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生活の建築知識.91

おはようございます。

それぞれ家に対する価値観が異なる現代において、私も個人的に思うことがあります。
15年くらい前の話にはなりますが、学生の頃は漠然と戸建住宅こそ最終的には最適な住まい方が叶うものと信じて疑いませんでした。
建築を学ぶほどにその思いは強まる一方でしたが、今考えれば非常に頭でっかちな思想になっていたのだと思います。
今の私が誰かに最適な住まいは何かを助言するのであれば、何か特定の住まい方に固執しない方が良いということでしょう。
さらに人によって、時代によってその在り方も変わることを前提とした方が良いということも言えるでしょう。
戸建も分譲マンションも賃貸も最適な住まいとなる可能性があります。
都会暮らしと田舎暮らし、もしくは海外暮らしも含めて選択肢を排除する必要はないでしょう。
どんな選択をしようとも、今は良くても明日にはわかりません。
それほど時代が目まぐるしく変化するということを認識することが大切です。
さらに目まぐるしく変化する時代とどの程度の距離感を保つのかもきっと大切でしょう。
時代の流れに影響されず、田舎でゆっくり過ごすという選択もあります。
しかし、もしかしたら過疎などの問題でインフラが衰退するなど、自身の都合ではないことで生活が難しくなることも考えられるので、個人的にはある程度社会の流れに乗った生活基盤を確保することが滞りなく生活を営めるのではないかと考えます。
※この問題ですら自動運転やドローン技術、電波技術で解決する未来はあると思います。

そんなことを日頃意識していながら、建築というなかなか変化のしようもないものを扱った仕事をしています。
単純なポジショントークをすれば、誰しも理想の住まいをどんどん建ててもらい、もしくは改修であっても最善の状態を維持するための消費行動をしてもらうことが産業としては有難いところではあります。
しかし、時代による生活スタイルの変化・物価の変動・技術の進歩などを考慮すればそう簡単な結論には至らないでしょう。
生活スタイルの変化に注目すれば、やはり極端な場合ホテル生活は合理的な選択と言えるでしょう。
さらに少子高齢化を爆進している日本においては、新築することが経済活動以外ではあまり意味をなしていないとしか言いようがありません。

これらを踏まえて、私なりに建築が多くの方と関わりを持てる物は何かと考え、至ったのが家具です。
家具はある程度の耐久年数があることや、生活の変化がある際に必要に応じて設けられることが多いと思いますので、一定の需要が常にある商品だと思います。
さらに住まいの表面的な機能は家具に依存することも少なくありません。
例えば、空間の大きさに適した家具類は家全体の機能を向上させるでしょう。
動線に不都合が出なかったり、睡眠の質も向上したり、物の出し入れが簡単になったり。
一方で、大きさが適さない家具であると途端に機能的でなくなります。
家の大きさは立地・価格・タイミングによる制約があるため、それほど自由な設定は出来ないことが多いですが、家具は選ぶことが出来ます。
表面的なと言いましたが、反対に潜在的な機能には影響が少ないということです。
例えば、室温の調整には貢献しませんし、セキュリティが向上することも考えにくいでしょう。
さらに災害への耐久性にも関与しませんし、外部との関連も見つけにくいかと思います。
そのような機能はやはり建築という大きい括りで改善する必要がありますが、先ほどの話で全てを自由に設定するのは難しいと思われます。
まとめると、潜在的な機能はあくまでバランスを取って選択することになりますが、表面的な機能は積極的に計画することが出来る領域だと考えます。

みなさんの生活においても、様々な制約は必ずあると思います。
そして生活を改善したいのに制約によってままならないことも少なくないのではないでしょうか?
もちろん私もその1人ではありますが、家具という手段で解決する可能性があることを、是非ともお伝えしたい思いです。
建築に触れる機会を多く持つ方は少ないと思いますし、家具であっても頻繁に意識する物ではないことは想像できますが、生活改善という課題にぶつかった際に、家具という手段をひとつ加えてみるのはいかがでしょうか。

では、また。

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