かふぇ あたらくしあ の 徒然 #4
この後記すテキストは、あたらくあからのご案内ではありません。
これはSNSから拾ったあるジャズ喫茶のお客様へのご案内文。
ジャズ喫茶に限らず、いわゆる名曲喫茶と呼ばれるクラシックの音盤を流し、あるいはリクエストを受け付けてくれる店でも、こういった類の案内をネットに掲載したり、店のエントランス、店内に張り出す店は多い。
それはそうだろう。店の大切なコンセプトが「音楽をじっくりゆっくり聴き、味わう」という店にとって、「会話」、そしてそれを誘引する「複数人での来店」は、その根幹を揺るがす事態を生じさせるのに十分であり、結果集客にも影響を与えかねないから。
ジャズ喫茶や名曲喫茶を営んでいる方々の苦労を感じずにはいられない。
一方、あたらくしあはクラシック音楽をLPやCD、そして蓄音機が奏でるSP盤で楽しんでいただくことを大切なコンセプトにしてはいるけれど、おしゃべり禁止でも、複数人数での来店を拒むような対応もしていない。
というより、おしゃべりもグループでの来店も大歓迎の店であることを、事あるごとに色々な手段でお伝えしている。
従って名曲喫茶並に、音楽を集中して聴きたいと思い来店されるお客様の期待にそぐわないこともある。特に比較的店内が混雑していて、それぞれ様々な目的、用途で店にいらしていただくお客様が多ければ多い時ほど…。
あたらくしあにお越しいただくお客様の層や目的は、大きく分けて3つあると思っているのだけれど、今日はそれをお知らせするのが目的ではないので、また別の機会に。
さて今一度、最初に掲げたジャズ喫茶のご案内文をよーく吟味していただきたい。
どうしても私の目に入ってしまうのが、このテキストの中に「否定」だったり、「規制」をする言葉遣いが9つ(も)あることだ。
「不向き」「出来ない」「禁煙」「のみ」「のみ」「NG」「一枚となる」「出来ない」「出来ない」
私がradiomanだった頃、アナウンサーやパーソナリティの試験やオーディションの際、フリートークの課題で大切なチェックポイントにしていたのが、「話を否定から入らない」ということだった。
否定することをベースにおいて話を組み立てて始めると、聴いている側からすると、たとえそれが面白く重要な話であっても、あまり耳にはよく響かない。どこか気持ちに良くない引っ掛かりが生じる。
そしてそれ以前の問題として、そう話し始める喋り手本人は余計なエネルギーを使う(浪費する)ことになる。
否定から入って、最後にポジティヴなメッセージに持って行くのは大変なことだ。
だからこのお願い文の最後、
は、お店の方の真摯な思いに決まっているのだけど、読んでいる方はその真摯な思いを理解しにくくなる。残念ながら。
できれば「お願い」や「規制」「条件」を表に出さなくても(暗黙の了解として)、店側もお客様も互いにいい時間を過ごしていただく、過ごせたと思える空間や時間であったのならば最高なんだけど。
これはあたらくしあが掲げる大切な、そして叶えたい希望です。
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