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コミュナリズム:解放的代案(15)

終わりに

実用主義は小さな改良と引き換えに率先して理念を妥協する。純正主義は喫緊の諸問題に対処できるやり方で現状に関われない。ここで示した革命的戦略には、これらの落とし穴を避ける狙いがある。コミュナリズムの代案は手段と目的の一致を追及する。コミュナリズムの最小限綱領は、過渡期綱領を通じて解放的ヴィジョンと結び付くのである。コミュナリズムは、様々な現状の下にいる人々に影響を与え、あり得る社会像を伝え、徹底的に変換された社会を求める意識をもたらし、周囲の人達と協力して行動する権能を与えることを目的としている。私達は皆、何らかの形で現行システムに参加するよう追い込まれている。だが、現行システムへ忠誠を誓う必要はない。生態調和社会の可能性を念頭におけば、ブルジョア社会がどれほど理不尽で非人間的なのか、常に意識できる。

オフィスや学校のデスクワークで抜き差しならなくなっている人、失業中の人、無意味な仕事に就いている人、ストレスや借金を抱えている人、独りぼっちだったり憂鬱だったりする人、環境破壊にうんざりしている人、生の商品化にむかついている人、不公正に憤っている人、愛する人が刑務所に閉じ込められている人、警察の暴力・政府の監視・社会の軍隊化に怒りを感じている人は、コミュナリズムの解放的代案に目を向けて欲しい。共に別種の社会を築くことは本当に可能なのだ。私達を奴隷にする不合理システムから集団的に自分達を自由にするために必要な方策を講じ始めよう。

コミュナリズムは包括的イデオロギーのため、その諸側面はそれぞれが扱う考えに応じて別個に具体的な名称の下で研究されている。ヒエラルキーと自由の社会歴史的分析は社会生態学(社会的エコロジー)という名で論じられる。コミュナリズムの倫理と哲学は弁証法的自然主義と呼ばれる。コミュナリズムの政治的アプローチはリバータリアン自治体連合論と呼ばれることが多い。付言すれば、コミュナリズムという言葉は、こうした考えが発展してだいぶ後になってからが採用された。それまで、これらの考えはアナキズムのイデオロギーに根差していた。これらの考えに共鳴する人々の中には、今も、自分はコミュナリストではなく社会的アナキストだと考えている人もいよう。いずれにせよ、シンプルに表現し、イデオロギーを明確に示すために、この文章ではコミュナリズムという言葉を使うことにした。

リソース

(訳註:リンク切れのものについては、可能な限り AK Press のリンクに変更し、それでもない場合は Amazon.com のリンクを貼った)

・入門書

- Social Ecology and Communalism - Murray Bookchin

- Remaking Society - Murray Bookchin(「エコロジーと社会」、藤堂麻里子・戸田清・萩原なつ子 共訳、白水社、1996年)

- Communalism as Alternative - Eirik Eiglad

- The Politics of Social Ecology - Janet Biehl

- Toward Climate Justice - Brian Tokar

- Ecology of Everyday Life - Chaia Heller

・深く掘り下げたい人に

- The Ecology of Freedom - Murray Bookchin

- From Urbanization to Cities - Murray Bookchin

- The Philosophy of Social Ecology - Murray Bookchin

- The Third Revolution (4 volumes) - Murray Bookchin

- Recovering Bookchin - Andy Price

・伝記

- Ecology or Catastrophe: The Life of Murray Bookchin - Janet Biehl

・グループや支持者のウエブサイト

- New Compass

- Institute for Social Ecology

- TRISE: Transnational Institute of Social Ecology

- Blog: Biehl on Bookchin(リンク切れ)


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