小説「むき出し」考察25 たべもの

これも一度やってみたかった!!

「むき出し」に出てくる食べ物
全部食べてみたーーっ!!!!(レゲエホーン3回)

実際に食しつつ、物語を考察してみた。

本日のお品書き
◆うまんま目玉◆しょっぱラーメン
◆北海道カレイの煮付け◆アスパラベーコン

メインディッシュ
◆醤油

本日もよろしくお願いします!!!
(長いです!!)


****

◆うまんま目玉

塩と胡椒でしょっぱくして、最後に醤油をいっぱいかけちゃう。米がある時は、うまんま目玉のタレが残ったフライパンにぶち込んで、軽く炒めれば、チャーハンが出来て、お腹いっぱいの大満足。

兼近大樹著 「むき出し」文藝春秋 2021年10月

【材料】卵1個、塩10振り(ボトルから)、胡椒10振り(ボトルから)、醤油4周(醤油差しから)

【手順】まずは普通に目玉焼きを作り、タレが残るように黄身は半熟にしてみた。そこに醤油を多めに垂らし、余熱でタレが乾く前にフライパンから急いで直食い。うんめーーーーー!!!!!✨さすが「うまんま」を襲名しただけある。マジかよ!ナメとったわ💦

そして、残ったタレ(というかフライパンに付いた味)に白飯茶碗半分くらいを投入、再度火にかけ馴染ませる。超うんめーーーーーー!!!!✨ティーチャーすげーよ!!こりゃレシピ本だ!!笑

【ポイント】マジで卵はちょい半熟で残した方がいい!!!あと、余熱で米が乾くとさらに美味しくなるので、炒めるのは描写通り「軽く」でいい。



◆しょっぱラーメン

 手鍋で、袋のインスタントラーメンを作り、味の素をかけ、そこに醤油を入れて、最後に元々ついてくる粉をかける料理だ。
 食器がないからそのまま食べるんだけど、手鍋が熱いから、妹にはインスタントラーメンの袋に麵をのせて食べさせる。

兼近大樹著「むき出し」

作ろうとして、ふと思う。先生っ!塩ですか、醤油ですか、味噌ですか?!💦笑

おそらく顆粒スープが中に入っているのでチキンラーメンではないことは確か。あと、豚骨は値段的に最安値ではないので違うと推測。(偏見w)

というわけで、何ラーメンが「しょっぱラーメン」か選手権開催!✨

🍜塩ラーメン
一番塩分量の多い塩ラーメンが、きっと「しょっぱラーメン」だろうと期待を込めて、説明通りの水と煮込み時間で調理。

味の素20振り、醤油8周しても全然しょっぱくない、、、むしろ醤油入れすぎてほぼ醤油ラーメンwというわけで、3分ぐらい寝かす。そしたら麺にスープが染みてちゃんとしょっぱくなりました!

🍜味噌ラーメン
説明通りの水と煮込み時間で調理。味の素20振り。(つーか味の素って旨味調味料で塩分入ってないから、いくら入れてもしょっぱくならないのでは?と思った。笑)

そこに醤油5周。うぉーーー🔥しょっぺーー!!!味噌の塩味が引き立つぜーー!!!絶対これだーーー!!

🍜醤油ラーメン
「しょっぱラーメン」って食べた後ずーっと口の中しょっぱいから、水だけでお腹いっぱいになってお腹空かなくなるなぁと思いながら、こちらも説明通りの水と煮込み時間で調理。

味の素20振り。(実はこの考察で人生で初めて味の素を使った。笑)そこに醤油5周。おっと?しょっぱさというよりも、味の素が勝ってチキンラーメンの味になったぞ!!ww
なるほど、味変が目的でしょっぱラーメンを作っていたとしたら、醤油ラーメンの可能性が高い!

【結論】たぶん醤油
それよりも驚くべきは、妹のようにパッケージの袋の上に麺をのせて食べると、しょっぱさがグンと増すこと!!!!塩も味噌も醤油も、こっちの方が断然美味い!!✨石山くんは妹想いなんだなぁww


◆カレイの煮付け

「カレイの煮付けなんかオカズじゃねぇんだよ!」
 いとこのお父さんが釣った、晩御飯のオカズ。パパが帰ってくる前にママとねーちゃんと妹と作ったのに、作ってる最中に味見させてくれた時、すごく美味しかったのに。

兼近大樹著「むき出し」

札幌市から一番近い海釣りっていったら石狩湾なのかなぁ?ここはカレイがたくさん釣れるようですね。しかも丁度今がシーズンみたい。

北海道はカレイの種類が豊富らしく、
マガレイ、クロガシラ、ソウハチなど
本州では見れないカレイも釣れるとか!!

てなわけで北海道から取り寄せちゃいました、
ジャーン🐟✨(写真無いんかい!ww)
でっけぇーーーー!!!!✨迫力すげぇ!!ww
なるほど、こんなに大きいなら家族分のおかずになるわ。

そして、「味見させてくれた」ってことは切り身かもしれないと思い、豪快に包丁を入れ、切り身で煮込む。
うっめーーー!こりゃもう肉だ!!(違います)

あとこれ、作るの相当楽しかったと思う!!!✨

釣魚をもらってきたわけだから、魚の大きさも太さも個性あって、下処理も下ごしらえも、きっとママとねーちゃん、石山くんと妹で、絶対ワイワイ騒ぎながらやっただろうなぁ♪(となると、パパがひっくり返す切なさがより際立つ、( ;  ; ))

☀️3/28追記 
ちょっと待って!!「ひっくり返した」なんてどこにも書いてないことに今気付きました!怖ぇー。想像力と先入観こぇー😱💦


ちなみに「いとこのお父さん」が釣ってきたカレイとあります。
「〇〇おじさん」ではなく「いとこのお父さん」という言い回しってことは、父方か母方の姉妹の旦那さんってことでしょうか?


