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国内連覇を目指す王者ZETA 「妥協なく全てやりきった」Lazが手に入れた確かな自信

「まずは日本予選一位、そこに全てを賭けます」

Lazはそう決意を口にする。

「2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 - Masters Reykjavík」における華々しい活躍が記憶に新しいZETA DIVISION(以下、ZETA)は、「2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage 2」においても期待を裏切らないパフォーマンスを発揮し、Playoff Finalsへと駒を進めた。

メタ(ゲーム内で主流となる戦術や戦法)の変化の激しい『VALORANT』では、Stageの切り替わりで大きく調子を落とすチームが世界的に見ても珍しくない。そういった環境下で前評判通りの活躍を見せつけたZETAは、世界でも指折りの安定感を持ったチームだと言える。

世界戦以降の変化や新環境への適応がLazやチームにどのような変化をもたらしたのだろうか。

自信を確信に変え、洗練された強さを手に入れたZETA

世界大会での活躍以降、ZETAのVALORANT部門はあらゆる注目を集めた。世界の壁を突破するという快挙はゲームジャンルの垣根を超えるほどの一大事であった。そして、当事者であるプレイヤーやチームにも大きな変化をもたらしていた。

「自分たちの実力に対して、確信に近いような自信を得たこと。それが最も大きな収穫でした」

普段の練習試合で「自分たちは相当強いはず」という手応えはあった。しかし、実際に世界大会で戦うまでは本当のところは分からない。練習で培われた自信はあるものの、実績に裏付けられた確信は無かった。

それが、世界大会で結果を出したことで「世界にも通用する」という確かな自信に変わった。その自信は実際のプレイにも好影響を与えている。

「自信に裏打ちされた冷静さや落ち着きが、特に少人数戦での強みに繋がっているなと感じてます」

『VALORANT』の競技シーンでは、全プレイヤーが生存している5vs5の時点ではスキルや射線の量が多いため、セットアップなど事前の決め事や作戦の練度・種類の豊富さが重要だと考えられている。だが、人数が削れてくるにつれて個の強さがものを言うようになる。その「個の強さ」には、撃ち合いやスキルの使い方だけではなく、細やかな駆け引きにおける精神的な冷静さも含まれる。そういった局面で自信をもって戦えるメンタリティの影響は大きい。

また、世界大会を経験したことで少人数戦での具体的な課題も浮き彫りになった。リテイク時の動きの見直し、コミュニケーションの修正など、強くなるための材料をいくつも見つけることができたのはチームにとって幸いだった。

LazがStage2を振り返って印象深い試合として挙げたのは、PlayoffsでのFAV gamingとの激戦だ。HAVENのAリテイクでの少人数戦を何度も制したことで、最終的には勝利をもぎ取った。チームの課題を、本番で払拭して見せた。


今なお全メンバーが凄まじい速度で成長するZETAだが、中でもLazが一番成長を感じているのがDepだ。

「もともとDepは緻密な戦略や連携を基にして動くようなタイプじゃなかったと思うので、今のZETAで活動することで一番成長したんじゃないかなと感じます」

Laz自身も、昔は個人主義で自由奔放なプレイスタイルの時期もあった。だからこそDepの成長に最も共感し、評価している。Stage 1での活躍におごることなくStage 2においてもZETAは変わらず成長を続けている。だがそれでも油断できないのが『VALORANT』の世界だ。

手探りの新環境でも、100%の全力を出し切った

「2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage 2」は、例年のごとくパッチの変更により大きくメタが変わった。特に鍵となっているのはフェイドだ。彼女の出現により、前のメタでは通用していたセットアップやラッシュが通用しなくなる場面も増え、新しい構成を探る必要に迫られた。

https://twitter.com/VALORANTjp/status/1532738893069438976

ZETAはチームメンバー総出でアイデアを出し、最終的にはコーチがまとめつつ作戦や構成を決めていった。

「例えば『イニシエーター3人が強そう』や『KAY/Oが増えて別のエージェントが厳しくなったかも』といった手探りの意見を日々みんなで出し合って、確かめ合う日々でした」

限られた時間の中でチームの強さを高めるには練習の質と量と処理速度が何よりも重要だが、今大会でもその部分は極限まで突き詰めて「やれることは全てやった」と自負している。パッチの切り替わりでチームの強さは簡単に逆転してしまうのが『VALORANT』の怖いところだ。実際にStage1の王者が予選で敗退してしまった地域も既に存在する。長期に渡って勝ち続けることがいかに難しいか、ZETAは過去の経験から身をもって理解している。

「だからこそ、妥協せずに100%の練習をやり切りました」

それでもなお、ZETAは苦戦を強いられた。日本大会のレベルの高さにLazは驚きを隠せなかった。全体の個人技も上がり、戦術の幅も明らかに広がっていた。結果だけを見れば全勝だが、内容は生易しいものではなかった。

「どのチームが何をしてくるか全然分からない上に、戦った相手が全員強い。日本という地域がすごく良い状態に仕上がっているなと感じました」

強いチームと戦えることがLaz自身の最上の喜びなのだろうか。激戦の数々を、満面の笑みでそう振り返った。

「特にNORTHEPTIONは成長著しいチームですね。ユニークな戦い方と堅実な連携を両立させた、正統派としての強さを持ってます」

Stage 1で戦った際、ZETAはNORTHEPTIONに対して1マップを落としている。その時点で既に強さは本物だった。それ以降で直接対決することは無かったものの、今大会で数々の強豪を打ち破り、Playoff Finalsまで圧倒的な地力をもってして勝ち上がってきたNORTHEPTIONは、まず間違いなく大きく成長を遂げているチームだろう。怖くもあり楽しみな相手だと、Lazは付け加えた。

「Crazy Raccoonもかなり変化したなと感じました」

以前は個の力で切り開く場面が多かったCrazy Raccoonだが、ロスター変更により連携重視のチームになったと分析している。飛びぬけた個人技だけではなく、多種多様で繊細な連携の妙も感じる。過去のVCTでも幾度となく対決し、ライバルのような関係でもあるCrazy Raccoon。今大会でも戦う機会があるならば「絶対に勝ち切りたい」とLazは決意を語った。

「2022 VCT Stage 2 Challengers Japan」のPlayoff finalは、約2万人の観客が集まる大規模なイベントだ。『VALORANT』の公式大会は配信では数十万人もの同時視聴者数を記録し続けてきたが、コロナ禍においては無観客試合が続いていた。オフライン大会という場で1万人以上もの観客が集まるのは、今回が国内初である。

「世界大会も無観客だったので、今回の大会はとても楽しみにしてます。(歓声で)音響がどうなるか少し心配ですけど」

笑いながらLazは言った。試合前の張りつめた緊張感を保ちつつも、かつてよりも表情は軽やかだ。確かな自信は柔らかな物腰をも生み出しているのかもしれない。

「まずは日本予選一位、そこに全てを賭けます。もし勝てたら、次に目指すのは世界一位です」

果たしてZETAは国内予選連覇となるか。Playoff Finalsが全てを明らかにしてくれるだろう。

新生ZETAの第二幕を見逃してはいけない。

(取材・文 gappo3)


ZETA DIVISIONが出場する国内大会『2022 VALORANT Champions Tour Challengers Japan Stage2』 のPlayoff Finalsはさいたまスーパーアリーナにて6月25~26日に開催。試合の模様はYouTubeTwitchでも配信されます。


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