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最後の晩餐で何食べる?


「いらっしゃい!」

「こんちは〜」

「今日はめずらしい時間ですね」

「あぁ、お腹すいちゃってさ、何か食べれる?」

「もちろん、何でも作りますよ」

「と言っても、暑いからあんまり食欲なくてね〜」

「今頃夏の疲れも出てくる頃でしょうしね〜」

「なんかあんまり最近これ食べたい!ってのがなくてさ」

「そうですね〜、今だったら何ですかね〜?」
「ほら、最後の晩餐で何食べる?ってあるじゃないですか。
だったら何を食べます?」

「食欲なくても一番食べたいものならってことでしょ?」

「そうです、そうです」

「う〜ん、何かなぁ?」
「マスターは何なの?最後の晩餐」

「僕は母親の作る肉じゃがですね!それ一択です」

「ふ〜ん、普通だな 笑」

「みんなだいたいそんなとこじゃないですか〜? 笑」

「そうかもね。でも、本当に死ぬ前最後の食事ってことなわけでしょ?」
「きっと分かれるよね、二つにさ」

「2択になるってことですか?」

「そう。マスターのようにこの人生で食べた一番美味しいと感じるものを
もう一度最後に食べたいっていう人と、これまで手の出なかった最高級の料理を
食べてみたいって人にね」

「なるほど、そうかもですね!」

「それにさ、これまで食べた中でって言っても、例えば最高と思っていたお店が
今はもう店閉じちゃってて食べられない、なんてものもあるじゃない。
それは食べたいよね」

「そんなお店五万とありますよね、きっと。店主が亡くなってたりですね」

「僕が最後に食べたいのはそんなものかな。料理人がいなくて、もう二度と
食べることの出来ないもの」
「個人的にそういうお店がなぜかたくさんあるんだよ」

「どんなジャンルですか?」

「色々だよ。ラーメン、トンカツ、お好み焼き、ハンバーグ、お肉屋の惣菜、
蕎麦屋のカレーとかね」
「似たものはたくさんあっても、どれももう再び味わうことの出来ないものばかりで本当に残念なんだ」

「味の再現って難しいですもんね」

「そうなんだ。料理の味の再現って不可能に近い」

「ところで、お腹いっぱいにして亡くなりたいですか?それとも八分目で?」

「これから死ぬのに八分目にするって意味あるの? 笑」

「太ってあの世に行くの嫌じゃないですか〜 笑」

「誰の目を気にしとるんじゃ? 笑」

                 「笑 コーヒー入りましたよ」

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