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群発頭痛・応用編(発作の「予兆」を感じたら)


 今回は、今までお話してきた群発頭痛についての補足的内容です。
 群発頭痛には「予兆」と呼ばれるものがあります。感じる人もいれば感じない人もおり、また余裕がないと感じられないことも多いものです。
 医学的に「アロディニア」と呼ばれる予兆は、ひとことで言えば「悪い予感がする」もの。ゾワゾワする、背筋に緊張が走る、汗ばんでくる、息苦しさを感じる、呼吸が荒くなる……それらのあとに、高確率で群発頭痛が襲ってきます。僕はこれを個人的なLv1~Lv5に分けた5段階の痛みのうち「Lv1」にあてはめています。

 参考になるかもしれませんので、その「予兆の種類」と「5段階のレベルごとの痛み」については、過去の記事をご覧ください。
  ↓
『群発頭痛・応用編(患者さんに向けて)』
https://note.com/balzax/n/n7cf318a27705


 その「予兆」が訪れたら、どうしていますか?
 最善の手段としては「点鼻薬を使う」または「自己注射する」なのでしょうが、それらは保険が適応されても値段が張ります。かといって錠剤のイミグランを服用しても消化が間に合わず、激痛を待つばかりでしょう。点鼻薬や自己注射でも、痛みが加速してあっという間に激痛に発展することも多いはずです。
 その「予兆」の段階で以下の応急処置をおこなうと、痛みの程度が緩和されたり、加速を緩めて時間稼ぎすることができる可能性があります。あるいは寛解期に入る直前の弱まっている痛みであれば、そのまま消失することもあります。
 ただし、あくまで応急処置。消失しそうになければ一秒のためらいもなく、点鼻薬あるいは自己注射を使用することが肝要です。


・まずは落ち着く
 予兆が訪れると、その後の激痛をイメージしてどうしても慌ててしまうもの。まず落ち着いて痛みの程度を認識し、自分の過去の経験から対処作を探り出します。この時点で痛みの増幅が強く対処できないと感じたら、すぐに点鼻薬や自己注射を選びましょう。

・メガネをはずす
 視力がよくない方であれば、メガネをはずしましょう。あくまで自分の体感ですが、屈折したレンズで世界を見ていると視力に負担がかかり、視神経は脳や痛みの神経と直結しているので、眼周辺に訪れる群発頭痛においては痛みに変化するように感じます。裸眼になるだけで眼から受けるダメージを軽減できる、というより、実際に視界が楽になります。おそらく、メガネ使用者の方は真っ先にやっていると思いますが……。

・深呼吸
 予兆を感じると、発作に備えて知らず知らずのうちに呼吸が浅くなります。個人的には、脳が酸素不足であるように感じることも多いです。そこで意識的に深く、酸素量を増やすイメージで呼吸を整えます。深い呼吸のサイクルをくりかえすことで、たとえば曲のテンポを落として再生しているような感じで、発作を遅らせているイメージが湧くかもしれません。

・外の空気を吸う
 群発頭痛はプラセボ反応が無効化な、リアルな痛み。そのため気分で痛みが弱まるなんてことはないはずですが、不思議なことに、閉じた部屋の中より開放的な外の空気を吸ったほうが、これから訪れる痛みを抑圧できるように感じます。おそらく外で呼吸していることの開放感が深い呼吸を可能にする、ということなのでしょうが、外気に触れることも呼吸の深さに作用しているのでしょう。可能であれば外に出て、視野を広げるのもいいでしょう。

・頭皮マッサージとツボ押し
 別項で触れた「頭がむくむ」ことへの対処。群発期真っ只中では時間稼ぎですが、寛解期直前の偏頭痛に近い軽度の痛みであれば、これと深呼吸だけで消失することもあります。実際にマッサージするだけで明らかに頭が小さくなるのは、血流など何らかの効果がある証拠でしょう。

・冷やす
 痛み始めてから冷やす人は多いと思いますが、予兆の時点で痛むであろう部分に氷嚢をすでに当ててしまう。敵や洪水が来る前に先んじて土のうを積むようなイメージです。

・冷たい水を飲む
 あらかじめ冷蔵庫で水を冷やしておいて、動く余裕があればそれを飲みましょう。体温上はそうでなくとも、体感的に患部や前身が熱くなる群発頭痛に備え、体温を下げておくイメージです。または水分を摂取することで血液を循環させるイメージ。痛みを早く追い出すイメージです。

・甘いものを食べる
 甘味はベータ・エンドルフィンを分泌させて幸福感をもたらします。咀嚼する余裕があれば、あらかじめ脳にご褒美を与えておくのもいいかもしれません。直接的に効果があるわけでもなく、確たることは言えませんが、幸福で痛みを相殺または軽減するイメージです。患者さんならわかると思いますが、イメージを作って耐久力を備えるぐらいしか対抗手段がないので……。


……以上、僕が「予兆」を感じたらおこなっている動作です。偏頭痛に近い軽度の痛みになった頃には、イミグランを使わずこれらで痛みが消失することもよくありました。
 ただし何度も書いていますが、そこそこで見切りをつけて点鼻薬や自己注射に頼りましょう。予兆であがいて、そのまま我慢して激痛に発展するのは逆効果です。
 これらはあくまで「応急処置」であり「緊急処置」。その目的は「時間を稼ぐ」こと。こうした動作で軽減した場合、あるいは痛みのレベルが上昇するまでの時間が伸ばせた場合、やがて来る激痛に備えて氷嚢や横になるスペース、エアコンの準備などができるかもしれません。
 または程度が弱い痛みの場合、そのまま消失することもあります。しかし「消えたらラッキー」ぐらいに考えて、痛みが増幅する前提で行動したほうが無難です。

 何の役にも立っていないかも知れませんが、こうした「個人の対処法」も語られていない群発頭痛の側面。
 群発頭痛患者は、きっとこんな情報でも必要なはず。少しでも参考になれば、幸いです。

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