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ワルキューレの伝説【オタクのめばえ】

1989年にナムコから発表された任意スクロール・アクションRPGです。

当時本作が読者の投票に依りベスト1ゲームとなった事実は、以降のオタク文化が向かう未来を予見させる事件であり現実となりました。
はっきり云うと本作は大したゲームではありません。詰まらなくも悪くもない作品なのですが、制作者の意識が低く凡庸の域を出ない普通のゲームとしか云えないでしょう。

しかし、何故ベスト1に選ばれたのか?
簡単に云ってしまえばキャラクターの媚態に他ありません。これは制作者が故意に作り出したものとも取れますし、または制作者がオタクユーザーに近い気質を持っていた為に自然と作られたものであるとも考えられます。作品の価値としてはジャレコのモモコ120%と選ぶところもないでしょう。

これ以降現在までに人気の出た作品群を見ると、ゲーム本編以外のキャラクターに依り人気となった作品が頻出して行きます。最近であればキングオブファイターズやサイキックフォースなどの格闘物もそうですし、弾幕シューティングの各作品にも如何にもと云うようなキャラクターが登場し人気を博しています。

そのキャラクターたちが狭いオタク層へと阿世するさまに反吐を催されるのは私だけでしょうか?
 
アニメとゲームのみしか知ろうともせずに制作者へと育ってしまったオタク達が見せる自慰行為に、満足を見出せるのは又オタク達に他ならないのです。
デッサンが狂った体型のキャラクターに恋をしろとでも云うのでしょうか。髪の色でしか区別出来ないキャラクターに何を求めろと云うのでしょう。本編には殆ど描かれない糞のようなバックボーンに何を感じろと云うのでしょう。眼鏡をかけた女キャラは知的な引っ込み思案、マッチョなグラサンは心優しき元軍人……こんなステレオタイプのキャラクターで本当に良いのでしょうか?

キングオブファイターズの新作が出ると台の周囲に女の子たちが張り付いている毎回を見た事がおありでしょうか?
彼女らは一切ゲームをプレイしません。キャラクターを見る為だけにゲームセンターへと足を運ぶのです。そうして大門が草薙に勝利などしたものなら、悲痛な叫びを上げるか、ぶつぶつと独りごちるのです(実話)。ゲームが遊ぶ以外の選択肢を与えていると云うのは良く捉え過ぎた詭弁に過ぎません。オタク文化発祥の地である日本が作ってしまった負の進化です。この負は一般ユーザーを遠ざける起因ともなっています。現にゲーム好きである私でさえ容易にはゲームセンターに行きたくないと思わせます。ヨドバシカメラなどにゲームを買いに行くのさえ億劫です。他人を考慮しないが為とてつもない体臭を発する輩を通り抜けなければ購入出来ないのだとすれば、それも当然だと云えるでしょう。

オタクは或る意味で純粋な心を持っているので、メーカーからすると良い固定客であると思います。他の趣味に興味のない彼らはそれ以外に金を使いませんから、その全財産をメーカーが搾取出来るのです。
しかしオタク向けに作られた作品で大ヒットしたものがあるでしょうか? 或る程度以上の売上を誇る作品もある事はあったでしょうが、それでも想定内で済ませられるヒットとしか云えない筈です。

或る程度の売上を予想出来る作品も当然必要です。しかし現在のゲーム業界の停滞を考えると、その縮図をこの部分に見出す事が出来ます。狭いパイに向けて安易な商売をして来たツケが回って来ているのです。
オタクに向けられた低俗な意識の低い作品と、安易に量産される続編物がゲーム業界のA級戦犯と云えます。

現在に未だ繰り返される過ちへの岐路を初めて確認出来たと云う点に於いて、ワルキューレの伝説は画期的な作品だったと云えます。あの当時矯正すべきだった道程を手放しに進ませてしまった業界の罪は、これ以降も罰となり長期に渡る事でしょう。

2005.05.21

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