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ブルックナー関連まとめ

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ブルックナーの交響曲聞き方ガイド(入門編)

 ブルックナーの交響曲は、クセが強い。  曲の長さ、音楽の展開方法、オーケストレーション、いずれもロマン派屈指のクセの強さである。  一方で、作曲者の生前から今日に至るまで、熱狂的な信奉者やマニアックな愛好家がいるのもまた事実。  彼らはただの変わり者なのだろうか。あるいは、ブルックナーの交響曲にはどんな秘密が隠されているのだろうか。  今回は、ギュンター・ヴァント指揮、ハンブルク北ドイツ放送交響楽団による往年の名演奏をめぐりながら、ブルックナーの交響曲の魅力に迫っていきた

ブルックナーの交響曲聞き方ガイド(初級編)

 第4番《ロマンティック》や第7番の次に聞くべき交響曲はどれだろうか?  実は、それは第1番ではない。 1.ブルックナーの交響曲第1番はマニア向け 有名どころの第4番や第7番に慣れ親しんだからといって、第1番から順に聞いていくのはおススメしない。  第1番や第2番は、はっきり言って地味である。  交響曲ジャンルにおけるブルックナー独自様式の確立を歴史的に見ていくという点ではいずれも重要な作品(第二交響曲においてブルックナーは交響曲ジャンルにおける自己のスタイルを確立した)

ブルックナーの交響曲は本当にアルプス的かという問いから見えてくるもの

 ブルックナーの交響曲が語られるとき、しばしば「アルプス」という固有名詞が持ち出されることがある。これは日本に限った話ではない。ヨーロッパにおいてもそのような認識が一部にはあるようだ。  しかし、これは本当なのだろうか。ブルックナーの交響曲はアルプス的だと言ってしまっていいのだろうか? 1.ブルックナーとアルプスが結びつけられるワケ前提となる地理的条件  ひとくちにヨーロッパと言っても、たとえば北大西洋や北海の沿岸国の人々(フランスやイギリス、オランダの人々、いわゆる西欧