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中国ECはじめの一歩①淘宝(タオバオ)C店とは?

中国で最も大きなECプラットフォームとして知られている淘宝(以下、タオバオ)。B to C, C to Cの両方があり、個人店舗、企業店舗ともに多数の店舗が出店しています。天猫(以下、Tmall)との違いとしてはブランド品に限らず、DIY商品や色々なサービスも売られています。今回はそんなタオバオのお店 通称タオバオC店について詳しく紹介していきます。

●ユニークなバーチャル商品

タオバオには、あらゆるジャンルの出品が多いことから、「万能のタオバオ」と呼ばれています。 その中で、近年ではバーチャル商品が注目を集めています。オンラインのコース教材、デザインテンプレートやバーチャルアカウントに留まらず、画像編集といった技能サービス、実店舗より低価格のリモートプリントサービスなどがあります。

生活・仕事に密着したサービス以外にも、ニッチなニーズを発見して応えることに注力している販売者がいます。例えば、近年、占い師のコンサルティングと学習やダイエットの伴走型コーチングがタオバオで流行っています。

ここで販売数が500以上ある伴走サポートの店を例に紹介します。

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​(画像編集サービスを提供する店の一部)

商品ページでサービス時間とタスク数が選べます。1タスク(監督されたいプロジェクト)1dayプランはおよそ100円で、複数タスクの月額プランはおよそ5000円です。「監督師」と呼ばれるサポーターの性別も指定できます。チャットアプリに文字あるいはボイスメッセージを顧客に送ることで、学習やダイエットなどの進捗に注意を促します。計画達成したら全額返金するプランもあります。一人で計画を継続しにくいというインサイトを見つけて生まれた新しい市場です。

バーチャル商品を扱う店は、仕入れの必要がないため、リスクが小さいです。更に、ノンカスタマイズのバーチャル商品は、顧客が支払いを済ませると、システムが自動的に商品(リンク、アカウントなど)を送ります。 手間が省けるから、 多くの人は副業としてタオバオC店を開きます。そして豊富な商品やサービスはタオバオで統合され、消費者を集めて、販売者に利益をもたらします。これで好循環となっています。

自宅時間が増えているとともに、タオバオにある個性的商品は若い世代を中心とした消費者に重要視されつつある「体験型」消費の需要を創出しています。

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(伴走サポートを提供する店の一部)

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(顧客からのレビュー)

タオバオC店とTmall店舗の違い

同じ商品であっても、タオバオC店はTmallより価格が低い傾向があり、低価格志向の消費者に愛用されています。ただ、トラフィックはTmallのほうが大きいため、Tmallの商品の方が検索で上位表示されやすいです。

タオバオC店は個人店主向けのため、運営する画面は簡潔で、使いやすいです。プロモーションに関わる機能はTmallの運営画面と比べて足りない面はありますが、新人タオバオC店店主にとっては十分な機能があります。

また、Tmallで旗艦店を開店する場合は85万〜255万円(カテゴリーによって異なる)の保証金が必要ですが、タオバオC店の場合は一般的に5万円程度の保証金になります。(保証のために3000元およそ51000円程度の金額を預ける必要はあるが、実質開店無料。店舗を閉店する際に、保証金は返還されます。)タオバオC店は敷居が低く、気軽に始められます。中国市場への新規参入に最適な手法の一つです。

開店プロセス

出典のプロセスとしては、タオバオサイトでアカウントを新規作成してログインします。そこから「免费开店(無料出店)」をクリックすると、個人店舗と企業店舗の選択ページになります。企業店舗に専属マークが付けられているものは顧客から見れば信憑性が高いですが、出店するために中国の営業許可書が必要となりますので、日本の企業にとっては難易度が高いです。

それに比べて個人店舗は、中国籍以外の方はパスポートや中国で発行する銀行カードを用意して実名認証通過すれば出店できます。今回は簡単に出店できる「個人店舗」の仕組みを説明します。

1. タオバオアカウントとアリペイアカウント登録、実名認証
2. タオバオ店舗認証
3. 店舗名など店舗の基本情報を入力
4. 保証金納入

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(タオバオC店の運営画面)

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(Tmallの運営画面)

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(商品をリリースする画面)

売れる店を作る方法

開店出来たら売れる店を作りましょう。ここでユーザー側の視点で注力すべきポイントを説明します。

●口コミの充実

Tmallと違い、タオバオC店でユーザーの購入意思に大きな影響を与えるのはレビューです。ユーザーは悪いレビューをフィルタリングして見えるので、店側はサービスと商品の質に十分注意しましょう。

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また、タオバオC店は個人店の色が濃く個性のあるカスタマーサービスが話題になっています。フォーマルな対応より人と人の交流(カジュアルなコミュニケーション)が重要視されます。一般的な日本のCS対応ではちゃんとした対応が求められますが、タオバオにおいてはカジュアルな形での対応の方が好感度が高いです。一般的な日本の対応は冷たいと感じられてしまいます。差別化したCS対応で顧客の認知興味と好感度を獲得して、ファンを集めましょう。

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(店舗ホームページに信用レベルとフォロワー数が表示されます)

●タオバオマークを取得

タオバオの審査が通ると、マークが取得できます。マークは検索結果ページ、店のホームページ、商品詳細ページなど各所に表示され、訪問客の信頼を獲得できます。ここで重要な二つのマークを紹介します。

・一つ目はグローバルショッピングを意味している「全球购」です。

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(グローバルバイヤーのマーク)

