2023/10/20 どんぐりだ

今日は9:30頃に起きた。今日はみんなが楽しみにしている事務所のネタ見せである。
なんだか、ネタ見せという言葉って面白くないなあと思った。ネタを見せる場所だからネタ見せ。ちょっと情緒がない言葉だと思う。
「咳をしても一人」のような、一言で情景が広がるような言葉にかえてみたい。

この会の目的は各組の新ネタの出来を見て、どれくらいの実力があるかをチェックする。その結果で、いま事務所内でこれくらいの位置でどれくらいの仕事なら任せられるかというのをチェックする場所だろう。
となれば、「お手並み拝見会」の方がまだおしゃれである。参加者は皆、正装をしてやってくる紳士淑女の社交界を思わせる。

もっと気の利いた言い回しは無いものか。便所のことを「はばかり」と言うような、なるほどと思わせる言葉を作りたい。この会を通して成長したい者たちが集う。どんどん成長していこうとする参加者、成長させたい見る側。
「となりのトトロ」「ジャックと豆の木」「こんび太郎」こういった話からも引用できまいか。と、考えてみれば「となりのトトロ」のどんぐりがムクムクと成長していくシーンはまさに若手お笑いの成長を見ているようだ。
どんぐりは良い言葉である。「どんぐりの背比べ」という言葉にもあるように大したものではないというニュアンスもあるが、成長すれば大きなクヌギになるという期待感もある。またとなりのトトロに立ち返れば、サツキとメイはムクムクと成長したどんぐりと確かにたわむれたはずなのに、朝起きればその跡形は何も残っていなかった。まさにお笑いのようだ。誰も触ったこともない、確かなことも言えない。お笑いで成長することは夢の中で成長した気持ちになる。

では、どんぐりを採用したい。ネタ見せはこれから「どんぐり」と呼ぶことに決定である。
さて、ネタ見せへ向かう。

昨晩は6時過ぎに寝た。寝不足であるが、仕方がない。12時過ぎに公園に集合して練習する。練習後にネタ見せ会場である事務所へ向かう。
事務所へ向かう道中、大人気お笑いタレント「田中太郎」の大樫先生がいらした。どうやらこちらの日記を毎日読んでくださっているようだ。
ありがとうございます。
読んでいるよの一言で本当に続ける気力になる。昨日の日記はさすがに疲れ切って、こんなもん書いていて何になるんだモードが強まっていた。大樫御大の一言が昨日の日記を生んだと言っていいだろう。
私は人の言葉が持つ力を信じている。この話をまたやろうかと思う。たぶん何度かここに書いたと思う。

私は大学を卒業した後、旅人をやっていた。お笑いをやりたいという気持ちがある一方で、お笑いをやったことがない。こんな自分にもできるものだろうか、とモラトリアム人間として旅をしていた。
仕事もせずに旅をする生活はよくない、いよいよお笑いをやろうと思い立った。ただ最後に、学生のころからやりたかった四国遍路を歩くことだけはやっておこうと思った。
当然お金がないのですべて野宿、野宿をするにはテントや寝袋、それを入れる大きなリュックサックが必要だ。すべてアマゾンで最安値のものをそろえた。約2か月はかかると想定して旅にでた。
四国遍路は徳島県から始まる。2週間ほど歩いて、まだまだこれからというところでリュックの肩ひもが切れた。背負うことはできなくなった。この時点で私のやる気は地に落ちた。これだけしんどいのにカバンまで切れるとは、もう帰れと空海様がおっしゃっていると思った。
やけになって、木陰に腰かけた。山の真ん中で、帰るにしても駅までは相当な距離がある。頭が真っ白のまま山の緑、川の流れを見ていた。
そこに遠くから軽自動車がやってきた。市役所で働いているという若い男性が降りてきた。どうやら、遍路をやっている人が目印につかっている看板の確認、整備をやっているらしい。「がんばってください!」と言ってその人はまた車に乗って去っていった。
この時にふつふつとやる気が、自分でも不思議に思うほど沸き上がってきた。人から頑張ってくださいと言われているのに、カバンのひもがちぎれたくらいで帰るというのは私の信じる生き方ではない。ちぎれた紐を固く結んで出発した。結んでカバンの重さのバランスも崩れていたが、なんだかんだ歩ききることができた。
あのときの頑張ってくださいの一言が無ければ、ぜったいに歩ききることはできていなかった。言葉と言うのはとても力を持っているというお話でした。
いいはなしだねえ。

ということで、皆さんも人を応援しましょう。人を応援できる人は、きっと人から応援してもらえることでしょう。
日記に人の愚痴ばかり言っていては、応援されない人間になることでしょう。

今日もネタ見せをやってもらった。道がどこにあるのか、私はわからない。まあまあ、中身の話をそんなわざわざしたところでである。
帰りに久しぶりに日高屋に行った。私は日高屋が大好きである。私は日高屋について語りたいことがいくつもある。やがて書くことが無い時は日高屋の話にしようと思う。お楽しみに!

帰宅して、ウーバーでもやろうかいな、と思っていたがなんだかそんな気になれなかった。家で夕寝でもしようかなと思ったが、まだまだこの後に仕事が待ち構えていることによるプレッシャーなのか眠られなかった。

ちょいと疲れだまりモードですな。これくらいで今日の日記は終わります。

今日面白いと思ったことは「稲倉さんはだいぶ感覚をつかみつつあるようだ。花開くぞ」

こんなつらい人生。ここに空き缶を置いておきます。