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哲学者とマトリックスに見る現実論(マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)より)

 おはこんばんちは!
どうもエロ界の王とレッドリボン軍ことバーテンの貴さんです。

 最近やることの幅がどんどん増えて改めて「自分が自分をやるプロ」という感じになってきて面白いです。そんなときになんだか職業ってなんやろなと概念とか哲学的な感じになったりします。学問として掘り下げるよりは実践に重きを置いているのでそこまで時間を費やしているわけではないですが、興味を持った本は読んだりすることもあります。本稿で述べる(マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)より)もそのひとつです。マイケル・サンデル教授の(これからの「正義」のはなしをしよう)も哲学の本としては比較的ライトなので読みました。哲学には明るくないのですが。マルクス・ガブリエル教授はマイケル・サンデル教授以来のポップな哲学者だなという印象です。また彼がドイツ人というのも個人的にとても興味深いところでした。というわけで書評みたいなシリーズということなんですが、ネタバレが嫌な人は書籍を先に読んでから読んでみてください。


哲学界のロックスター

 今回読んだ書籍では主にNHKの企画としてのインタビュー形式だったのでほんの触りくらいの感じだったのですが、はじめてマルクス・ガブリエルに触れた僕が彼の自分で書いた書籍を読んでみたいと思わせるのには十分な内容でした。

 そもそも僕の哲学者へのイメージというのは「暇を持て余した金持ち」です。今でいうところのニートとか高等遊民です。人によっては悪いイメージを持つかもしれませんがそんなことはないです。暇があるから考えることができるということなのでそれでよいのです。ただの役割分担です。ただ現代の哲学者は大変だなというイメージを持っています。哲学に限らずアカデミックな舞台に立っている人は大変だろうなという感じです。過去も頭に入れておかなければならないし現在も新しいものがどんどん生み出され自分でも論文を書いたり研究をしたり学生の相手もしなければならない。単純に凄いなと感じます。

 今回の書籍の中でマルクス・ガブリエルは日本を旅しています。それだけでも教授っぽさは薄れるのですが、なんだか爽やかだなという印象を抱かせます。基本的にはなんだか回りくどい哲学的な語り口なのですがどこか詩的。とはいえ抽象に寄りすぎることはないというバランス感覚も感じさせる所謂賢い人だなというのが言葉の端々に感じることができた。

 マルクス・ガブリエルはドイツ人なんですけどドイツ人への興味もこの書籍を読むことで深まりました。彼が語るところによるとアメリカ人にとっての聖書がドイツ人にとっては哲学、ドイツ自体が統一してからの歴史が浅いので相反して思考の共有が進んでいるという二点が個人的には興味深かった。

マルクス・ガブリエルが提唱する「新実在論」については深く紹介されていなかったが彼が日本を旅していく中で見た日本に対する感想にその思想や思考が滲み出ているような気がした。東京を見た時に人間のためにシステムがあるのではなくシステムのために人間がいる、つまりはシンギュラリティは30年前から始まっていたという日本人が薄々感じていたことをあっさり言いてしまうとこはかなり面白い。

 本書の中でロボットの研究で有名な石黒浩教授との対談があるのですが、これがまたよい。日本人が勘違いしがちな議論が議論として展開されていて面白い。議論を勝ち負けで考えている人こそ読んだ方がいいのではないかなと思いました。そんな中で面白かったのが日本人とドイツ人のアンドロイドに対する考え方の違いです。日本人がロボットやアンドロイド、ヒューマノイドに対して親和性を感じるのに対してドイツ人は特にヒューマノイドに対しては理解ができないまたは理解が難しいようです。ここらへんの答え合わせは是非自分の眼で呼んで確認してみることをお勧めします。


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