IT営業のアラサーが、IT業界と仕事内容について整理してみた

はじめに

先週初めてnoteに記事を投稿してみました。

軽い気持ちで投稿しましたが、想像していたよりも多くの方に見て頂き、スキボタンを押してもらえたりしてとても驚きました。本当にありがとうございます。
自分は承認欲求は強い方ではないと思っていましたが、自分の作ったモノに誰かが見たり、反応してくれるというのは非常に嬉しいですね。
Sierの営業をしていると、悲しいかな自分の介在価値について疑問を感じる瞬間も少なくないので、色々と考えさせられました・・・。

そもそもIT業界って?


※以下の内容は、社会人経験の浅い20代の私の経験に基づいているので、誤りや偏見もあるかもしれませんので何卒ご容赦下さい。

新卒で入社した中堅Sierから現在の大手Sierに転職し、1社目にいた頃と比較して業界全体の理解が少し深まったと感じています。そこで、自分自身の整理の意味も込めて、IT業界とSierの仕事内容について本記事でまとめていきます。

言うまでもなく現代は情報社会なので、IT業界についての素晴らしいインターネット記事や書籍が世の中に溢れております。そのため、業界については軽く触れる程度にしておきます。

IT業界は大きく下記5つに分類ができると思います。というか、IT業界っていう言葉がそもそもかなり広い枠組みですよね。

①WEB系
②ソフトウェアメーカー
③ハードウェアメーカー
④情報サービス・開発受託会社
⑤通信系

①のWEB系というのは、一言で言ってしまえばWEB上で自社のサービスを提供するビジネスを展開している会社だと思います。
GAFAや楽天、ヤフーなど、SNSやネット通販のプラットフォームを運営している会社が該当します。Tシャツにデニムを着て、在宅勤務して、たまに行くオフィスには、でっかい木とかバランスボールがあるような、一般的な世間のイメージする自由なIT企業がここに該当すると思います。新卒でこのようなイメージを持ったまま老舗のSierに入社すると、ギャップに面食らうと思います(笑)

②のソフトウェアメーカーは、自社でソフトウェアを作って販売している会社ですね。officeソフトのMicrosoft、ウイルスソフトのトレンドマイクロ、新幹線で広告をよく見かけるPC管理ソフトのSkyあたりが該当します。

ちなみにSansanやSmartHR等のSaaS企業は、ソフトウェアメーカーにカテゴライズして良いのでしょうか。WEB上でサービスを提供するという意味ではSaaSはWEB系にも当てはまるような気もしました。有識者の方がいらっしゃったら、コメントでご見解を教えて頂きたいです。

③のハードウェアメーカーは、NEC、富士通、Dell、HPあたりでしょうか。世の中のクラウド化の流れもあり、NECや富士通はメーカーというよりは、DX企業という新しいビジネスモデルへの進化を図っている気がします。

④の情報サービス・開発受託会社がいわゆるSierが属している業界です。
お客様のご要望に応じて、1からシステムの開発を請け負ったり、あるいは②、③のようなメーカー製品と自社の技術力を組み合わせて最適なシステムを提供するビジネスモデルです。お客様のご要望や課題を整理するITコンサル会社、お客様先に自社のエンジニアを派遣するSES会社なども情報サービス会社に該当します。

⑤の通信系はドコモ、ソフトバンク、KDDI、NTTなどが該当します。IT業界というよりは、インフラ業界に近いと思います。勉強不足で多くは語れませんが、5G、スマホ時代、IoT、リモートワークの普及により今後も安定して需要が伸びていく業界だと思います。

で、Sier営業は何をしているのか?


