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壮大な地球の物語「地球の履歴書」

「地球の履歴書」大河内直彦著・新潮選書2015年10月発行

著者は1966年生まれ、海洋研究開発機構生物地球化学研究分野長。「地球のからくりに挑む」新潮新書の著書がある。

本書は地球の歴史、仕組みを語る一種の物語である。地球は生まれて46億年経過した。それでも宇宙の誕生の138億年よりかなり若い。宇宙は引力による質量が大きいものが生き残る弱者強食の世界である。質量の少ない星は大きな星に吸収される。

地球の誕生はドロドロに溶けて灼熱の星だった。その後、冷えて、水蒸気が雨となり海が生まれた。人類による科学進歩は素晴らしい。紀元前230年、アレキサンドリアの科学者は地球は丸く、全周の距離を計算した。現在との誤差は1割程度と正確である。

地球全体の70%は海である。海の深さは平均3,680m、富士山3,776m、すっぽり入る。最も深いのはマリアナ海溝で10,920m、エレベストより深い。

海底地形図はソナー技術で正確に把握できる。東シナ海の屋久島にかけて巨大な海底火山が存在する。鬼界ヶ島カルデラと言う。幅は20㎞と巨大。7,300年前に噴火した。鹿児島湾にも姶良カルデラが存在する。噴火は29,000年前である。

1億4,500万年前、白亜紀の温暖期に、恐竜、アンモナイトなど3,000万種の生物、植物が出現し、繁栄した。海の有機物が地中に蓄積して、石油、天然ガス等、今のエネルギー資源が蓄積された。この白亜紀は8,000万年間続いた。白亜紀がなければ、現在の地球の繁栄もない。

6,600万年前、メキシコ・ユカタン半島付近に直径10㎞の巨大隕石が落下した。クレーターは直径180㎞に及び、津波の発生で生物の95%以上が消滅した。これ以降、地球は氷河期に入る。

氷河期には海面が130m超下降する。反対に現在の間氷期には上昇する。1万4,500年前、旧石器時代は海面が現在より40m以上低かった。従ってはるか昔の遺跡の多くは現在海深く埋没している。

科学は地球の生い立ちを解明してきた。自然現象の謎は少しづつ氷解している。しかしそれ以上に自然現象の謎はより深い。今までの成果はほんの一握りに過ぎないだろう。

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