BOOTHの売上累計が1000万円を超えたので何か書いてみる
金の話をするnoteです。
金の話は緊張しますね…。
注意:このnoteに書かないこと
・副業の良さみたいなのは主張しません
・「儲けたい!」みたいなモチベで読むことを想定していません
・おそらく再現性は無いです
・このnoteはソフトウェアをBOOTHで有料配布することに関するものであり、3Dモデルやイラストを販売するパターンには関知しません
自己紹介 + BOOTHで公開してるものについて
プログラマーをやっている獏星(ばくすたー)です。
主業は会社員プログラマーですが、それはそれとして3Dアバターの表示ソフトであるVMagicMirror (以下、VMM)を作って公開しています。
このBOOTHページを見て「あれ、0円でダウンロードできる?」と気づいた人は鋭いです。
VMMには有料版が別途あって、こちらは2,500円です(※ブースト機能でさらに高額を払うのも可能です)。
BOOTHの売上累計額を構成しているのは大部分がこの有料版で、一部は無料版のブースト枠も含まれています。
「なるほど、じゃあ無料のは体験版か~」と思った人は鋭いけどハズレです。VMMでは重要な機能も含めて、ほぼ全機能が0円版で利用できます。コードも一部を除き公開しています。
https://github.com/malaybaku/VmagicMirror
要はドネーションウェア的な公開方式になっていて、その状態で実質的にVMMだけを公開して売上額が1000万円に到達した、という次第です。
ぶっちゃけ額面が載ってるツイートをするのは怖いんですが、ドネーション的なお金なのでキリが良いタイミングで報告するほうが健全と考えて公開情報にしています。
有料版を買ってもらえてる理由の推定
前述の通りVMMはドネーションウェア的な公開方式なので一銭も入らなくても全然おかしくないですが、実際には有料版をたくさん買って頂いてます。
以下に思いつくだけ理由を挙げておきますが、あくまで推定です。ヒアリング等は一切していません。
応援されやすいように気にしてること
・コードメンテはする
・ソフトウェアのアップデートを定期的に出す
・英語が読める人であれば使える状態にしておく
・悲壮感を出さない
・余裕をもって開発してる感じはTwitterとかで出す + 実際に余裕を持つ
・※このnoteでも言及しています
ちなみに余裕をもって開発するための前提として、基礎的な技術要素はそれなりに事前に知っているとか、コーディングはガッと出来ることが前提となります。定量化しづらいですが、このガッのハードルはそこそこ高いです。
周囲の環境に恵まれていること
・3Dアバターを持っている界隈の人はギフト文化にも割と馴染みがある
・そのためドネーションウェア的な方式が理解されやすい
・ドネーション形式ではない有料の類似ソフトが他にあるため、2,500円という価格提示が納得されやすい(以下は相場感)
・買い切り:1000~6000円
・月額:100~500円/月
・VTuberが継続的にデビューし続けているので、VTuber用ツールの需要が無くならない
・VTuberに限らずPCで3Dアバターを表示する需要は実はかなり広い
・純粋なデスクトップマスコット
・会議/講義/プレゼン
・Discordでゲーム画面端に何かアバターを出したい
・VRChatユーザーで、自アバターを画面上に常駐させたい
・ChatGPTの入出力に添えるためのキャラクター表示
・etc…
・日本に限らず国外でもアバターを使う人は増えている
所感など
1000万円って多い?
体感としてはいいえです。
前述のツイートの通りBOOTHの売上総額ページでみれば額面は分かるし「こんなに売り上がっちゃっていいの!?」というレベルで買っていただけているのは事実なんですが、「大金だ!」という実感は薄いです。確定申告でめっちゃ持っていかれるのが主因です。
ただし、この体感は総額に加えて販売状況のカーブにも依存します。極端な例ですが、もし10日くらいで同じ額面に到達したら、それは「大金が手に入った!!うひょー!!」となっていたでしょう。
副業感覚でやっている?
これは明確にいいえです。
会社員として十分収入があるので、VMMの売上は生活費のアテにしていません。なるべく開発して楽しいかどうかを重視して個人開発をやっています。売上の使途は下記のような感じで、「使えると嬉しい事」に使っています。
・放送大学の学費
・自分用のアバター制作費
・skebの依頼
もちろんBOOTHで生計を立てるのを否定するものではありませんが、もし主業・副業としてBOOTHを使うならばドネーションウェアにせず、普通に有料ソフトとして売る方がよいでしょう。
QoLは上がった?
いいえ。上がっていません。前述のとおり、QoLの引き上げにならない範囲で売上を使用しています。
QoLは不注意に上げると下げにくいので、そういう意味でも売上には変に手をつけないようにしています。
個人開発で収支があるのは良い事だと思う?
これははいですが、その理由は制作物の評価軸が増えるのを良しとするためです。
ソフトウェアでは値段をつけなくても「これ面白い!」とか「便利」といったフィードバックを得たり、OSSならGitHubのStarが沢山ついてれば評価されている状態と言えます。
ただ、それと別で「じゃあ有料だったらお金払いますか?」という軸はモノの良さを測るうえで強力だし、あっても良い…という感じの話です。
ここで注意として、最終的な収支の在りようは文化圏に大きく依存します。手間はかけたけど界隈にすでに無償のよいソリューションが溢れていてお金を貰う余地はない…みたいな事は普通に起きるので、それはそういうものだと割り切るしかありません。あるいは、どうしても収支を評価軸にしてみたいなら、ソフトウェアの提供先を考え直すのもあり得ます。
VMMの場合は無料版でほぼ全機能が使えることの背景として、伺かを筆頭にデスクトップマスコットはフリーソフトの文化圏であるのを念頭に置いていました。
VMMの開発開始から約2年はこの背景もあってそもそも有料版が存在しなかったんですが、「まあ寄付的な位置づけなら良いかな…」と考え直して有料版を追加し、結果的に3Dアバター文化圏との相性が良かったので今に至っています。
参考: https://note.com/baku_dreameater/n/n4d712b2a33da
BOOTHで売上を伸ばすのは誰にでも出来る?
これはいいえで、「頑張ったうえで運が良ければ行ける」くらいが妥当です。VMMに関して言えば、ソフトウェアメンテナンスまでは私の意思でやれる事ですが売上が今の状態になってるのは運です。
実態としてもBOOTHにソフトウェアを公開するパターンでこれだけの状態になるのは珍しいはずですし、ドネーションウェアの体裁では尚更です。
売上を目標にしたい人はVMMのやり方は参考にしないほうがいいし、そのうえで運要素に留意して頑張るのが健全かな~と思います。
最後に
最後になりましたが、VMMを使ってくれている皆様に改めてこの場で感謝申し上げて本記事の〆とします。
売上をきっかけにしたnoteを今後また書くかは不明ですが、何か書く可能性もあるので、公開した際には是非読んでもらえればと思います。