”軽く触れる程度”とか言っておきながら、拙い業界の説明だけで、1200字以上の文字数になってしまいました。
このあたりが私の文章力の弱さを表していると思います。投稿前に添削しても良かったのですが、戒めのために原文のまま投稿しました。

本題に入ります。
結論から言うと、Sierで営業が行っている仕事は、(1)自社の窓口としてお客様との関係構築を行い、(2)社内外の関係者を上手く活用してお客様にとって最適なITサービスを提供して、(3)最終的に対価としてお金を払ってもらえるよう顧客に寄り添い、時に交渉することだと思います。

(1)~(3)を補足していきます。

(1)自社の窓口としてお客様との関係構築というのは、新規顧客か既存顧客によって内容が少し変わってきます。
新規顧客に対しては、そもそも取引が無いので、セミナーの企画や、架電やメールによりアポイントを取得して、お客様との接点を作ります。昨今ではプッシュ型の営業だけではなく、自社WEBサイトからの問い合わせから始まるケースも多いです。

面談の際には、自社の技術力や顧客の同業他社の実績紹介を行い、新しい取引を発掘するのが営業の役割となります。

一方で既存顧客に対しては、定期的に接触することで、お客様社内の様々な部門の担当者と関係を構築します。そして、何かシステム投資の話があったときに、競合他社より早く相談してもらえるよう努めます。

Sierは既存顧客との深耕取引がメインなので、積極的に新規を取りに行く動きは比較的少ないです。ただし、Sierの中でも、扱う商材の中に自社パッケージを持っている会社や、ある特定のサービスを担当する営業(ソリューション営業)においては、新規顧客向けの営業活動の比率が高まります。

(2)社内外の関係者を上手く活用してお客様にとって最適なITサービスを提供というのは、よく世間でSier営業は調整役と言われる所以となる業務ですね。顧客からこんなシステムを導入したいと言われた時に、顧客の最終的なゴール、予算やスケジュールを、まずは営業が確認、精査します。

あるいは、「この予算で、このスケジュールで、こんな機能を持ったシステムを私の会社に提案して下さい」という要望事項が整理されたRFPを顧客から受領して商談が始まるケースもあります。

営業はそれらの情報をもとに、1から自社でスクラッチ開発するのか、既存の他社製品を担いで提案するのか、いつまでに見積を出して、いつ契約するのか、といった提案の大枠の方向性を、打ち合わせを通じて定めていきます。

1からシステムを開発する場合は、社内のエンジニアと打ち合わせを行います。時にはエンジニアに同行してもらい、お客様の同業他社の開発実績を顧客に話してもらうこともあります。

他社製品を担ぐ場合は、自社内でその製品を担当している部門(ソリューション営業)や、他社ベンダーの営業と打ち合わせを行います。

打ち合わせにより、提案が固まったら、自社のエンジニアや他社営業か作成した見積書や提案書を営業がお客様に提出します。

実際の提案内容の説明は、営業が行うこともありますが、顧客規模が大きい会社になればなるほど、顧客側もITやシステムに精通した方が多くなりますので、営業は司会進行のみ行い、提案内容はエンジニアが説明するケースも多いです。

システムは企業にとって大きな投資なので、1社で決定ということは少なく、コンペとなるケースがほとんどです。コンペを勝ち抜くことができたら、無事に契約となり、プロジェクトが動き出します。

営業は、コンペのフェーズにおいて、受注の確度を上げる動きが求められます。具体的に言うと、これまで構築してきたリレーションを活かして、コンペの前後に顧客から本音を聞き出し、自社を選んでもらうよう働きかけます。逆に、あらかじめ自社への期待値が低いことが分かった場合、無駄なリソースを割かないよう辞退することもあります。ここが営業として最も重要な役割だと思います。

顧客の本音というのは、例えば下記です。

・ベンダー決定のポイントは何なのか?(価格の安さなのか?納期の早さなのか?)
・競合他社の提案内容は自社と比べてどうだったのか?(良かった点・懸念点)
・現時点で自社はどの程度の評価を貰えているのか?(しかたなく相見積もりで呼ばれているのか?どの程度期待されているのか?)
・最終的にどのような意思決定をするのか?(複数部門で多数決を取るのか?現場部門が決めるのか?社長の一存?)

