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生観戦の記憶② 灼熱の延長戦

現地観戦した鳥肌ゲーム。第二回は高校野球千葉大会決勝

2005/7/27  銚子商 vs 拓大紅陵 @千葉マリンスタジアム

銚子商業 000300000002 5               拓大紅陵 111000000000 3(延長12回)

銚子商業。かつて全国制覇を果たしたこの古豪も、95年以来10年甲子園から遠ざかっていた。監督の斉藤氏は、かつて同校の黄金時代を築き、74年には全国制覇を遂げた斉藤監督の実子。親子二代での甲子園が期待されていた。

一方の拓大紅陵も92年に全国準優勝の強豪。この年の春には、全国に知られたスーパー1年生、大前選手も入学し、名将小枝監督(後に日本代表監督を務める)の元、3年ぶりの甲子園を狙っていた。

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決勝戦は台風の為、1日順延。翌日は快晴となるが、台風一過でただでさえ風が強いマリンは強風。気温36度の強烈な暑さの中、試合開始。私は日陰になる二階席に逃げ込んだが、陽の当たる一階のほうが満席。両校の人気の高さが伺えた。

試合は初回から拓大紅陵が小刻みに加点し3-0と主導権を握るが、銚子商も4回に一死満塁の好機。ここで阿尾選手がレフト大前の頭上を越える走者一掃打を放ち、同点となる。

その後、拓大紅陵はエース露崎が負傷のためか継投策に。ここで交代した投手が噂の大前。これがスタンドから観るに露崎よりも速い。試合は膠着状態となり、延長に突入した。

銚子商のエース遠藤は一人で投げぬく。最大のピンチは11回裏、2死2塁で3番大前の放った大飛球をセンターが好捕。拓大紅陵が最も甲子園に近づいた瞬間だった。

その直後の12回表、銚子商は2死1、2塁の好機。ここで4番福田が大前からタイムリー3塁打で2点勝ち越し。3時間28分の熱戦は銚子商の10年ぶりの優勝で幕を閉じた。

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銚子商は甲子園で初戦こそ勝利したものの、次戦で敗退してしまった。この試合で消耗しきったのだろうか。それほどの死闘だった。私も日陰とはいえ、よくあの炎天下に耐えたものだ。今ならとても無理。時の流れの残酷を感じる。

翌年、両校は再び準々決勝で対戦。今度は拓大紅陵が5-2でリベンジ、さあ甲子園かと思われたが、決勝で千葉経大付にまたも延長で惜敗。結局スーパー1年生だった大前が甲子園の土を踏むことはなかった。

その後現在まで、両校ともに甲子園出場は果たしていない。斉藤監督(銚子商)は09年に退任後、18年に59才の若さで早逝。一方の小枝監督も、その1か月後に後を追うように鬼籍に入った。ご冥福をお祈りいたします。

                

     

                                                                                                 




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