外進出をするといっても、失敗した場合のコストは大きなものになります。先立って、以下のことは必ず言語化しておきましょう。

・どういう目的で展開するのか?
・事業計画上の位置づけ(コストが大きければ投資家への説明も必要)
・マーケットの魅力とコスト
・自社のサービス・製品と、対象のマーケットの適合性


どの国・地域を攻めるべきか?

どの国・地域を攻めるかを考えるにあたっては、進出目的との適合性に加え、「マーケット」と「コスト」を考えることが大切です。「マーケット」については、以下のことを考えてみましょう。

・マーケットサイズ
・依存マーケットを攻めることができるのか?
・競合は?今後伸びるマーケットなのか?
・自社の製品・サービスとの適合性があるのか

コストについては、IT系スタートアップの場合、人件費がメインになります。ASEAN諸国でも人件費は年々上昇傾向にありますので、最新の賃金動向を確認しましょう。


海外展開について誰に相談すべきか?

代表的な相談窓口としてJETROがあります。その他、民間のコンサルタントなどに相談する場合は、「実際に現地で長期間業務・生活をしているかどうか」をひとつのものさしにして相談相手を選ぶのが良いでしょう。いまはインターネットで情報が手に入る時代ですが、やはり現地を知っているかどうかでアドバイスのレベルはまったく異なってきます。以下代表的な民間の相談相手を属性別に概説します。

金融機関
金融機関への相談は、メガバンクレベルであれば現地に支部があり手厚くサポートしてくれるところもあります。地銀・信金も、ベトナムなどではかなり海外進出に取り組んできています。ただ、詳しい方がいるのは本店の海外事業部ということが多いので、スタートアップとしては簡単に相談しづらいかもしれません。

士業
海外での規制を把握しておくことは進出の大前提となります。海外に事務所を構えている日本の法律事務所や会計事務所は、現在は相当数存在しますので、積極的に活用しましょう。

投資家、VC
日本のVCはここ数年、相当数が増えていますが、実は海外にしっかり展開しているVCは多くはありません。HPなどを確認して、海外展開の支援実績がある投資家を探しましょう。


知的財産権に関する補助制度

なお、中小企業等の戦略的な外国出願を保身するため、国内出願(特許、実用新案、意匠、商標)と同内容の外国出願にかかる費用の半額を助成する制度が存在します。詳しくは特許庁のウェブサイトなどで確認してください。


いきなり海外で起業するべきか?

結論として、海外事業でスタートアップを経営するとしても、日本を親会社にすることを推奨しています。日本人であれば、日本での調達(エクイティやデット、補助金)などが圧倒的にやりやすいためです。
そのため、海外での事業でも日本に親会社を作ってファイナンスは日本側で行い、事業会社としての子会社を現地に作るという方法がよいでしょう。
アジアですと、シンガポールにホールディングスを作る方も多いですが、海外での調達や管理になれるまでは向かないことも多いので設立前にしっかり検討してください。


まとめ

海外はマーケットとしてはとても魅力的です。
日本では、言語の壁もあり、最初から海外展開を視野に入れて起業するスタートアップはまだまだ少ない印象ですが、その原因の大きな部分は実は単純な情報格差ではないかと思っています。
スタートアップが増えている昨今、日本のマーケットだけではなく、海外のマーケットを正面から視野にいれた起業家には、付加価値が認められることも増えてくるでしょう。


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https://peatix.com/group/7504919

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執筆協力
billage OSAKA
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