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メンタルヘルスマネジメントからの学び#2

メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種を目指して、覚えたこと、感じたことなどをアウトプットしていくことで、記憶の定着と自分の考えの整理をしていきたいと思います。なお、内容については間違いなど普通にあると思います。これを見て落ちても責任は取れませんので悪しからず。

第2回目は、まだ第1章の法制面での意義の話です。前回はこちら

第1章 メンタルヘルケアの意義と管理監督者の役割
2)法制面での意義

最初につまづくのがここだと思います。似たような法令やいろんな団体が出てき、正直をそれを覚えること=メンタルヘルス対策とは思えないうえ、法整備までの流れ、他の法令の定めを受けて作られたけど、原則を定めただけなので、具体的な規制については、政令・省令にゆだねられたりと、作った本人は華麗なパス回しと思っているかもしれませんが、私からすれば無駄な法令パスが行われています。

公法的規制(守って当たり前)
 経緯:労働基準法第42条「労働者の安全及び衛生に関しては、
  労働安全衛生法の定めるところによる」との定めを受け、
  1972年労働安全衛生法(安衛法)が「職場における労働者の安全と
  健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成を促進すること」を
  目的に制定。安全衛生に関する規制の原則を定める
 規制:政令・省令(労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則)による
 違反した場合は刑事罰
私法的規制(上記を守っていても、こちらを問われるケースがある)
安全配慮義務
 経緯:1975年民法上の不法行為責任ではなく契約責任をもとに最高裁が
  労働者の生命及び身体等を危機から保護するよう配慮すべき義務を
  負う「安全配慮義務」という概念を認め判例法理として定着
  2008年労働契約法施行され、5条に安全配慮義務が明文化
 履行:管理監督者
 判断基準:結果予見義務(危険予知義務)と結果回避義務
 違反した場合は、民事上の損害賠償責任を負う

労働災害(労災)

次に、業務に起因して労働者が負傷し、疾病に罹り、または死亡した際に登場してくる労働災害(労災)についてです。ここでも法令パスが^^。

災害補償責任(労働基準法(労基法))  労災の保険給付(労災保険法
 1.療養補償             1.療養補償給付
 2.休業補償             2.休業補償給付
 3.障害補償             3.障害補償給付
 4.遺族補償             4.遺族補償給付
 5.葬祭料              5.葬祭料
                    6.傷病補償年金給付
                    7.介護保障給付

労働基準法には災害補償責任の履行の確保を目的としており、労働者災害補償保険法(労災保険法)の規定に基づいて保険給付が行われます。
労災は労働基準監督署から労災の認定を受ける必要があり、その際に以下の2点の両方が認められる必要があります。

業務遂行性
 従業員(労働者)が企業の支配ないし管理下にあること
業務起因性
 業務にともなう危険が現実化したものと認められること

なお業務上疾病については、厚生労働省は2011年に「心理的負荷による指針障害の認定基準」(労災認定基準)を定めています。労働基準監督署長がこれをもとに業務上外の判断を行います。セクハラ、パワハラなどもこの判断基準で判断されます。
特にセクハラ、マタハラは、男女雇用機会均等法育児・介護休業法で措置義務が規定されています。パワハラは特別な法律はないようですが、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の提言で定義づけられました。ハラスメントによって労働者の権利が侵害された場合は、民法や刑法などの一般法が適用されることになります。

メンタルヘルス指針

ここでやっと登場したのが2006年発表の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」いわゆるメンタルヘルス指針(2015年改正)です。現在のメンタルヘルス対策を進めるうえで基本的な方向性を示したものです。(テストに出るよー)

この指針の基本的な考え方は、衛生委員会を立ち上げ、ストレスチェック制度に関する調査審議とメンタルヘルスケアに関する調査審議を関連付けて行い、「心の健康づくり計画」を策定し実施することです。メンタルヘルス不調を未然に防ぐ一次予防、メンタルヘルス不調を早期に発見し適切な措置を行う二次予防、メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰の支援等を行う三次予防が円滑に行われるようにします。
セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアの4つのメンタルヘルスケアが継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要です。そして、メンタルヘルスケアの推進に当たって、以下の4つに留意する必要があります。

a)心の健康問題の特性
b)労働者の個人情報の保護への配慮
c)人事労務管理との関係
d)家庭・個人生活などの職場以外の問題

具体的に進めていくためには、ラインによるケアは次のように進めると効果的とされています。

a)管理監督職への教育研修・情報提供
b)職場環境等の把握と改善
 1)職場環境等の評価と問題点の把握
 2)職場環境との改善
c)メンタルヘルス不調への気づきと対応
 1)労働者による自発的な相談とセルフチェック
 2)管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等による相談対応等
 3)労働者個人のメンタルヘルス不調を把握する際の留意点
 4)労働者の家族による気づきや支援の促進
d)職場復帰における支援

