特別展「皇室の名宝」、ベトナムに住む私がぜひ見たい逸品
縁あって、オンライン記者会見(の見逃し配信)に
参加させていただいたので、ベトナム在住者の目線でレポートしたいと思います。
7月20日(火)~8月29日(日)の間に
太宰府の九州国立博物館で開催される特別展
「皇室の名宝 ― 皇室と九州をむすぶ美 ―」 です。
皇室にはたくさん、お宝があるんだろうなぁ~ 程度の意識はあったのですが、
宮内庁に三の丸尚蔵館という保存&研究の施設があるのですね。
そのくらい、お宝がたくさんあるということ。
現在の収蔵品の総数は約9,800点だそうです。
今回の展示では
・貴重なお宝が九州でまとめて公開されるのは初!
・九州各地から皇室に献上したお宝が初めての里帰り!
・7世紀から20世紀までの日本美術の名品が一堂に!!
ということで見どころいっぱいなのです。
ベトナム在住の私が特に見たいと思うお宝
例年であれば夏休みの一時帰国のついでに太宰府まで足を伸ばして…
といきたいところですが、今年もコロナの影響でそれは難しそう。
ですが、もしも行けたらぜひ見てみたい!というお宝をご紹介します。
それは
蒙古襲来絵詞
鎌倉時代、モンゴル軍が日本を襲った「元寇」。
この絵は1度目の文永の役(1274年)を描いたものです。
当時、モンゴル軍はベトナムにも侵攻していました。
日本には2回襲来していますが、ベトナムは3度も襲われています。
初回(1257年)は元軍は食料の調達ができず、暑さにも参って撤退
2回目(1285年)は首都も追われ、降伏しようとの話も出たが粘り強くゲリラ戦で対抗し、追い返す
3回目(1286~1287年)、元軍は本気出して侵攻してきます。初回の食料調達のまずさを反省し、500隻の船で食料を輸送しつつ、30万人の兵力で攻め込んできます。
ベトナム軍はこの輸送船団を攻撃し、大量の武器と食料を奪取。
さらに、敵の上陸が予想される湾内で満潮時に杭を仕込み、干潮で杭にかかった元軍を一網打尽にします。
(↑ 3度めの蒙古襲来で蒙古軍と奮戦するベトナム軍。ハノイの歴史博物館の収蔵品です)
この作戦の指揮を執った名将「チャン・フン・ダオ」は、
今ではベトナムの神様として、多くのお寺で祀られ、尊敬されています。
(上の写真はホーチミン市1区にあるメリン広場の銅像。背後のビルが工事中でも、勇ましさに変わりなし!)
日本に3度めの蒙古襲来がなかったのは、元軍がベトナムで苦戦を強いられ、
日本襲来の余力がなかったことも要因のひとつと言われているそうです。
日本人にはほとんど知られていないチャン・フン・ダオ、
実は日本の恩人でもあるのです。
会場でご覧になるときには、ぜひチャン・フン・ダオのことも思い出してくださいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?