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クレデンザ1926×78rpm邂逅 #123~D.オイストラフ『ノクターン』(スクリャービン)

ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)が、アブラム・マカロフ(ピアノ)とレコーディングしたスクリャービンの『ノクターン 嬰ヘ短調』。

この旧チェコスロヴァキアのウルトラフォンのSP盤がオリジナル。

詳しい録音年月日はわからないが、かなりのハイ・レヴェル・カッティングで音が鮮明なことと、アメリカではマーキュリーがLPレコードでリリースしているあたりからして、戦中戦後あたりの比較的新しい電気録音ではないかと思われる。

オイストラフのヴァイオリンはいつも力強さ(決して力んではいない)と音の豊潤さと峻厳さを併せ持った立派なもの。

曲が神秘主義のスクリャービンだからと言って、わざと聴き手を惑わすような小細工をしたりすることなく、ストレートに弾き切っている。

それによって曲本来が持つ美しさを感受し、スクリャービンというその正体を掴みづらい作曲家が、実はドビュッシーやラヴェル、シェーンベルクといった同時期の作曲家に勝るとも劣ることのない、当時の現代音楽の潮流を代表するの天才であったことを思い知ることになる。

クレデンザ蓄音機で、余裕のオイストラフを。

かふぇ あたらくしあ


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