このエピソードは会社が倒産した年に起こっており、会社が倒産してからカレイの煮付けまでは、ネズミも飢え死にする生活の中、しょっぱラーメンやうまんま目玉を食べていた。

「自力で立て直してやる」「俺は金を産むんだ」と根拠のない自信だけは失わぬよう、ギリギリで保っていたのに、そこに施された豪華なカレイ。

カレイがもしパパ側家族からだったら「カレイなんかで収まるかよ!」だし、ママ側家族からだったら「同情されてたまるか!」だし、、、
(パパさんの考察は、いずれ盛大に書きます!!)



◆アスパラベーコン

アスパラベーコンが出てくるのは、16歳の石山くんが、ハイエースの中で「この空の下たった一人」と思いながらお弁当を食べるシーン。

「むき出し」のちょうど折り返し地点で、「YouTubeひっくり返したらラジオ」で、

空くんとサシで語り合い、
石山くんに唯一残ったラジオと
石山くんに唯一聞こえたラジオが交わる
「君の名は」的な、超超超重要シーン!!

(そして、なんと4月からEXITが「オールナイトニッポンX」の金曜パーソナリティに!!鳥肌✨)

でね、このシーンのお弁当にアスパラベーコンを入れた著者、私、マジで天才だと思うんです!!!✨

お弁当を作ったことのある皆様ならご存じ、
アスパラベーコンは冷凍おかずで売っていない!
出来合いでもお惣菜でも売ってない!!

つまり、生のアスパラとベーコンを買ってきて、お弁当のためにわざわざ調理したという証!!

まして、裂いて巻いて打って炙って、と
これほど手間のかかるおかずはない!!


それが石山くんの「いつも通り」のお弁当。

どんなに家族を傷つけても、朝起きるとママの「いつも通り」の愛情。「いつも通り」に手間をかけられたアスパラベーコン。

だから石山くんは、余計に苛立ち、余計に泣く。

そしてアスパラベーコンがしょっぱいのは
醤油がかかっているからでは、、、?

(そして実験、試食、おぉやっぱりだ!!)

くぅーーーー!!ティーチャーマジ天才だ!!✨


さあそれでは、本日の出演者もう一度カモーン!
(お笑いライブのMC!笑)

カレイの煮付け、うまんま目玉、しょっぱラーメン、アスパラベーコン。

さらに今回、バラシとなってしまった

ゆうとんちのさくらんぼ、
畑の赤ちゃんとうきび、
くまだ商店のお菓子、
友達の家のご飯、
給食の牛乳、
コンビニのビックリマンチョコ、
現場の梅おにぎりとカップ麺、
溜まり場のチューハイ、
デークラ車内のポテト、
芸人飲み会の酒、
スナックのオレンジジュース、
機内のコンソメスープ、
などなどなどなど!!!!

さぁ結論です。

そして、これら小説「むき出し」の食べ物には、腹を満たす栄養という役目以上に、人との繋がりの象徴のような役目を果たしていると思います。

石山くんは食べ物に決して恵まれた方ではなかった。
だからこそ、「食べ物を通じて人との繋がりを感じる」ということを、この小説から強く感じることができる。

たかが食べ物。
されど命や幸福感には欠かせぬもの。

「人に優しくなる」がテーマのお話だからこそ、きっとこのコンセプトは著者も伝えたかった点ではないか!!と私は思うんですっ!!!!

もうね、ここだけは著者に「ちげーよ」と言われても「いいえ先生はそう書いていますっ!!」と飛沫を飛ばしながら、慣れないオラオラで私は訴えます!!笑

その最大の証拠はこちら。

メインディッシュ◆留置場の醤油

世界は隔たれているんだ。

「飯だ」
小窓から看守が弁当を入れる。この看守はどうやって今に至るんだろう。
(中略)
「醤油は?」
「いります」
全体にパーッとかけて、米にも少量かける。
「ありがとうございます」

兼近大樹著「むき出し」

ここに飯のシーンを入れた意味。

世界は隔たれているはずなのに、食べ物は隔てを越えて入ってきているんです。
米も、醤油も、漬物も、食器も、それらを作った人たちも、それらを渡す人たちも、
分断のために作った塀を越えて入ってきているんです。

そして、読書により覚醒した石山くんは、「看守はどうやって今に至るのか?」と、この弁当をきっかけに、弁当を渡してきた看守の背景を考えます。
また、漬け物を噛みながら「刑務所に行けばあったけぇ飯食えるんだぜぇ?」と、おっちゃんのことも思い出します。

渡す側ももらう側も、外側も内側も、
気づき次第でつながれるんじゃないか。
相手の背景を思う、ただそれだけで。

そして米にかける醤油。

うまんま目玉
しょっぱラーメン
カレイの煮付け
アスパラベーコン

石山くんがこれまでの人生で散々かけてきたであろう醤油。

その醤油差しはどこから来た?
かけ終えた醤油差しは、これまでどうしてた?
誰から受け取り、誰のもとへ向かうのか?

そこに気づいた石山くんだから
本作品で、最初で最後の「ありがとうございます」を声に出した。



「これを世界中が心がければ、世界中が一気に優しくなれると思わねぇか?」ってことを伝えるためのこのシーンであり、この醤油なのだと私は思います!!オラオラぁ!!笑


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