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1942【面白ければ何でも良い大阪のえげつなさ】

1984 カプコン

●強制縦スクロール●一元ショット●緊急回避●パワーアップ、ボーナスアイテム●敵複合攻撃の妙●敵隊列飛行●敵耐久力●中ボス大ボス●撃墜率●エンドゲーム

ボタン2個使用。一元ショットと緊急回避を割り振った最初のSTGと云えるでしょう。

緊急回避は宙返りの体裁が取られており、敵との高度を異にするところから納得感があります。最中に移動可能な点も見逃せません。また、宙返り後に画面上の敵弾が消滅する部分には以降の特殊ボムシステムの原型が見られます。

空中の敵しか存在しない事からショットボタンを一つとした部分には、スターフォースと同様に内容のシンプル化を目指した結果が見て取れます。

新興メーカーとして登場し大成功を収めたカプコンですが、当時のプレイヤー達が諸手を挙げて迎え入れた訳ではありませんでした。

まだナムコのオリジナル作品たちがゲームの基準であり絶対とされていた時代でしたので、カプコンが続々と市場へ投入する作品はグラフィックのみを綺麗に書き直した劣悪なコピーゲームと取られていたのです。

特にゼビウス熱の醒めやらぬ当時、1942は最悪の評価のもと稼働していたと云っても差し支えないほどでした。

縦スクロールSTG=ゼビウスの模倣と云う印象があったのが理由です。また米軍が日本を攻撃する内容も印象の悪さを助長していたと思います。

そこそこ面白いのだけれど本気で遊び込めるほどの深さを持っていない……これがゲーセンに巣喰っていた多数のマニアが下した評価でした。

‘84暮れあたりに発表された1942は年を越して暫くすると、殆どのゲームセンターで1、2台は設置されているほどの大ヒット作品として活躍し出します。

これは一般サラリーマンやマニアとは云えないヤングアダルトが客層として付いたからに他なりません。

STGとしての原初に満ちた敵を打ちまくると云う内容を評価したのは彼らだったのです。

ゲームとして考えると1942は、「ゼビウスの空中戦だけでも面白いのではないか……」と云うあたりから企画されたのではないかと思われます。あくまでゼビウスをシンプル化しようとしたスターフォースとは出所が近いように見えても全く相違しているのです。

スターフォースからは作家性とも取れる矜持が感じられます。ゼビウスに負けないものを作ろうとする気概も見られます。敵キャラクターの色をゼビウスの銀色に対して金色に設定した部分もその現れかも知れません。連射をデフォルトとする内容にマニアへの挑戦と云う意味合いもあったでしょう。

対して1942には制作者のポリシーめいたものが感じられません。

当時まだ物珍しかったものの安直なパワーアップアイテム、プログラム的にも簡単な敵の複合攻撃、単調を思わせない為だろう中ボス、大ボスの追加。あまり意味のないボーナスステージ。ギャラガからちょっぱって来た撃墜率……。

しかし全てがゲームの面白さに直結しているのです。ここに企画書の上での完成度と、実際のゲームに落とした時の面白さの矛盾相違があり、私達に研究を強いる何かが隠されていると云えます。

長くなってしまったので最後に補足だけ、1942は敵に耐久力を取り入れた最初の成功例でもあると断言出来ますね。

2006.02.04

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