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ソサイチについて考える

ソサイチとは

ソサイチの語源は「Football Society」であり、社交的サッカーを含意している。サッカーとの大きな違いは7人制であること、ローバウンドボールを使うこと、コートがサッカーの約3分の1であることなど様々ある。サッカーと比べて参加人数が少なく、コートも狭いため戦術の幅が狭く、個人の力量に依存する競技とも考えられるが、オフサイドが採用されていない点や交代が無制限である点からも工夫次第で競技としての深みが出てくる。

戦術

サッカーでも戦術を考える際、まず出てくるのがフォーメーションだが、交代自由性により、実質的に体力的制限がなく、コートも狭い点から位置の入れ替わりが激しいため、初期位置や固定的位置の概念があまり意味をなさない。よって、ポジションごとの役割について分析するよりもスペースの使い方、ボールの位置、選手配置ごとによる狙いについて考えることがより有益と考えられる。


サッカーにおけるトレンドとしても偽SB・CBを用いて中盤の枚数を増やすことや4-4-2のブロック守備は選手配置を重視するマンマークに重点を置いた考え方というよりもゾーンの活用の仕方、選手同士の距離感に重点を置いた考え方であるため、サッカーからしても新しい話ではない。



守備

守備の仕方は大きくマンマークとゾーンに分けられる。当然、どちらかに振り切って守備することはされず、ゴールにつながる危険なエリアをカバーしながらボール保持者、価値の高いエリアにいる相手選手をマークする。先ほども述べた通り、ソサイチではポジション交換が非常にしやすいため、特に相手が流動的に動く時、マンマークは効率が悪くなる。反対に相手がポジションから動かなければ限られたコートサイズと参加人数から効果的なプレスが可能となる。


ソサイチにおけるマンマーク

ソサイチコートは参加人数に対してそれほど大きくない(サッカーでの密度を100とすればソサイチは約570)。よって相手選手までの距離が近く、プレスに行きやすいと言える。しかし、サッカーと大きく異なる点としてオフサイドがないため、守備が前のめりになったタイミングで価値の高いゴールに近いスペースが使われやすい。また、守備側のスペースの制限がプレスしかないため、コートを目一杯使われることが可能である。よってソサイチではサッカーほど簡単に相手に制限をかけられるとは限らない。さらにはコートが狭い分、ゴールまでの距離が近いため、マークのずれが相手のシュート、最悪の場合ゴールにつながりやすい。典型的なマンマークに対する対処法はボールを最前線まで蹴り、プレスにきた相手を無効化することである。特にソサイチの場合、前線に大柄の選手、レベルの高い選手をおいておけば自陣ゴール前での1対1に守備が収束されるため、理想的な守備とは言えない。


ハイプレス

しかし、得点が必要な場面や、相手DFが狙い目となるときなど、ハイプレスをかけてボールを奪いにいくべき場面も存在するだろう。


ソサイチにおけるブロック守備

ソサイチコートの横幅は25-35mであり、サッカーの大体半分ほどである。この横幅を守るには2でも可能だが3枚であると安心といったところ。サッカーでいう4バックが2枚、5バックが3枚での守備に当たるだろう。縦幅は45-55m、これもサッカーの大体半分といったところ。仮に自陣コートに引く守備を考えると守備はオフサイドがないことを加味してもサッカーとの比較から2ラインで十分であると言える。よってブロック守備を組む場合、フォーメンションで言えば3-3が最適解として浮かび上がってくる。3-3はおそらくサッカーでいう4-4-2に非常に似ており、選手間の距離が均一であり、スペースの使い方がわかりやすいため、選手間の繋がりが強く、守備範囲においては強力なプレスをかけることが可能である。選手感の繋がりが強いことはすなわちカバーや1vs2の状況を作りやすいことを意味する。3-3のブロック守備を行った場合、どういった状況が守備しにくくなるのか。これもまたオフサイドがないことによる守備範囲の制限の難しさから守備ラインの後ろを突かれた時と考えられる。


では、相手にボール保持されることを嫌い、前線にはプレスをかけ、後方は制限されたエリアを守るサッカーのハイプレスのような守備は可能なのだろうか。結論から言うと可能ではあるがリスクがサッカー以上に伴うといったところだろう。横幅が25-35mほどしかないため、ダイレクトのインサイドパスでも十分届く距離である。よって相手CBに制限をかけ、サイドにボールを押し込んだとしても比較的簡単に逆サイドまでボールを移動できる。さらには片方のサイドにハイプレスをかけた状態から逆サイドに振られた時、コートの大きさから相手はおそらくシュートまで運べてしまうだろう。一方で制限をかけた時に逃げられない程のプレスをかけられれば奪取は可能だろう。


