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◆ショートショート集・作品集◆

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自作ショートショートをメインとする作品集です。一話完結型で御座います。 短編・中編・長編小説など連載形式の作品は「■短編・中編・その他連載■」マガジンへどうぞ。 ※【書籍化した作…
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【祝】5冊目の本が発売開始されました

こにちはぬん。ベビだす。 本日、琥珀ベイビーの5冊目の本がAmazonにて発売となりました。 画像も交えながら、新刊はどういった本なのか紹介したいと思います。 (※作者としてお伝えしたい事もありますので、ぜひラストまで読んで下さい) まず今回の本は、ショートショート作品集です。 琥珀ベイビーのSS作品集としては『w 時々 奇妙』以来の第2弾でございます。 これまでは電子書籍と紙書籍(ペーパーバック)をほぼ同時に発売していましたが、新刊『恋 時々 怖』は紙書籍のみ先行発売です

【創作】隣に越して来たもの【守り猫マモル】

【前回のお話】 興味本位で事故現場を見に行った主人公のOLは、それがきっかけで怪現象と体調不良に悩まされるようになる。 続く怪現象と酷くなる体調不良にとうとう限界を感じた主人公。 何を思ったか「恐ろしい思いをしながら部屋に一人でいたくない」という一心で、ペットショップに駆け込む。 そこで「俺を飼えよ、追い払ってやるから」とテレパシーを伝えてくる一匹の猫と出会う。 何度も生まれ変わり霊格が高く、それ故に波長の合う人間(飼い主)と出会えず売れ残っていた猫は、見事主人公に取り憑く悪

【作品】命綱

チャンスは何度だってある やり直しだって出来る でも ハナっから 「これが駄目でも次があるさ」 そう思っている限り 絶対に全力なんか出せねえ 永遠に出せっこねえ そうして終わって また「次」がやってくるだけ 「チャンスは何度だってある」 それはお前の命綱だ でも取り組む時は その命綱の存在を頭の奥深くにずずずと沈めて なかったことのようにして挑むんだ 登山家を見ろよ 命綱があるからって 気を抜いた登り方なんかしてねえだろ そういうことだよ そういうことなんだよ 自

【作品】春、四月。

春、四月。 何処へ行こうか 何処へ還ろうか 愛しいものの所へ行ってみようか それは感覚でもいい あなたが愛しく感じる感覚 例えば頬を撫でる風 例えば開いた本の匂い 例えば手に馴染んだペン 愛しいものの所へ還ってみようか それは場所でもいい 記憶でもいい 子供の頃から好きだったパン屋 通る度に穏やかな心で眺めた街路樹 そこから見える景色が好きだった坂道 そして人でもいい 温かな言葉をくれた人 安らぐ笑顔をくれた人 涙をくれた人 曇った心を拭いてくれた人 遠くても近くても

【画像作品】Andy&me【創作】

最初に書いておきますが、これはおベビが作った画像作品です。 創作です。フィクションです。 DM画面を模した画像作品ですのでお間違えないように(笑) それでは、作品をお楽しみ下さい。 いかがでしたでしょうか。 『恋 時々 怖』の電子版を作るのに疲れ果て、自分休暇を設けて遊んでいました。 おベビは気分転換に画像作ったりするのが好きなので、気分転換のつもりが夜中2時過ぎから朝4時までかけてこれを作ってしまい、あやうく仕事に遅刻しかけました(爆) 画像の中では写真を相手(And

今カノ、次カノ【ショートショート】

講義が終わった後、いつもの男友達4人で駄弁っていた。 こいつらとは大学の中でも一番仲が良い。が、4人全員が取っている講義はこれだけなので、講義が終わると何ともなしにそのまま居座ってしばらく喋っていく習慣がいつからか定着した。 今日の話題は、大翔に気がある女子のことらしい。大翔はその子が自分を好いていると、かなり自信があるようだ。本人にも今彼女はいない。だがその子と付き合いたいと思うほどでもない、というのが正直な所だという。 「告られたら付き合えばいんじゃね?」 そう言う理久に

【作品】黒百合

淀んだ空の下、激流の川の中に 人一人やっと立てるほどの岩が頭を出している。 激流を割る小岩の上に 闇から紡いだ糸で誂えたような、漆黒のドレスを纏った貴婦人が立っている。 一見うなだれているように見える貴婦人の片手に 一輪の黒百合。 その花言葉は「恋の呪い」。 貴婦人の無言の声が聞こえる。 この激流を、ためらわずにここまでおいでなさい。 私はここに立っている、この激流の真ん中の、あなたからとてもよく見えるこの場所に立っている。 この一輪の黒百合と共に。 激