「全球购」は、タオバオ初の海外商品取引サイトで、海外の高品質な商品を取り扱うタオバオC店の販売者が集まっています。

開店時間の長さやDSR(Detailed Seller Ratings)、扱う海外商品数といった要件を満たすと、自己申請でグローバルショッピング店舗にアップグレードできます。このパープルのマークをつけている店のバイヤーは海外現地で購入しているとみなされ、本物の商品を扱っているお店のイメージがつきます。さらに、アリババから大量のトラフィックももらえます。

・二つ目はゴールデンベンダーを意味している「金牌卖家」です。

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(ゴールデンベンダーのマーク)

サービスに定評のある販売者とみなされます。最も高いサービスレベルと、良質品の販売などがゴールデンベンダーの評価基準です。なお、ゴールデンベンダーである販売者は、商品到着後7日以内に理由を問わず返品・交換サービスを提供することを約束します。ゴールデンベンダーマークの獲得は自己申請ではなく、条件満たす店舗に自動的に与えられます。購買者にとっては安心できる店舗と言えます。

店側にとっては大量のトラフィック、専属セールの参加資格といったメリットがあります。

EC外シーディングーZ世代の心を掴むSNS情報発信

EC外のシーディング施策はは販売を伸ばすことにつながります。今回は膨大なユーザー数を持つ中国のSNSプラットフォーム「Weibo」と「Douban」を活用したマーケティング事例を概説します。

①Weiboで興味分野の情報を発信する

MaosouHouseは日本の二次元キャラクターグッズを販売する店舗です。公式アカウントはWeiboで15.5万のフォロワー数を持ち、タオバオ店のフォロワー数は76.9万人です(2021年8月時点)。ファンを集める秘訣は日本におけるグッズの最新情報を発信することです。「衝動買い」と「新しい物好き」という特徴のある中国の若者たち向けに、SNS上で未知のものと出会える環境づくりに注力しています。Weiboに商品購入のリンクが貼ってあり、「興味喚起」から「購入」へのルートを直結しています。

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(タオバオC店「MaosouHouse」のWeiboページ画面)

また、MaosouHouseは、公式チャットグループを運営し、顧客のリテンションを高め、一つの店でのリピーターをうまく作っています。

投稿がすべて販売品と密接に関係しているわけではなく、新商品や注目商品の生産決定などの情報もあるのがポイントです。それによって、アニメに興味がある人もフォローしています。 そしてその人たちは、何かの商品に興味を持ったら、まず「MaosouHouse」というショップを思い浮かべます。

②Doubanで共同購入をアピールする

上記の1点目は、中長期的な効果を図ることに対して、2点目は、短期的に売り上げを伸ばす方法です。施策としては、Doubanのコミュニティで宣伝します。

Doubanのユーザー数はWeiboやDouyinほど多いわけではありませんが、ユーザーのロイヤリティが高く注目する価値があります。プラットフォームには様々な興味コミュニティが存在していますが、その中に消費と直接関係する「共同購入」のコミュニティがあります。タオバオの仕組みでは、購入者から注文した後に価格を変更することができるため、共同購入専用の特別価格を注文後に設置することが一般的です。

共同購入の発起人が店舗と連絡を取る場合と、店側からKOLまたはコミュニティに連絡し、彼らは訴求点をコミュニティ内で発信する場合があります。これによって、短期的に売上を伸ばすだけでなく、店の評価を高めてより多くの顧客を引き付けることできます。

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(ある共同購入コミュニティーには6.9万人が集まっています)

中国では「SNS上の商品・サービスに好奇心が喚起され→買って見よう」という購買行動プロセスはECコマースに対して大きな役割を果たしています。

●タオバオのセールイベントをフルに活用

618、W11以外にも、タオバオにセールイベントは数多く用意されています。プロモーションイベントセンターで直近のイベントが見えます。参加資格のある店舗はイベントに参加することで膨大な無料トラフィックを獲得できるため、見逃してはいけません。

プロモーションイベントセンターでは、各種イベントのお知らせ以外にもプロモーション効果のデータも確認できます。この機能を日常的に活用しましょう。

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(プロモーションイベントセンター)

日本でも広く知られるW11セールはアリババのメインイベントで、Tmall店舗を対象としています。中小のタオバオC店はTmall店舗ほどプロモーションに膨大な金をかけるのが難しいため、このセールイベントではあまり注目されません。

W12セールは毎年12月12日に開催するW11の延長戦と位置付けられる販促イベントです。W12はオンラインとオフラインを融合するという特徴があります。オンラインではタオバオC店が対象となっています。例年は、イベントに参加したタオバオC店に通用できる200-20元クーポンを発行されます。タオバオC店はこのイベントにフォーカスして拡大を目指すというのも一つの手法です。

まとめ

タオバオC店を開設する際は、正規品を証明して新規客の信頼を獲得し、的確な顧客対応・返品対応でリピーターを増やすことが重要です。初出店で注目を集めるには、EC内外のシーディングと広告を活用し、中国消費者の認知度を拡大します。そこで、中国消費者は新製品に興味深い傾向があり、SNS上で商品に関連するホットな話題を作って、プレセールやサンプルを活用してスピーディに新商品をリリースすることがおすすめです。

タオバオC店や出店プロセスについてさらに詳しく知りたい方は下記アドレスよりご連絡ください。

メール: babel.biz_cn@babel.jp


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