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もうなんにもできなくなったからさ

毎日、この時間に仕事をするようになった。正確に言うと、この時間にならないと何もできなくなってしまった。

生活リズムは完全に”終わり”を迎えている。

19時くらいまでグズグズ寝続け、風呂に入り、軽い食事や家事を済ませるとだいたい22時くらいになる。ひどいときはそこからまた仮眠し、0時くらいから仕事に取り掛かる。缶ビールを飲みながらダラダラ原稿を書いて、睡眠薬を飲んで朝7時ぐらいに眠る。

生活リズムが崩壊している人間は、若かろうとなんだろうと突然死するリスクが跳ね上がるという。そのときはそのときだ。むしろ昼間、あんな疲労感を我慢しながら仕事をしていたら、それこそストレスで死ぬ。

0時にパソコンを開いてから、30分くらい何もできない日もある。7時間も作業しておいて、数百文字しか書けていないこともある。

一日中頭がぼーっとしていて、とにかく怠い。難しいことは何も考えられない。重要な連絡すら返せない。宛名だけを書き換えてコピペで大量送信しているであろう営業のメールは即閉じて無視している。「今日は気圧が低いからダメなのかなぁ」なんて言い訳を、日々自分に言い聞かせている。

この生活を「堕落」と呼ばずして、なんと言おうか。

起きているとネガティブなことばかり考えてしまうから、とにかく現実逃避のために眠っている。それなのに、毎日夢の中で過去のトラウマを再体験して、「助けて」とか「やめて」とか叫びながら起きる。正直、こんな夢を見続けるくらいなら死んだ方がマシとすら思う。

7月上旬から8月末ごろまで、取引先に「少し休みます」と連絡をし、休養をとった。フリーランスなので収入が途絶えることは自殺行為に等しいと思うが、もう限界だった。「これで仕事がなくなるなら、自分はそれまでの人間だったのだからどうせ早かれ遅かれ淘汰されるだけだろう」と、半ば自暴自棄になっていたことも否定できない。それくらいもう限界だった。

2ヵ月休んでみてわかったことは、「2ヵ月くらいで回復するようならそもそも何も困っていない」といった薄々気付いていた事実だった。どうしても完全休養というわけにはいかず、常にちょこちょこ仕事をしていたのが良くなかったのかもしれない。

それでも自分にとって救いになったのは、連載をさせてもらっている媒体や取引先の担当者の方々が、「いつまででも待ちます、ゆっくり休んでください」と言ってくれたことだった。多分、彼ら彼女らには一生頭が上がらないと思う。それくらい、弱り切った自分にとってはありがたかった。

生活のこともあるのでいつまでも休んでいるわけにもいかず、一応9月から復帰した。今はまだ、リハビリ期間だ。本調子でないのも、リハビリ中だから仕方がない。

なんにもできなくなったから、はじめて見えたものもある。

たとえオンラインだけでも人と繋がっていることの大切さとか、「元気にしてる?」と連絡をとりあえる友人に助けられていることとか、こうして日記を綴ろうと思うほど、1日1日をかけがえのないものだと思うようになったこととか。

缶ビールを飲んでいるから、なにを言っているのかわからないかもしれない。でも日記なんてこんなもんだから、多分これでいいんだと思う。自分を取り繕って、完璧に形を整えてから人前にさらさなくても、未完成でももういいなと思う。自分に期待をするのはもうやめる。

もうなんにもできなくなったからさ。



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