【ショートショート】交換条件【守り猫マモル】

それは会社での昼休みに起こりました。 わたしはその日の昼ご飯を会社近くのコンビニで買おうと、昼休みになると財布片手にコンビニへ向かい、チキンサラダとサンドウィッチ、野菜ジュースを手にレジに並んでいた時の出来事でした。 ガッシャーン!! 店外から大きな異音が轟き、店の中にいたお客もわたしもレジの店員さんも、一斉に外を見ました。 なんとコンビニのすぐそこの交差点で事故が起き、周囲の車も人々も慌てふためいています。 どういう状況なのかコンビニ内の人全員が気になっていましたが、チ

マラソン大好き幽霊2024【ショートショート】

⭐毎年恒例・一年に一話進む連載型ショートショートを更新する季節が今年もやって来ました⭐ ⭐第一話と第二話は最下部のリンクからどうぞ⭐ 俺は俊也(浩平)だ。 俺は今、ベッドの中で横になっている。 今日は毎年恒例の「マラソン大会の日」だ。 今頃は出場選手たちが受付会場でエントリーをしているところだろう。 なのに今、俺は寝間着のままでベッドの中にいる。 毎年あれだけ本気で取り組んでいたマラソン大会をすっぽかして、ベッドの中でスマホ片手に動画を観ている。 俺の中のマラソン熱が冷め

犬の日②〜【作品】人間と犬

人間 「わたしは人間です。 わたしは人間が嫌いです。 たまに好きな時もありますが、 大抵の時は嫌いです。 人間は、色々なものを奪っていくので嫌いです。 与えられたと感じる時もありますが、 よく思い出すと大抵は奪われているのです」 犬 「わたしは犬です。 わたしは人間が好きです。 たまに嫌な時もありますが、 大抵の時は好きです。 人間は、色々なものを与えてくれるので 好きです。 取られたと感じる時もありますが、 よく思い

【画像作品】イケメンだけどLINEの難易度が高すぎる彼氏

あたしは市松 松子。 あたしにはイケメンで優しい彼氏がいる。 どれくらいイケメンかというと、これくらい。 誰もが振り向くパーフェクトな彼氏なんだけど、文字を打つのが超絶下手で(下手とかいうレベルじゃない)、彼とのLINEには少しだけ苦労がある。 と言っても、キュンキュンの方が大きいんだけど♥️ そうだなー。 例えば、彼氏とのLINEはこんなカンジ。 凹んでても、つい笑っちゃうLINEを送ってくれる彼。 イラついてる時は「日本語 話せや💢💢」と血管浮き出るのはナイショ♥️

【作品】小さな あんにゃ

小さなあんにゃは 小さなおにぎりを持って 小さな遠足に行きます 小さな小路を 小さな歩幅で歩き 小さな丘を登ります 小さな休憩 小さなお手手を 小さな舌で 小さな毛繕い 小さなあんにゃは ピカピカあんにゃ 小さな納得をし 小さな満足をして 小さなあんよを再び運びます 小さなあんにゃ 丘の上 小さなおにぎりをおいて 小さなお口で 小さな一口 小さな嬉しさ 小さな楽しさが 小さなあんにゃの中に広がって 小さなあんにゃは 微笑みます 小さなあんにゃの 小さな遠足 小さな

有料
100〜
割引あり

【ショートショート】クソださ兄貴【弟視点】

(※上は【兄視点】です。読み比べてみてね⭐) 世の中には、理解しがたいものが数多く存在する。 その中でもオレが殊更に理解しがたいもの――それは、 兄貴のセンスだ。 兄貴にはオシャレの「お」も「しゃ」も「れ」もない。 3つ下の弟であるオレから「クソださ兄貴」と呼ばれて27年になる。 兄貴のセンスは、なんていうか、「センスがない」って次元じゃない。 異次元からお取り寄せしたセンスを持っているというか、常人からすると頭おかしくなるようなセンスなんだ。 オレと兄貴は姿かたちは似

【ショートショート】クソださ兄貴【兄視点】

(※上は【弟視点】です。読み比べてみてね⭐) 世の中には、理解しがたいものが数多く存在する。 その中でも俺が殊更に理解しがたいもの――それは、 「オシャレ」だ。 俺にはオシャレの「お」も「しゃ」も「れ」も解らない。 3つ下の弟に「クソださ兄貴」と呼ばれて27年になる。 そんな弟は所謂「オシャレ男子」だ。 そして、とてもモテている。 あと3年で魔法使いになれそうな俺と違って、弟は彼女(これも俺には理解できない女性の形態であり呼称である)が尽きたことが無い。 たしかに、兄の