激安スーパーの心得
私は長い間、ペーパードライバーである。
ゆえに普段からの買い出し等は、自ずと徒歩か自転車になってしまう。
徒歩の場合、買い物の量が多いと腕が引きちぎらる様な思いをしなければならないため、雨でない限り自転車を使っている。
最近、できた激安スーパー。
自宅からは少し遠く、自転車で行けない事もないのだが、わざわざ暑い思いをして行くのも億劫で行った事はなかった。
先日、諸用のついでに公共交通機関を使って初めて訪れてみる事にした。
激安スーパーでなくとも、普段と違う店というだけで心なしかテンションが上がってしまう。
店内はとても賑わっていて、カートを使うと逆に動きが制限されると考え、カゴを手持ちして店内を周る事にした。
とりあえず、絶対買い忘れないようにとメモをしてきた麺つゆを確認しに向かう。
すると、今までの底値を遥かに上回る激安ぶり。
ここでテンションがぶち上がってしまった。
すぐさま、カゴに1000mlの麺つゆ2本入れた。
この時点で若干、己の腕力の雲行きが怪しくなってきたのだが、高まるテンションのおかげであまり気にする事もなく次のターゲットへ。
素通りしようとした調味料類の中に我が家の必需品のダシが驚きの価格で鎮座しているではないか。
ヒュー!口笛こそ吹けないが、そんなぶち上げテンションで500g缶を2缶カゴへ追加。
スタートからだいぶ飛ばしてしまった。
ここでやっと生鮮食品を見に行く事としたのだが、左手に持った買い物カゴ。
もうこの時点で若干、私の体が重さで左下りになっているのを感じた。
ウィンナーや肉類、卵も普段行っているスーパーより安かったため、迷わず手が伸びる。
既にカゴはパンパン。
ふと我に返って考えれば、私はこれから、この大量の荷物を持って公共交通機関と徒歩で帰宅しなければいけないのだ。
しかし、安さには変えられない。ここは踏ん張りどころなのかもしれない。
そう自分を奮い立たせ、一つの商品も戻す事なく、レジへと進んだ。
大きなエコバッグを2つ使った。もちろん両方とも袋にぎっしり詰まっている。
店内を出れば、真夏の日差しが容赦なく私の体力とスーパーでの高テンションを奪ってゆく。
何度も何度も荷物を持つ手を持ち替えながら、何とか家路にたどり着いた。
逆に車で行っていたら、限界を超えた買い方をしてしまっただろう。
今度は気持ちも落ち着き、冷静に慌てずに買い物できるはず。
赤く跡が付いた腕と肩を眺めながら、次回のシュミレーションを思い描くのであった。
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