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「嗚呼!青春の大根梁山泊~東海大学・僕と落研の物語~」完全版 中

「ダメ学生と総長賞」

 我が東海大の落研は、不名誉なことに留年するクラブと言われていた。
 中には優秀な人もいるのだが、どうしても派手に留年しているOBが目立ってしまうのだ。八年生、七年生、六年生、さらに失業したOBが部室にいたりするので、そんなイメージがついてしまったのだろう。
 私が入部した当時は、父兄を集めて前期の試験の結果を報告する会があり、大学関係者が私の両親に「落研に入ると留年する人が多いので気をつけて下さい!」と余計な助言をしている。
 しかしクラブの名誉のために書かせていただくが、留年や中退は決してクラブの責任ではない。誰も「講義に出るな!」とは言っていないし、部会も週二日だけ。体育会の学生に比べたら相当余裕のあるクラブなのである。
 ただ、問題は毎日面白いことが起こりすぎて、ここで授業に出るとせっかくの面白い出来事を見逃してしまう、という強迫観念に負けてしまうことなのである。
 つまり自分をしっかり持ているかどうかの勝負であり、クラブのせいではない。
 それでは酒を飲み過ぎて病気になったから酒を売った会社が悪い! と言っているようなものである。

 実際、成績の優秀な先輩もたくさんいる。
 卒業までの全ての単位でA(優)を取得し、卒業式で「総長賞」(学科でトップの成績)をもらった先輩。今や一部上場企業の社長になった先輩。
 惜しくも1科目だけB(良)で、後は全てA(優)というOGの方もいた。
 また、意外にも教師を多く輩出している。ハッキリ言って落語家の数より、教師の数の方が多い(落語家と一緒にするな!)。さらにお医者さんまで輩出しているのである(東海大には医学部もある)。
 クラブを弁護したところで、本題である。
 今度はごく少数派の(それは言いすぎ)留年者、中退者、ダメ学生についてのエピソードを紹介しよう。
 ここからは大学と個人の名誉にも関わる話題なので、イニシャルで記すことにする。というよりも、ここだけフィクションかもしれない。先輩たちがありもしない話を後輩に語って伝説にした。と思って聞き流して下さい。

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