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last letter

君が最後に残していってくれたのは、世界の姿でした。
この世界の姿でした。
自分というものでした。
そこに立ち向かうことの無力さと、無意味さと、それを問い続ける終わりなき時間でした。

部屋の窓からは、夕焼け空が見えます。
赤く燃えています。
これを赤く燃えていると表現するのでしょう。
この空は、私の虚しさに何を齎すのでしょう。
そんな自分勝手な私を見て笑っているのでしょうか。

何をしたっていいのです。
この空に落書きをしたっていいでしょう。
今すぐ眠りについたっていいのです。
嘘と、残酷さと、感謝と、涙と、同志と、一体何があれば人は生きていけるのでしょう。
何かを残したいという欲が、それを補完することもあるのでしょうか。

前を向くための前がどこにあるのかわかりません。
何でもいいの何でもがどこまでを指すのかがわかりません。

陽が暮れてきました。
これからやってくる闇の中に、希望と呼ばれる何かは、存在しているのでしょうか。

無実の君と無実の私が織りなす無色透明な世界は、その問いすらも、静かに、静かに、溶かしていくのです。

見ていただけたことが、何よりも嬉しいです!