生活の建築知識.27
おはようございます。
壁や天井にひび割れが入っていることで、心配の声を聞くことがあります。
特に塗装や左官の仕上げであるとそのようなことは起こりやすいのですが、ビニルクロスであっても起きないわけではありません。
ひび割れを見て、この家は大丈夫なのかと心配になるようです。
ひび割れがどうして起きてしまい、それをどのように対処すべきか今回は説明していきます。
・ひび割れの理由
いくつか理由はありますが、1番想像しやすいのは振動です。
特に地震の後はひび割れが起きることが多々あります。
東日本大震災のあと、東京ではありましたがひび割れに対する依頼が多くあったことを今でも思い出します。
また、地震以外で日常における振動でもひび割れは発生します。
例えば、幹線道路や鉄道の近くだと振動が発生しやすかったり、窓や扉の開け閉めによる振動もひび割れに繋がります。
室内であればひび割れが発生しやすい場所として、やはり窓周りや扉周りとなります。
窓枠や扉枠の周りは壁を構成する石膏ボードのジョイントがあることが多く、そこに発生することが多いでしょう。
・構造的な負担の集中部
壁や天井がコンクリートの躯体であることもあり、構造的に負担がかかりやすい場所に発生することがあります。
極端なひび割れでなければ特別問題はありません。
しかし鉄筋コンクリート造の特徴として、ひび割れから鉄筋の錆に繋がることがありますので注視する必要はあります。
(生活の建築知識.21参照)
・材料の特性
木造や鉄骨造であっても、それらの歪みは必ず発生してその歪みの影響が大きい場所付近でやはり発生しやすいと言えるでしょう。
特に木材は伸縮を繰り返す材料です。
(生活の建築知識.2参照)
加えて、木材のコンクリートや鉄骨との伸縮具合の違いによるひび割れも考えられます。
ひび割れ自体は石膏ボードのジョイントになりますが、天井の中心部などで発生している場合は伸縮に関係する原因かもしれません。
このように理由はいくつかありますが、先に述べた通り室内であれば鉄筋コンクリートの構造的負担集中部以外は、基本石膏ボードのジョイント部分にひび割れが発生します。
室内のひび割れに関しては、急ぎ対応する必要はあまりありません。
もちろん美観を優先するという意味では時間を置かない方が良いですが、何か建物として問題があるということでもありませんので心配せずとも支障はありません。
特に竣工から日が浅い建物については、ある程度ひび割れが発生する場所を見極め、短くても一年通して生活して木材の伸縮度合いを把握してからひび割れに対処することをおすすめします。
ひび割れ部にはジョイントテープを貼ったあとパテを施す、もしくは充填材を入れたあとに仕上げを行うことになります。
ホームセンターでも材料は確保できますが、補修跡が出やすくなるためプロに任せた方が無難ではあります。
外部に関しては、そもそもひび割れが発生しやすい部分はあえて目地を設けることで対処されていることがほとんどです。
サイディングやALCパネルという外壁を構成するジョイント部分やコンクリートの打ち継ぎ部分に目地を設けてコーキングを施しており、そこでひび割れの原因を誘導することで対処しています。
ただしそれら以外のところでひび割れがある場合はすぐに対応することをおすすめします。
そこから雨水が侵入すると構造体の劣化に繋がり、劣化した構造体は修復が難しくなります。
目視でもわかるレベルでようでしたら一度プロにご相談ください。
どうしても室内の方が目が届きやすいですが、室内のひび割れを見つけた際に外は大丈夫かなと思うきっかけを作ってもらえればと思います。
では、また。
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