Cfスペースの価値から考えた守備陣形

スペースの価値を考えるとコート中央の両脇に選手を配置する必要性は自陣の他のスペースと比べて少ないとわかる。よって最も守るべきゴール前に2人、次に価値の高いスペースに一人ずつ配置する4-2のような守備、横幅は3人で守り切れる前提やスライドすることも考えて、3-2-1という配置も合理的と言える。


攻撃

サッカーでも同じだが、ゴールを決めるチャンスが生まれれば攻撃の仕方は極論なんでも良い。そして、攻撃側がボールの主導権を持つ攻撃有利な競技である。冒頭でも述べたが、ソサイチではポジション交換が容易である。初期位置としてのフォーメンションを考えることによってスペースの活用法が考えやすくなるが同じ場所にとどまり続けることはサッカー以上に捕まりやすい。


スペースの価値

ソサイチコートを9分割した時、最も価値の高いスペースは相手ゴール前のエリアである。よって、攻撃チームはその相手ゴール前のエリアにボールと人を投資することがゴール期待値を高めため、ひとまずの狙いとなる。次に価値の高いスペースは相手ゴール前の横のスペース、コート真ん中のスペースとなるだろう。


よって流動的に動くと単にいっても価値の高いスペースに動くことが効率的と言える。とはいっても相手ゴール前にボールと人を送り込み続ける攻撃は守備側にとっても同じ場所に投資をすれば良いだけになり、守備からすれば守りやすい展開となってしまう。そこでサッカー同様、価値の落ちるスペースを使いながら守備の穴が生まれたタイミングで価値の高いスペースを攻撃することを考える。


利用すべき配置

攻撃側は相手選手を価値の高いスペースから引き出すと同時にその空いた価値の高いスペースに人とボールを投資してゴールを狙いたい。ボールを自陣で保持している状況を考えてみる。まず、横幅を利用するため、両サイドに人を配置する。次に縦幅を利用するため、相手ゴール前、もしくは相手DF裏に人を配置する。すると、残り2選手の配置を自由に決めることができ、価値の高い順から相手ゴール前、コート中央に配置するのが良さそうだ。しかし、この静的な配置だけでは相手もマークを捕まえやすく、さらにはMFの列に4選手配置している状況のため、相手はより少ない人数でこの横幅を守れてしまい、他のマッチアップで数的不利を作られてしまう可能性が高い。


ではこの配置の修正を考えよう。まず考えられる修正はコート中央にいる選手の動きである。相手がマンマークを採用していると仮定した場合、下がってボールを受けにいく動きは相手の中央の密集度を下げること、ボールを失った時の守備の人数の増加が期待できる一方、自チームの攻撃参加人数を減らすことになる。反対に中央の選手の位置を上げた場合、中央の密集度の低下を期待できることは同じだが守備時の人数不足につながる可能は高まる。そこで守備のリスクを減らすために他の選手の位置を下げることを考えてみると距離から左右の選手を下げることが考えられる。しかし、サイドの選手は幅を取ることを役割としていたため、今度は幅を取ることを考えなければならない。中央の選手がサイドに移ることが考えられるがこれでは単なるポジションチェンジとなり、対応されやすい。よって考えられる移動は前線にいる選手が外に開いてゴール横のスペースを利用して幅を担保する動きである。すると今度は相手ゴール前の圧力が弱まるため、中盤の選手がそこを利用することが考えられる。これを一連の動きとして見てみるとDFと片方のサイドの2選手以外の円型のローテーションと認識できる。これを先述の一つとするならばソサイチで前に進むための有効な策として提供したい。


Cf DF2枚でのボール保持について考える

DF2枚を残してボール保持を試みる場合、二列目より前の枚数が少なくなり、相手が前線1枚のみのプレスでかける場合特に自FWのところで数的不利が発生しやすい。一方でGKも含めればGKとDFでFW一枚に対し三角形でポゼッションできるため、ボール保持時間は伸ばしやすいと考えられる。


前提:ソサイチと戦術

サッカーでもそうだが、戦術は考える枠組みである。複雑な競技に再現性のある事象を提供し、試合を有利にすることが目的といえよう。前述してあるがソサイチは密度が高い競技といえ、予測不可能性が高い競技と言える。サッカー以上に細かい差が反映される競技ともいえよう。つまり、上記で述べた“戦術”を使わずとも個人の高いといった方法でもゴールに結びつけることが当然可能である。




2023年11月 未完

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