カツアゲ

こんばんは。暑いですがお元気ですか。クーラーで冬を保っているため、わたしは元気です。
昔から何故か奇人にばかり話しかけられるので、昔起きた事件を書いていきます。

ひとに話しかけられやすいひと、話しかけられにくいひとっていると思うんですけど、わたしは圧倒的に話しかけられやすい側らしく。歩いてても道なんかをよく聞かれます。地元顔ってことでしょうか。

道を聞かれるくらいなら良いのですが、二度聞き、二度見してしまうようなこともありました。逆にナンパとか全然されないんですよね。変な絡み方してくるなら茶でも誘ってくれよ、と思うんですが。小分けにして今まで出会った戦士たちを紹介していきます。
今回はチンピラのおじさんのお話です。


梅酒で言うとまだ漬けたてくらいの若い頃です。バナナで言うと半分青い頃。ハンバーグで言うと生焼け。白いスニーカーで言うと履いて3回目。髪の毛で言うと切りたてで何となくまだ馴染んでない2日目。注ぎたてでコップの上で炭酸が弾けてるコカコーラ。あ、もういい?
とにかく路上禁煙法とかもなかった頃。
バイト終わりに立ち止まって一服していると、目の前をおじさんが通り過ぎました。ブルドッグのジャージみたいなのを着た、THE ミナミの帝王の雑魚キャラ、もし雑誌 極道があるならば、トップモデルの方かしら、みたいな見た目でした。


チンピラはすれ違ってすぐにオラお前の煙草の火当たったやんけオドレどないすんじゃとバチギレしてきました。繁華街のど真ん中で。
わたしは絶対に当たってないと確信があったので、当たってませんと言うと、服穴空いとるやんけオラァ!とキレて小さい穴を見せてきました。
コンペイトウみたいに小さくて可愛い穴でした。
今なら確実に謝ると思うし、この反抗に対しては何故?がつきまといます。多分一生。自分に対して嘘乙、と言いたいくらい疑わしい正義感です。


とは言えただならぬ空気感。彼は穴が空いたことを伝えたい訳じゃないことは、伊藤博文をつい先程まで「いとうひろふみ」だと思っていたわたしでも流石に分かりました。要するに金を出せと言われて、まあ当たり屋みたいな感じのカツアゲなんですかね。耳の裏からまだレモンの香りがするフレッシュなガールにカツアゲ。いくら出せと言われたかは覚えてないんですが、確か手持ちが2~3千円しかなく、財布の中を見せて本当にこれしかないので勘弁してくださいってお願いしました。男性に対する初めてのおねだりだった気がします。おねだり出来る女はいい女やで!あんたもおねだり上手(うま)なりや!ってよくキャバ嬢の友達が言ってました。わたしは子供の頃からいいよいいよのオンパレードだし、奢るよって前もって言われると遠慮して全然食べれないし、大人になった今でもそういう振る舞いが苦手です。


チンピラはいやいやナメるな、金ないんやったらウチ一緒にいこかと腕を引っ張ってきました。頭ん中パニック。不本意に腕を組まれてる間、(ウチってどこ?組事務所?組事務所ってやっぱドスとか飾ってあるんかな?あと熊が鮭くわえてるやつ。ガラスの灰皿とかあるんやろか。あと任侠って書かれた掛け軸とか?どうしよ。売り飛ばされるんかな。てかチンピラと腕組むことって人生でもうないんちゃん。何この状況?)とミナミの帝王で見た知識で頭の中がいっぱいになりました。


もう本当に勘弁してください、本当に勘弁してくださいと腕を組まれて駅に降りていく途中に何回も言って、チンピラはわたしが前半戦で見せた威勢の良さからは考えられない情けない後半戦の態度に少し半笑いで、最終的に財布の中身を全部もっていきました。わたしはお金を取られたにも関わらず、解放してくだすった安心感から有難うございました!!!!と頭を下げ彼を見送りました。その背中が人並みに飲まれて見えなくなるまで。お金って役に立つんやね、人生で一番実感した瞬間でした。みんなもお金は大事にしようね。今日は財布に1万2千円も入ってて、今なら腕組まれる前にお金いっぱい持ってます!!!!で回避出来そう。わたしも大人になったな。


次の日バイトに行ってこの事を話したら防犯ブザーをプレゼントしてくれたひとがいました。
1万2千円と防犯ブザー。
次があれば勝てるでしょうか。


終わりです。
読んでいただき有難うございました。

コーラ