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自分にぴったりの家具の選び方

家具を選ぶときに、何を重視していますか?
デザイン、サイズ、色、価格、他の家具とバランスがとれるか、など色々と注視することはありますが、今回は、少し見方を変えた家具の選び方のお話です。

自分にピッタリ合うって?

たとえばいつも座っている椅子。
足は床についていますか?テーブルとの高さバランスはどうでしょう?
背骨は痛くないですか?
何気なく座っていても自分の身体にあっていないと使いづらくなってしまいます。
長時間座っていても疲れない椅子、寝心地の良いベッドなどを選ぶとき、人とモノとの関係性を見直していかなければなりません。
自分にピッタリ合うとは、自分の身体にあっているということ。今回はそういった観点である「人間工学」という学びから家具の選び方をお伝えします。

人間工学

人間工学とは、「人間に直接かかわりをもつあらゆるシステムについて、人間の数々の特性を知って取り込み改善する工学」と定義されています。
19世紀前後のイギリスでの産業革命以来、機械文明の発展はめざましかったのですが、大量生産や効率化を求めて人の手で制御しにくいシステムで事故が多く、その環境の中から「使いやすさ」「扱いやすさ」を考えることにつながりこの学問が普及してきました。

人間工学の基本

人間工学の最も基本となるのが人体寸法です。
身長を1とすると肩幅や座高、下腿高などある程度比例して推測できるんです。たとえば、私の身長は156cmです。肩幅は身長に対して約0.25の39cmです。ハンガーを選び際に40cm前後の物を購入すればよいということがわかります。
他にも目の高さまでは0.9。座高が0.55。など身長から推測されることがたくさんあります。
また質量(頭部、胸部、脚部など)の配分も設計時に必要になることがあります。具体的な数字というと、成人の頭部の質量は、全体重の8%である。そして、背もたれのないイスに腰かけたとき、座面の受ける力は、全体重の約85%とみなしています。とても大きい方が「この椅子に座っても重量大丈夫かな?」と心配される際もこの数字が目安となりますね。
設計時にはこの人体寸法に加えて、動作に必要な動作空間を計算して計画をしていきます。このように人間工学とは、人の身体のつくりや行動パターンを基にして、使いやすく自然な状態で使いやすいようにモノや空間を設計し、実際のデザインに落とし込んでいくという学問が「人間工学」です。

椅子の役割

椅子は身体に接してそれを支える役目を持ちます。
それとは別に快適で体に負担をかけずに仕事や勉強に集中しやすい環境をつくることが大切となってきます。
人間工学に落とし込むと、まず座ったときに「坐骨結節点(おしりの骨が座面に当たる位置)」と呼ばれる点を基準に椅子が設計され、椅子全体のフォルムや前後左右の寸法はこの点を土台として、目の高さや肘の位置など計算される。骨盤や背骨のアーチに無理がないように、また身体全体の姿勢がより自然で負担がかからないように、長時間の使用を前提とした設計が基本となってきます。
もちろん足がぴったりと床につくように平均的な座高からシートまでの高さも計算されているんです。
足が浮いていると体の余計な部分に負担がかかるだけでなく集中力もとぎれてしまうので、オフィス用のチェアの座面高がレバーで調整できるようになっているのはこの人間工学の観点からだと推測されますよね。

ベッドの役割

つぎにベッド。寝ることによって頭部、胸部、骨盤といった3つの体の大きな要素+重力をマットレスで支え、さらに身体全体に快適さが重要となります。
ここで大切になってくるのは体圧分散という考え方です。
体圧分散とは、身体にかかった圧力を分散させるということ。
例えば、胴上げをされる際に1人でかかえられるより、より多くの人に支えられた方が安定しそう、と想像できます。(胴上げされたことはないのですが。。。)
これは身体の質量がどの部分に多くあるのかということに関係してきます。高額なよいマットレスは質量の多い頭部、臀部(腰)に多くのスプリングをいれて支えるように設計されています。体圧分散に優れないマットレスを使用し続けていると身体に強いストレスを与え続けることになるからです。
マットレスを選ぶ際は自分の身体の重い部分がマットレスのどの部分になり、その部分のコイルはどうなっているのか。自分の体重に対して固すぎないか、柔らかすぎないのか、をしっかりと検証することが大切です。
 

まとめ

このように、ただの使いやすい家具ではなく、このように人間工学見地をふまえて家具はある程度設計されているのですが、選ぶ側も知識をもって選ぶことも大切ではないかと思います。
まずは自分の身長から、肩幅や座高など実測してみてくださいね。


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