生活の建築知識.2
おはようございます。
家の中で自分以外の誰もいないのに、どこからかパキッ、パチッ、と聞こえてしまったことはありますか?
子供のころはそんな音に怖がっていましたが、今回はその音がなぜ鳴っているのかを説明していきたいと思います。
ここで説明しているので、当然心霊現象ということではありません。
結論から言ってしまいますが、鳴っているのは家そのものです。
またその家が木造であればより鳴る回数は多いかもしれません。
つまり鳴っている多くの場合は、家の木部が原因です。
木造の住宅以外でも、建築現場では多くの木材を利用します。
木材を利用しない建築物はほとんどないと言っても過言ではありません。
なので、住宅に限らず全ての建築物で音が鳴る可能性があります。
ではなぜ木材を利用すると音が鳴ってしまうのか、それは木材が伸縮を繰り返しているからです。
建築で用いる木材は含水率の基準があります。
構造材で20%以下、造作材で15%以下とされています。
含水率の基準が定められている理由としては、劣化の速度・木材強度に影響があり、また木材形状に変化が出てしまうからです。
どのように形状に変化があるかというと、含水率が上がれば木材は膨らみ、下がれば縮みます。
また木材は節や木目が均一ではなく、木材の各部分により膨らみ方・縮まり方が異なるため、反りや亀裂にもなる可能性があります。
そのような変化を小さくするため、乾燥させて一定以下の含水率の木材を建築では利用するわけですが、木材の性質上、季節や環境によって含水率は変化します。
日本においては、夏場の高温多湿で膨らみ、冬場の低音乾燥で縮む傾向にあります。
一年を通して木材はその伸び縮みを繰り返し、そのひずみで木材同士が擦れ音鳴りになります。
実際には木材だけでなく、多くの建材が形状変化をしています。
例えば金属ですが、鉄・アルミなども温度で変化します。
コンクリートでさえ小さいながら温度で膨張伸縮をしています。
なので、音が鳴ったからと言っても怖がらずに、家が生きているんだなと感じてもらえれば大丈夫です。
ただ、これだけ動いてしまうからこそ建物にはメンテナンスが必要だということも認識してもらえればと思います。
ちなみに木材を乾燥させるという話がありましたが、古くは海水を利用して乾燥をしていました。海に木材を入れて、海水の浸透圧を利用して乾燥をしていたわけです。
東京では木場という場所がありますが、その地名は木材が集まり、そこで乾燥させていたことが由来しているそうです。
今は木場ではなく新木場に多くの材木卸業者が実際にあります。
話はとびましたが、家のどこからかパキッと聞こえた時は、家がどんな状態かを案じてもらえるきっかけになれば幸いです。
では、また。
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