漫才台本「23回目のサマーナイト」

A「どうもーシュリンプセンターですーお願いしますー」

A「あーありがとうございます!今、熊本の水道水をいただきましたけどもね、こんなんなんぼあっても良いですからね」

B「いきなりですけどね、ウチのオカンが忘れられない夜があるらしいんやけど、どの夜か忘れたらしくてね」

A「忘れられない夜のことを忘れてもうて、どうなってんねそれ。ほな俺がね、オカンの忘れられない夜がいつか一緒に考えてあげるから、どんな特徴ゆうてたか教えてみてよ」

B「ドラマみたいなデートをしたらしくて、ジオラマみたいなベイロードを歩いたらしいねん」

A「おー、23回目のサマーナイトやないかい。すぐ分かったやん、こんなんもー」

B「いや俺もそう思うてんけどな、オカンが言うには、次の日の朝に備えて、木にハチミツ塗ってたらしいねん」

A「あー、ほな23回目のサマーナイトと違うかぁ。23の女がカブトムシ捕獲に備えるわけないもんね。カブトムシへの興味は乳歯とともになくなっていくのよ。ほなもう一度詳しく教えてくれる?」

B「わざとゆっくり歩いて、『足がつかれた』とか言うたらしいねん」

A「23回目のサマーナイトやないかい。相手の気を引くための手法やからね。そういうことをしだすのは22回目でも24回目でもなく23回目なんやから。23回目のサマーナイトで間違いないよ」

B「でもオカンが言うには、盗んだバイクで走り出したらしいねん」

A「ほな23回目のサマーナイトちゃうやないかい。23歳は窃盗の罪の重さをしっかり理解しているからね。バイク盗みなんてね、家出の計画を立てたけど移動手段がなかったときにしか実行せえへんのよ。もうちょっとなんか言ってなかった?」

B「上野動物園を訪れたけど、閉園日だったらしいねん」

A「ほな23回目のサマーナイトやないかい。そういうハプニングは大体23回目のサマーナイトに経験すんねん。ほんでその後ちょっと早めに居酒屋行ってホッピー呑んでしまうねん。23回目のサマーナイトで間違いないよー」

B「でもオカンが言うには、誰かの声に気付いて身をひそめたらしいねん」

A「ほな23回目のサマーナイトちゃうやないかい。何回目の夜かはわからへんけど、冬の風の匂いがするからサマーナイトではないのよ。そんな寒い夜はね、『僕たちは何かを信じてこれたかな』ってつい疑心暗鬼になってしまうねん」

B「んでオトンが言うにはな、真山りかのアニメ語りナイトちゃうか、っていうねん」

A「いや絶対ちゃうやろ。もうええわ」

 

 




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