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テーマパーク苦手な私が、あの夢の国に行ってみた話


世界一有名なネズミさんがいる夢の国に、行ったことがなかった。
我が家で行ったことがあるのは、長男だけだ。
かつての養護学校の修学旅行で行ったのだった(保護者は付かない)。

私は乗り物に酔う。遊園地の遊覧船は言うに及ばず、コーヒーカップとか、メリーゴーラウンドとか。そして高所とスピードが苦手なので、テーマパークなどのほとんどの乗り物には乗らない。

だから、まったく興味もなく、話題になるたび一生行く場所ではないだろうなと思っていたけど、なんとまぁ、保護者会のお付き合いで、行くことになったのだ。
3年ほど前になるだろうか。関東甲信越圏の会議が年に2回程あって、それに参加した後、親しい4人で、立ち寄ることになった。しかも、秋の連休の中日である。
企画してくれた友だちは、年に何度も訪れるこの夢の国のツウである。


到着し、まず、人の多さに驚いた。なんじゃこりゃああああ!!!である。
で、とにかく並ぶ。なんでも並ぶ。
いつも、スーパーのレジ以外は、並んでまで買いたくない、食べたくない、見たくないほうなのでこれがとても辛かった。

連休の中日は、どのアトラクションも長蛇の列。大蛇の列だ。
それでもまあまあ列が短そうなところに行ってみる。

そこは、あのマウスさんの家だ。

並んで、ゆうに2時間は待った。
周囲の喧騒、目にするコスプレふうの若者、見渡す色とりどりな世界。
暮色が迫り、やがてとっぷりと夜になったが、ここは夢の国なのだ。
きらびやかなイルミと、賑やかな音楽。笑顔、うかれ顔、驚きの顔。声。

空気もなんとなくキラキラとしたものを含んでいて、現実からちょっと浮き上がってしまいそうな気分になる。
しかし入り口はまだ先だ。長い行列で足だけは地に付けて、現実にまみれている。
カップルや親子連れ、友だちグループ。列につらなってじりじりと進みながら、思い思いに過ごしている。

やがて、とうとうそのマウスさんのおうちに入れる時がきた。
玄関から入り、並んだままゆっくりゆっくり、部屋から部屋と進む。
家具調度品や雑貨類、家電?などみなユニークな色形をしている。


そうこうするうち、だんだんと私はめまいがしてきた。
なんじゃこりゃ?どうも気分がよくない。ふらつく。
渡り廊下のようなところでほっと一息つきながら・・・
あ、これは尺が違うからだ!と気が付いた。

白雪姫は小人の家に入って、めまいがしなかったかな?
私は白雪姫というより白髪ばばあ寄りだから、このバランスでは目が回る。

なんとなーく曲線を描く家具や家電、角の丸いものたち。
低い鴨居。ふっくらとした柱。うごめいてるような壁。
家全体が、息をしているような、胎内を巡るような、錯覚を覚えた。

ここ、早く出たい!なんかこわい。
私は閉所も苦手なのだ。


しかし、クライマックスが残っていた。
なんと、マウスさんとの記念撮影ができるそうな。
うれしいというか、あのー、・・・おばちゃん、早く外に出たいんだなー。
(ちなみに、今回の4人のなかで私は一番年少さん。みんなツワモノ。)

一緒に行った3人が撮り終え、私の番がきた。
どーするの?並んで撮るの?ピースサインするの?
いざ、世界的スターが横に来ると、どきどきするだけで勝手がわからない。

「はぐはぐ!」と友だちに急き立てられ、「は? ぐ?」
ああ、抱き着けということね、とわかった瞬間、マウスさんのほうから手を広げてくれた。
はい、ハグ!パチリ。撮れました。

へー、マウスさんって意外と華奢なんだ!という印象だった。
(帰ってから娘に「あの中の人、女性みたいだったよ」と言ったら、「おかあさん、それは口が裂けても言っちゃいけないことだよ!(笑)」と注意された。そーゆうものかぁ、失敬失敬(^^ゞ  )

ようやく脱出し、晩御飯を食べようとなったが、やっぱりどこも行列。
またも、なるべく短いところを選んで並ぶ。じわじわ進んでカウンターにたどり着くが、いろいろと勝手がわからない。
後ろを意識すると、モタモタしていられない状況だ。

マウスさんの顔の形の食べ物とか、綺麗な色のスナックとか、いろいろあるが高いな。
夢の国価格か。仕方あるまい、郷に入っては郷に従えって言うじゃないか。
何を買ったんだっけ?フレンチフライポテトだけは憶えている(笑)


食べ終えるといいタイミングで、行列が来た。
光と音楽にあふれた行進。
あれ、えーと、えーと・・・(いかん、名前が出てこないわ)

それを(;^_^A 間近に眺めながら、ああ綺麗だなぁ~とうっとりしていたけど、暗闇では人の波が、寄せては返していた。

その波をかき分けかき分け、ツウの友だちにあちこちと連れて行ってもらう。
数々のお土産ショップ、ちょっと休憩の喫茶店。

どこへ行くにも、人の大きな流れを横切ったり、逆行したり、迷いそうになったりした。
いやはや、この街で、きらびやかな光や色彩を見上げながら、足元無事に回遊するのは、なかなか難しい。


人の流れを横切ってバス停にたどり着き、また行列して帰りのバスに乗り、ホテルに到着する。
ツウの友だちが選んだホテルだけあって、今まで泊まったことのある数少ないお宿のどこよりも、清潔感があり、居心地がよかった。

ランド周辺からちょっと外れたところだけど、ここも周辺のホテル並みのレベルだということ。ランドをとりまくようにそういうランクがあるのも面白かった。


感染症が流行している今はないが、それ以前まで、毎年、長男が通う施設で春の総会があり、その後の懇親会では温泉に1泊するのが通例だった。施設の職員さんたち(医師、看護師、療法士、生活指導員、保育士、事務職といった、関わるスタッフのかたすべて)に感謝の気持ちをこめての懇親会なのだ。

みんなごちゃまぜでお酒をついだりつがれたりしている時間に、この〇ィズニーランドの話になった。たまに診てもらう先生が「僕は全く興味がなかったけど、一度行ったらやめられなくて。家族で毎年のように行きます。魔法にかかったってヤツですよね」なんてかわいらしいことを言っていた。

へーそんなもんかと聞いていたが、どうやら私は今回、その魔法にはかからなかったようだ。

夢の国の魔法は、かかりたいと願うからかかれるんだろう。
先生もきっと、噂に聞くその魔法にかかってみたかったのに違いない。


私がこの〇ィズニーランド行きで、一番印象に残っているのは、あの人の波だった。向こう岸に渡りたくても渡れない大河のような。
(こんなこと言ったら、連れて行ってくれた友だちには済まないけど。
でも私なりに、十分楽しめたことは間違いない。)
それと、言っちゃいけないようだけど、ハグしたマウスさんの細さかな。


*  *  *  *  *


・・・それで投稿直前になって思い出した、あの行進は

エレクトリカル・パレード✨✨

という名前だった!
目をつぶると、まだ鮮やかに見えている。

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