顧客の窓口の担当者と良好な関係ができているとこんな本音が聞き出せます。

□コンペ前

「今回は金額が1億円以上のベンダーは最初に断るように社長に言われているんだよね。」

「情シス部長がこれ以上別のシステムを入れると手間が増えるのを嫌がっていてね・・・。おたくの会社とは既に〇〇システムで取引があるから、○○システムと連携すればマスタ入力が自動化できることをアピールすれば刺さると思うよ」

「コンペ当日は営業部長が最初の15分だけ出席する。営業部長は今回のコンペの決定権を社長の次に持っているから、最初の15分は営業部から見た導入メリットをアピールすると良いよ」

□コンペ後

「おたくの会社の提案内容が一番良いと社長が言っている。だけどスケジュールが競合他社と比べて長いから、あと半年短くしてくれれば契約すると言っている。何とかならないか?」

「おたくの見積金額は5社の中で1番安かった。逆に安すぎて、〇〇〇という機能が入っているかどうかを総務部長が気にしている。来週水曜日に社内で本件について打ち合わせを行うので、それまでに〇〇〇機能が入っているかどうかを説明できる資料を作ってメールで送ってもらえないか?」


というイメージです。こんなに上手く聞き出せたら、苦労は無いのですが・・・(笑)

(3)最終的に対価としてお金を払ってもらえるよう顧客に寄り添い、時に交渉する。これは文章の通りですね。システムは完成してハイ終わり、ではなくお客様が期待していた通りの使い勝手や、機能がきちんと盛り込まれているか、きちんと確認してもらってからお金を頂きます。この作業を検収と言います。

例えばメルカリでモノを買ったときも、届いた商品を自分が確認してから出品者にお金が支払われますよね。あの確認作業が検収です。

上に書いた、”お客様が期待していた通りの使い勝手や、機能”をお客様から一番最初に確認しているのが営業です。そのため、もしシステムに期待と異なる点があった場合は、営業は意思相違が起きた原因と、今後の対応策を社内で検討し、顧客に説明する責任があります。

以上がざっくりとしたSier営業の仕事の流れになります。

おわりに



Sier営業が不要と言われるのは、上記の(1)~(3)全てを行うことができる、顧客との太いリレーションを持っているベテランのSEがすでに顧客に付いているパターンが多いのかなと思います。その顧客の担当歴が長いほど、顧客や導入しているシステムについての理解度は当然高くなるので、顧客に信頼してもらえます。

ベテランが信頼される、という点はもちろん営業にも当てはまります。私は2社しか経験していないので確かなことは言えませんが、大体は課長クラスの営業が既存顧客と太いパイプをしっかり握っていて、若手営業はその手足となってサポートする動きが多いです。

一方で、Sierとよく比較されるSaaS企業のようなビジネスモデルは、特定の既存顧客と長く付き合うというよりは、新規顧客に対して自社のサービスを提案し、契約してもらうまでが営業の主な役割となっているのかなと考えます。

もちろん、既存顧客に対するクロスセルや関係維持を行うカスタマーサクセスという部門もあるかと思います。ただSierと異なり、取り扱っているのはあくまで自社サービスという限られた領域です。そのため、顧客と日々コンタクトを取り、リレーションを構築するというよりは、自社サービスを上手に、かつ長く使ってくれるようにサポートする側面が強いのかなと思います。

Sierと比較してSaaS企業では、年齢層が若い営業の方が多く活躍している印象があるのは、このように分業化が進んでいて特定のベテランしかできない仕事が生まれづらい(=若手が活躍できる)といった理由もあるのかもしれません。また、私のような若者には苦手な人が多いとされる、顧客との会食や接待なんかも、ひょっとしたら少ないのかもしれませんね。

(THE MODELは読みましたが、SaaS企業で実際に働いたことがないので、間違っていたらすみません・・・。)

本記事の作成を通じて、Sier営業という仕事に対して自分が面白いと感じている部分、不満や課題として感じている部分の解像度が上がった気がします。

なので、次回は、IT業界の営業職としてのキャリア観について書いていけたらと思います。

それでは、お読み頂き、ありがとうございました。
またお会いしましょう。