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地震の時の舞台点検

【ゆるい話】
どうも舞台演出家バックステージです。
普段は稽古場か劇場に居て演劇やミュージカルを作ってます。みなさんに舞台業界のリアルを伝えて行こう思って発信してます。

・今日のお話

まず昨日の地震大丈夫でしょうか?非常に大きな揺れでしたし、停電されたところもあったそうですね。リスナーのみなさまの無事を祈ります。
僕は家でドラマを見ている最中でした。どんどん揺れが大きくなる地震は怖かったですね。


今日のテーマは「地震の時の対応」です。
なにそのテーマ?こうやって大きな地震のときに我々はなにをしているかというと本日の全国の舞台関係者のみなさんはちょっと早め出勤されていつもより多くの点検をされているでしょう。


機構を全面に使われるオートメーションをつかっているところはもちろんですが、
舞台は垂直水平を基本にプランされるので、セットがズレてたりとか破損がないかを調べます。

・舞台の花形の吊り物


そして、とくに吊り物のチェックです。
その吊り物の話をする前に、
吊り物という舞台機構を説明しなくてはなりません。
舞台には各種幕類や反響板、照明用バトン及び美術バトンが吊られています。
(バトン:長さおよそ22メートルの金属製の棒で、舞台面に平行になるよう何本ものワイヤーで吊られています。)


種類がいくつかあって、
緞帳
常設吊り
照明ボーダー
美術バトン
劇場によっては反響版があったりします。


イメージ湧きますかね、舞台上から上をみると何本の棒もあってそれにいろんな物がぶら下がってます。
そして全て昇降、上げ下げが可能です。
特に美術バトンは、本番で絵を変えるためには有効です。木が降りてきたり、あるいはパネルで降りてきてシーンがかわったりとします。

大道具とか照明とかを吊るので、重いんです。

さて、それがどうやって上げ下げされているかというと、シーソーみたいなことなんですね。
例えば200キロの吊り物を舞台上で吊るには、袖で200キロちょっとの重さのしず(重り)を吊らなきゃなのです。一個大体10キロとかの重りでを20個くらいのけて均衡をとるということです。
シーソーで重さ違う人にどんどん重りをつけていって、まず重さを均等にします。そうすると上げ下げがすごい楽になりますよね?だって違いがないわけですから。
つまり、その重りが20個一箇所に縦に積み上がってるわけです。
地震が起きるとこれが起きる可能性があるというわけです。ストッパーでとめているとは言え、地震の横揺れに耐えられないことがあります。
均衡を保ってるシズがおちるとどうなるかというと、シーソーで重さが変わると重い方がおちますよね。

つまり、吊り物が舞台上に落ちてきますよね。あら怖い、危険。


だから地震が起きた時は、このシズにまずズレがないかを確認したり、安全に全ての吊り物が昇降できるかということを早めに入って確認をするということですね。
舞台関係者のみなさま安全のため本日もお勤めご苦労様です!


この吊り物システムが電動のところや、手引き、いわゆるマニュアルのところで対応は変わってくるかと思いますけど、基本的な構造は同じだと思ってます。

・もし本番中に地震が起きたら

もしこの放送を俳優さんとかが聞いてたら知っといて欲しいのが、本番中に大きな地震起きたら真っ先に舞台上から逃げてください。こういうのを構造を知らない方もいますし、我々スタッフ側もそんな恐ろしいことを大々的に言いませんからね。どんなに安全を確認してても、地震大国日本だとそういうことがあり得ます。
舞台監督さん、演出部さん、制作さんの指示に従う必要ありますが、有事の際はどうしても人間は判断が遅くなります。
地震になったら即中断は我々の基本ですけど、その地震になったらと判断するまで時間が人間として時間がかかります。
昨日の地震でもそうじゃないですか?
あれ?地震、揺れてる、
あ、大きいよこれ、どうしよ、
机の下はいっておく?
うわっ、揺れすごい、隠れて!
みたいな考えが起きてる間に判断が遅れるのです。

だから本番中に地震が起きたら、みたいのは確実に頭に入れといてください。まずは自分の身の安全は自分で守りましょう。
ではまたー、バックステージでした。


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