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オリジナルを聴こう!

#拘りと偏見の音楽 の第2回目はジャズについてです。以前の記事にも書きましたが、私はジャズの魅力はそれぞれのミュージシャンやプレイヤーのアレンジの違いが楽しめるというところだと思っています。

例えば、ロックやポップスなどは、ある曲、例えば「Deep Purple」の「Smoke on the Water」を他のミュージシャンがアレンジを変えて演奏するとそれは「カヴァー」と呼ばれます。じゃあ、クラシックは?ベートヴェンの「運命」を「カラヤン&BPO」が演奏しても「バースタイン&VPO」で演奏しても同じオーケストレーションでの演奏なのが普通です。これを変えてしまう(アレンジしてしまう)ということはありません。ベートヴェンに怒られてしまうからです。でも、ジャズは違います。

生まれも育ちもジャズっていう曲もありますが、大抵のスタンダードナンバーと呼ばれるものは、生まれはジャズではありません。よくあるのが、昔のミュージカルや映画の音楽だったり、ポップスだったりというようなパターンです。なので、現在、よく耳にするスタンダードナンバーは既にアレンジされているのです。

これは私の持論ですが、ジャズに限らず、音楽に限らず、世の中の事象でオリジナルが存在するのであれば、極力、確認すべきだと思っています。「素の状態」を知っていると、それをアレンジしたり応用したりしたもの(現在の姿)の見方がより興味深くなり、かつ納得できるようになるからです。また、あるアレンジと別のアレンジの比較もより一層おもしろくなるからです。

現在はインターネット上にいくらでも情報が転がっているので、調べることは容易いですので、好きなジャズスタンダードのオリジナルを是非、調べてみてください。以下に私の好きな曲のオリジナル(もしくはオリジナルに近いもの)を5曲ほど紹介します。


①You'd Be So Nice To Come Home To
1942年に公開されたアメリカのミュージカル映画「Something to shout about」の挿入歌としてコール・ポーターが書いた曲。翌年、同国のダイナ・ショアが歌ってヒットしたためジャズのスタンダードに。


②Poinciana
原曲はキューバ民謡「木の歌」。これを元にアメリカの作曲家ナット・サイモンが多少手を加えたものに詞を付けて1936年に発表された曲。ビング・クロスビーの歌が有名。ちなみにポインシアナとはマダガスカル原産の木で和名は「ホウオウボク(鳳凰木)」[上の写真]


③Falling In Love With Love
1938年に上演されたシェークスピアの「間違いの喜劇」をパロディ化したアメリカのミュージカル「The Boys From Syracuse」の中の一曲。作曲は「The Sound of Music」で有名なリチャード・ロジャース。シラキュースはニューヨーク州の街。


④What Is This Thing Called Love?
1929年に上演されたアメリカのミュージカル「Wake Up And Dream」の中の一曲。ミュージカル自体は散々な評価だったらしい。作曲は①と同じコール・ポーター。翌年、同国のリビー・ホルマンが歌ったもの。ホルマンはポーターの書いたミュージカルにも出演していた女優。


⑤Days Of Wine And Roses
1962年に制作されたアメリカ映画の主題歌。邦題は「酒とバラの日々」。映画の内容とは裏腹な、しっとり明るいナンバー。作曲は映画「Breakfast at Tiffany’s(ティファニーで朝食を)」、「The Pink Panther(ピンク・パンサー)」、「 I girasoli(ひまわり)」などで有名なヘンリー・マンシーニ。


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