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#13 2つのBA ーDX推進の実際③ー

◆DX戦略の策定 2

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前回は
 
「DX推進活動」の第一歩として、「戦略と目的の整合性確認」の重要性をお伝えしました。通常、企業活動には経営戦略や事業戦略が存在することはビジネスの前提となります。「DX推進活動」では、それらの戦略に沿った形でDX推進戦略を立てることが必要です。さらに、企業内で実施する様々な「DX推進活動」はこのDX推進戦略に基づいた「DX推進計画」を策定します。

DX推進活動の戦略
では、「DX推進活動の戦略」とはどのようなものなのでしょうか。DXは、社会に新しい価値を提供するため、ビジネスや組織を最新のデジタル技術の力で変革する活動です。ですから、その戦略は、どのような価値を顧客(社会)に提供するのか、それを実現するために何を変革するのか、その変革活動はどのようなデジタル技術を用いて、どのように行われるのかをデザインすることになります。
そのために、次の4つの手順で戦略を考えます。
 1.ビジネスを遂行する組織の現状を知る
 2.目的とする変革によってもたらされる顧客や社会の価値を想定する
 3.遂行しようとするDX推進活動のリスクを見積る
 4.全体を取りまとめて戦略を策定する

1.ビジネスを遂行する組織の現状を知る
 
何をやるにも自己分析が大事なのは言うまでもないことです。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という有名な教えもありますが、まずは自分を知ることから始めます。
 「自分を知る」とはどういうことでしょうか?もちろんここで言っているのはビジネスの話ですから、ビジネスを実行している組織や、能力の実態を知り、存在するビジネス環境に関する問題点を知ると言うことです。「DX推進活動」は既存ビジネスの深化から発想するものもありますが、全く新しい発想でゼロから創り出すものもあります。どちらにしてもその活動母体となる企業や組織の現状を理解する必要があります。

現状を知るために必要な活動
 
現状を知るために必要な活動は、幾つかのカテゴリーに分けられます。

●既存の企業内文書の分析
 
組織図、事業計画、ITシステム設計書、業務手順書など、多くの書類が存在します。ただし、筆者の経験では、これらの書類に記載されていることが現状を表していないことがあることに注意が必要です。つまり、作成時点から修正や追加などのメンテナンスがされていない可能性があります。信頼性のない文書の分析に時間をかけても意味がありません。事前にある程度信頼性のチェックを行い、分析対象とするか判断する必要があります。
●ヒアリング
 
DX推進活動のターゲットとするビジネス部門の管理職や職員にヒアリングを実施します。このヒアリングは、ビジネスアナリシスでは「引き出し」と呼ばれています。これは、情報を引き出すという行為を表す動詞です。ビジネスアナリシスでは、この「引き出し」という行為を重視しています。文書調査や「引き出し」によって、現場感覚から発生するビジネスニーズ(ビジネス要求)を知ることができます。
現状のビジネス環境の構造化
 
現状のビジネス環境を構造的に捉えるということは、様々なビジネス要素を可視化することになります。ビジネスを可視化することで最大のメリットは、ビジネスに関わる人すべてが同じ言葉で、同じ認識を共有するためのプラットフォームになることです。

次回は
 ビジネス要素の可視化、つまりモデル化について次回掘り下げて説明することにします。


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