過重労働による健康障害の防止

次は過重労働による健康障害の防止についてです。いわゆる長時間労働ってやつです。長時間労働は対策の優先順位の高い課題で「うつ病」などのメンタルヘルス不調に強い関連がありますが、メンタルヘルスケアとは少し異なります。脳出血、くも膜下出血、脳梗塞などの脳血管疾患と心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患等(脳・心臓疾患)の予防対策となります。有名すぎる言葉に「過労死」というものがあります。これに加えて、精神障害に罹患し、これによって自殺に至ることを「過労死等」(2014年過労死等防止対策推進法)といいます。
対策としては、長時間労働者に対する面接指導(義務)と、面接指導(努力義務)というものがあります。それぞれ、労働安全衛生法に基準の数字があり、それを越える場合により上の面接指導を行うようになります。

面接指導(義務)
1週間当たり40時間の法定労働時間を越える時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であって、面接指導の実施の申出をしたものが対象
面接指導(努力義務)
面接指導(義務)以外の労働者であり、健康への配慮が必要なものについては、面接指導の実施または面接指導に準ずる措置を講じるように努めなければならない

さらに、過重労働による健康障害防止のための総合対策(2006年)として、事業者が講ずべき措置が定められています。

a)労働時間等の適正化
 時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進、労働時間等の
 設定の改善
b)労働者の健康管理にかかる措置の徹底
 健康管理体制の整備、健康診断の実施等、長時間労働者の面接指導等

ここまで色々な対策をしていますが、労働者のストレスの程度を把握し、労働者のストレスへの気づきを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防ぐ(一次予防)を主な目的として行うストレスチェック制度を利用して、対策の有効性検証を行います。PDCAのCです。
常時50人以上の労働者を使用する事業所は1年に1回実施義務があります。50人未満の事業所は努力義務です。(労働安全衛生法)
実施者は医師、保健師、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士などに限られ、調査票の選定、ストレスチェックの実施の企画及び結果の評価を行います。医師などは実施結果に対する守秘義務(刑法)を守りながら、実施結果については、高ストレス者への医師面接指導の実施、事業者は医師などの意見を勘案しつつ、実施者が集団ごとの集計・分析をした内容をもとに職場改善を進めるともに、健康情報の保護、実施状況の労働基準監督署への報告などやることがたくさんあります。これらの結果をもとに計画的に改善を進めていくことが重要となります。

自殺対策・アルコール依存対策

次は、自殺対策基本法、アルコール健康障害対策基本法となります。まあ、これは法令の内容がかいてあっただけだったので、特別ここに書くことはないのですが、ポイントとして受け取ったのは、業務による心理的負荷によって精神障害を発病した人が自殺をした場合は、労災認定されるということ。企業としては対策必須です。
自殺は、個人的な問題として捉えるのではなく、社会的な取り組みとして実施されなければならないとして、企業は国、地方自治体や医療機関などの関係者の連携協力が必要となります。企業の社会性も問われることになります。

障害者・精神障害者の雇用

そして、法制面で最後となるのが、障害者・精神障害者の雇用についてです。企業には、障害者雇用率に相当する人数の身体障害者・知的障害者の雇用が義務付けられています。精神障害者(精神障害者保健福祉手帳を持っている方)は雇用義務対象ではないですが、雇用率に算定することができます。民間2.0%、国・地方公共団体、特殊法人等2.3%、都道府県等の教育委員会2.2%の雇用率があり、未達の場合は、不足1人当たり毎月5万円徴収されます。超過1人当たり月額27,000円が支給されます。また、障害者を受けれるための各種助成金が用意されています。障害者にも職業の安定が図らるように法整備が進められています。

(追記)精神障害者の雇用は2018年義務化されています。民間2.0⇒2.2%、国・地方公共団体、特殊法人等2.3⇒2.5%、都道府県等の教育委員会2.2⇒2.4%にそれぞれ引き上がっています。更に2021年以降はさらに0.1%ずつ引き上げ予定とのこと。また、これにともない従業員を50人以上⇒45.5人以上雇用している事業主が対象となっています。2021年以降は43.5人以上になるので、注意が必要です。
あと、厚労省のページを見ていて知ったのですが、障害者の範囲が少し柔軟な感じだったので、メモしておきます。

障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています(短時間労働者は原則0.5人カウント)。
ただし、障害者雇用に関する助成金については、手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの方も対象となり、またハローワークや地域障害者職業センターなどによる支援においては、「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象となります

まとめ

突然ですが、私の実家では、障害者の自立支援をやっています。障害者が自立するためには仕事があるということがとても大事です。世間から孤立することなく、障害者も健常者も分け隔てなく暮らせるように世の中になることを願っています。そのためには法整備だけでなく、健常者の考えも変わっていくといいなと思います。障害者の「」に関しても賛否両論あります。障害者、障碍者、障がい者と色々な表記をされますが、現状の正式は障害者です。そして、こんなことが叫ばれています。

2006年に国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」に示され、日本でも2014年に批准された「社会モデル」は、社会こそが「障害(障壁)」をつくっていて、それを取り除くのは社会の責務であるととらえています。この「社会モデル」の考え方に基づいて、あえて「害」という言葉を隠してほしくないという意見が、障害者団体から上がっています。

現状、障害者に優しくない社会であるが故のことだと思います。
まずは一人一人が障害というものに自然と向き合える世界観を作っていけたらなと、最後の部分を見て改めて思いました。


カスタマーサクセスの必要性と、トークンエコノミーな未来におけるコミュニティのあり方を考えます。ってだけではないですが、ざっくばらんに気になったことnoteします