ウユニ塩湖の、星空と朝焼け
2時20分
暗い部屋にアラームが鳴り響く
2時40分
眠い目をこすりながら、顔を洗う
2時55分
HODAKAの前で、名前を呼ばれた
ランクルに乗車する
長靴に履き替えるのは3回目。手慣れたもので、もうこれで最後だ。
真っ暗な道を、進む。
塩湖に入るには、そうそう、途中で左折をする。
すると、未舗装の道が続いて、塩湖に至る。
ここから僕は、目を閉じた。
目を開けた瞬間に、宇宙のような、満天の星空が飛び込んでくるように。
「Okay. My frends.」
ドライバーは車を停めた。そして僕は、目を閉じながら車を降りた。
星空の旅
そういえば、今までの旅で、満天の星空に恵まれたことは記憶にはあまりない。
インドのジャイサルメールの砂漠は、なんとも言えない星空だった。焚き火を囲んで語ったことは忘れられないが。
モロッコのサハラ砂漠に泊まった日は、これまた見事な満月になり、金星のみが輝いていた。むしろ真夜中なのに、数キロ先の砂の山の連なりが見えた。
運が良いのか、悪いのか。
日本では星野村などを求めたが、感動する星空に出会ったことは、まだ数えるくらいしかない。
槍ヶ岳の肩にある山荘から見た星が、今のところのベストだ。
そして僕は、真夜中のウユニ塩湖で、目を開いた。
ウユニの空は、満天の星空だった
ランクルから降り少し進む。閉じていた目を開くと、そこには無数の星が瞬いていた。
すごいと、声が漏れた。
これがウユニの星空なんだ。
すごく、綺麗だ。天の川もくっきりとわかる。
ふたつのむずかしい
それでも、ちょっと、むずかしいことがあった。
ひとつめは、風が少しあったということ。
風が吹くと、水面の水が波打ち、綺麗な鏡ばりになりにくい。結局夜のうちに風は止まず、星空が鏡のように映る宇宙のような光景は見ることができなかった。
ふたつめは、カメラの機能を活かしきれなかったということ。
なにしろ旅の直前にはじめての一眼レフカメラを購入し、旅の中で試行錯誤しながら今まで撮ってきた。星空は初めての経験で、三脚も十分なものではなかったので、むずかしいものだった。
それでも、自分にとっては最高の写真だと思うし、最高の星空だった。星が世界一綺麗なのは、ウユニの星空だよと自信を持って言うことだろう。
ちなみに、上記ふたつのむずかしいをクリアすると、こんな写真になる。これは、ウユニで出会った人が撮影していたもの。
いやぁ、、これはレベル高すぎでしょ。笑
星空から、朝焼けへ
地球は回り、だんだんと明るくなるにつれて、世界は青くなってきた。
それにしても、ウユニ塩湖のSunriseツアーは、とにかく寒い。特に長靴の、足の指先の感覚がなくなる。分厚い靴下を2枚履いていたとしてもだ。
そこで彼女とおしくらまんじゅうをすることにした。
最初は小突き合うような可愛いものだった。
しかし何度か続けているうちに、互いにヒートアップし、さながら闘いのように身体をぶつけ合うようになった。
彼女のタックルを交わそうとする僕。
この真剣な眼差しに、今では笑いがこみ上げる。
ガチすぎるね、お互いに。
たとえ鏡ばりの美しさが見えなくても、こんなにもゆるく、笑える2人の思い出を積み重ねることができたのが、よかったなぁと。
そして、朝焼けだ。
サンセットとは違う、青からピンクへのグラデーション。風も今になって止み、360°すべてが反射してその美しさを変化させてくれた。
昼間も、夕陽も、星空も朝日も、ひとつとして同じウユニ塩湖はなかった。
それでもそのすべてが、世界一の絶景と呼ぶにふさわしいものだったことは間違いない。
この場所に来てよかった。
**夢見てた未来はそれほど離れちゃいない **
世界中のウユニ塩湖天邪鬼者に伝えたい。
みんなが行き過ぎてるからとか、メジャーすぎるとか、他人とわいわいトリック写真とかやりたくないとか、きっと思っていると思う。自分もその1人だった。
そんな心は考えは、捨ててほしい。そんなプライドなんていらない。ただ、ここまで来て、この景色の前に立ってほしい。
きっと…いや必ず、あなたを感動させるはずだ。
世界一の絶景は、いつまでも待ってはくれない。悩みのタネのゴミ問題だったり、雨量であったり、貴重な鉱石、鉱水の発見だったり。昨今の様々な情報がある。
どこまで本当かとかは置いておいて、ここボリビアまで来て、ウユニツアーに申し込み、長靴に履き替えるのだ。
長靴を履いた人にしか、靴を履き替えた人にしか見ることの出来ない絶景は、確かにある。
新しい靴を履いた日は
それだけで世界が違って見えた
昨日までと違った自分の足音が
どこか嬉しくて
足音 ~Be Strong
夢見てた未来はそれほど離れちゃいないから、また一歩、次の一歩を、足音を踏み鳴らして、ここまで、ウユニ塩湖まで、来て欲しいなと思う。
一歩一歩を踏み出してきて、最後、長靴に履き替えるだけなのだから。
世界一の絶景に別れを告げて、僕は次の街のバスへと乗り込んだ。
パッキングが得意というかスキです。