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2023年を振り返って

"試"と"整"の一年

今年は自分にとって大きな一年になった。
人生で一番大きな挑戦の一年だった。
できてよかったこともあれば、もっとやれたなということも沢山あった。

未知なことだらけ
造形作家を4月からスタートして、今年は本当に未知なことだらけだった。
作品への反応、展示会の開き方、値段の付け方、作品の名前の付け方、作品の良し悪し、販売はどうやってできるのか、本当に作家としてやっていけるのか、作家活動の具体的な仕事は何か、どんな場所に持っていけば可能性が広がるか、などなど…。

インスタレーションアートの「煙の彫刻」で行こうと覚悟を決めて、作家活動をスタートさせた。作品に共感してもらえるかという自信は無かったが、
確信していたことは、煙の揺らぐこのアート作品が間違いなく人の心を震わせるモノであるということ。やるべきこととして分かっていた事は、モノを作り、人に見てもらう機会を作ること、ゆくゆく購入してもらう必要があるという事。

一番最初はこれくらいしか分からなかったが、とりあえずやってみるべと思い、えいやで始めてみた。
紙で試作を作り、紙粘土で試作実験し、最終形態として陶器を選択し、小さい窯を購入して、制作物の形ができる。量産方法を探り、コンペに作品を提出し、7月と11月に個展を開いた。

暗中模索の日々
やってきたことを書いてみるとこれしかない気もするが、難しい日々だった。
覚悟を持って、決断したはずだったが、迷ってばかりで決断ができない日々の連続。予想より進みは悪かったなと思う。
なぜ難しかったのか。
・作品のゴールが見えなくて、どうすれば完成に近づくかが分からなかった。
・誰も見た事がないモノを作るので、良し悪しを評価する基準が分からなかった。

今では分かってきたが、試作品を沢山作り、いい塩梅で止め、次の実験評価する段階に移る。これを繰り返すのが大事なんだなということが分かってきたが、このいい塩梅が分かるまで結構時間がかかった。

自分の手で作るようになって
作家活動を始めるまでの6年くらいの間、デザインコンペにアイデアを出していた。形にしてもらうことを誰かに期待していたが、アイデアが形を為すことは無かった。それまでは机上の上でのアイデア作りで満足していたが、それは無責任でぬるま湯だったのだなと、今では思う。

煙のアートを作りはじめて…
最初のうちは、煙の揺らぐ姿に対して根拠のない自信があった。
しかし、それを作品として一つの形に落とし込んでいく。
一つの形に落とし込むというのは自分にとって、沢山ある選択肢の中から他の可能性を捨て、一つの答えを出すことだった。
決断して一つの形に表すこと。誰にも責任をとってもらえず、全ての責任が自分に降りかかってくる。責任と怖さに直面するようになった。

塩梅が分かるまでしんどい時間が続いていたが、
人に見てもらう機会が増えてきて、この怖さや責任が心地よいなと感じるようになってきている。
大学生の頃からものづくりをすることを夢見てきて、
自分の手でつくる喜び、この感覚を感じられるようになってきて、
作家活動を始めて本当によかったなと思う。
カタチになって人に見てもらえる、使ってもらえるのが何より嬉しい。

人に見せる
わからない中で前に進めた行動は、自信を持てる試作品を人に見せていくこと。見栄えの出来不出来は一旦忘れて。
ダーティーな状態でも人に見せてみることで、なにが良くて、なにが足りないのかが見えてくることが分かった。
完璧ではない状態で見てもらうことは許されないと、勝手に思い込んでいたが、
途中段階でも人に見せるようになって、他人の目を借りることでどんどん前に進めるようになったし、完璧を見せねばならぬという呪いが消えた。

個展をやるようになり、人に見てもらう機会が増えてきて…
いろんな方々に見てもらうようになって、沢山の勇気をもらってきたのだなと思い返している。
作品の価値を分かってもらえるか自信がなかったけれど、
皆の喜ぶ姿を見て、
世の中にないものでもつくっていいんだなと思えた。

多くの人に見てもらい、じっくり真剣に見てくれる人達の姿に感動したし、皆さんからもらった感想がとにかく嬉しかった。時に涙を流す人とも出会い、自分が思っている以上の可能性を煙のアートが持っているのだと気付けた。

煙という流体の動きが、多くの人達の心を動かす力を持っているのだということ。
自分が形にして、しっかり届けていかないといけないという責任感が湧いてきた。

反省と抱負
作家活動、自営業はやることが多いのだなと分かってきた。
つくる以外に、工房を整えたり、展示会を開いたり、知ってもらう為に動画や写真を撮りsnsで発信したり、紙媒体を作ったり、事業戦略を考えたり…

理想では、毎日のように作っていると思っていたが、案外他にもやることが盛り沢山。結果、作家活動の進みが牛歩のようになってしまった。
行動量を増やし、人に届ける時間を多くしなくてはという反省の気持ちが強い。
来年は「飛躍」という言葉を胸に、頑張ろうと思う。

つくることの責任
自戒の念を込めて
・他人に評価基準を預けない
・勇気を持って行動を起こし、風情美を探求せよ
・これくらいでいいだろうという心の弱さを捨てよ
・場数を踏んで、洗練させよ
・プロになれ







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