2022年12月の記事一覧
掌編「十年パンイチ」@毎週ショートショートnote
今日で10周年だ。
重度のコミュ障なので、界隈の交流は一切してこなかった。何なら部屋から一切出なかったので誰に会うこともなかった。
しかし、今日という特別な日、避けてきた門をくぐる勇気が沸々とわいてくるのを感じた。
*
お越しいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞこちらに。
本日担当させていただきます、クマズと申します。
始めにお伝えさせていただきますが、パンイチ界隈では、1
掌編「イケメン月餅」@毎週ショートショートnote
〉 けいちん
今日
ちょ、まじやばたすけて
おつ~
どした?
あそこの店員やばすぎてむり
帰り寄ったタピ屋?
ちゃう、五藤まんじゅう屋の。
あのヤバそうな人?
わたし史上一番刺さった。推し確定だわ
チャラかったよね~
フード被ってたしちょっとビビったわ
病んでそうな目とか最高じゃん?ピアスめっちゃ開いてた
よく見てんねw
黒マスクに気を取られて
気づかんかったわ
ダルそう
掌編「クリスマスカラス」@毎週ショートショートnote
彼女は、緑のクレヨンで何か描いている。
ひと通り塗り終えると、今度は赤で周辺を塗り始めた。
私は隣で缶ビールを飲みながら、その様子を眺めていた。
彼女のイメージがそこに出来上がったらしいが、私にはそれが何だか分からなかった。聞くとカラスだそうだ。
これ、鳥…か。
こういう事は思うだけで言わないようにしている。たぶん言っても彼女は怒ったり哀しんだりはしないが、気にすると思うから。
私が彼
掌編「穴の中の君に贈る」@毎週ショートショートnote
あたりは水浸しだ。
最後に残ったのはこの部屋で、他はみんな崩れてしまったようだ。
たぶんもう、この部屋のオレたちしか残っていないのだろう。
なおも水位は上がり続け、いずれこの部屋も沈んで崩れる。
なぜ上に逃げないのかって?そりゃ、逃げる場所があれば逃げるさ。ないから逃げない、逃げられないんだ。
自分の身体の何十倍もの水の塊がひっきり無しに落ちてくる状況を、キミは想像したことがるか?
こ
掌編「男子宝石」@毎週ショートショートnote
「進化した脳ミソのせいで滅びるって、あり得ると思うんだ」
その言葉に、僕は顔をあげた。
放課後の川原。いつもの土手。夕日を背に並んで座る僕らの間を、風が抜けていった。
彼の顔は、猫を見つけて「あ」と呟く時と同じくらい何気ない表情だった。本心から来た言葉なんだろう。
「人間って、なんなんだろうな」
「僕らは別れるべきって言いたいのか?」
彼が最近、何かを考えているような様子なのは気づいて