見出し画像

階段の手すりは持つべきか -転倒リスクと感染リスク-

 私の勤務先では事務所内で階段を昇降する際、手すりを持つことが推奨されている。転倒による事故のリスクを抑えることが目的だ。一方、不特定多数の人が手すりを持つことで感染症のリスクは高まる。転倒労災とコロナ感染、どちらのリスクを許容するかが論点となる。

 リスクを比較する際、リスクの大きさを決めなければならない。経産省のリスクアセスメント・ハンドブックによれば、リスクの大きさは「危害の程度×発生頻度」で評価できる。

 まず「階段を踏み外して手をついた際、手首を折った」というケースでリスクの大きさを評価してみる。危害の程度は重症となる。発生頻度に関して、「階段を踏み外す」だけならぼちぼちの頻度だろう。ただし、「階段を踏み外して手首を折る」頻度は滅多に無いと思われる。このケースのリスクの大きさは「重症×滅多に無い」と評価しておこう。

 次に「階段の手すりを介してコロナウイルスに感染する」のケースで考える。危害の程度は重症とする。発生頻度の評価は難しく、どれくらいの確率で発生し得るのか、専門家でも評価できないだろう。リスクの大きさとしては「重症×未知数」になる。

 さて、「重症×滅多に無い」と「重症×未知数」の比較になるが、未知数要素があるので単純な比較はできない。会社としては上層部がどう判断するか次第だ。個人的には感染リスクの方が大きいと思うので、手すりは持たなくて良いと思う。階段は気を付けて昇降しましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?