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意外と去っていく人が多い東京

東京の新築マンションの平均価格が8000万円を超えました。


2012年にはまだ5000万円台だった(それでも十分高いですが)価格が、上がり続けて何と8000万円台になり、さらに上がる可能性があるようです。
ちなみに全国の平均は5000万円くらいです。

原因として低金利政策、外国人投資家による購入、マンション供給数の減少などがあるようで、所得や資産によって異なるとは言え、正直ちょっと普通の感覚では買えない額になっています。

特に都心のタワーマンションなどの高額物件は、高い年収または多くの資産を持った人々が値上がりをもくろんで購入しまた別のお金持ちが買うという、投資対象となっていることが多いようです。


東京から周辺地域への移動


それとは別に、近年の混雑回避やテレワーク化をひとつのきっかけとして、東京から周辺の県へ人口の移動が起こり始めています。


条件のいい新築にこだわらなければ中古でも良い物件は多いですし、テレワークで駅近を希望する人が少なくなっている状況から、郊外に住むことを考える人は増えていくだろうと思います。

特に価格が高い東京23区から、神奈川・千葉・埼玉・茨城に移動していて、私の周りでもそういう動きを多く見かけるようになりました。
千葉県流山市が人口増加数で全国1位になったのがその象徴です。

そうやって移り住んだ人は、都内の物件と比べ明らかに条件のいい戸建てに移り住んでいて、低コストで新築やリノベーションによるよい生活環境を手に入れているようです。うらやましいですね。

ちなみに我が家は都内の価格高騰が顕在化する前に購入したので、郊外の快適な暮らしにうらやましさを覚えつつ、価格が上がる前に買えてよかったという二つの気持ちを持ってこの状況を眺めています。


東京から去る理由と残る理由


私は生まれは東京近郊で、都内の出身ではありません。
学生の時に都内に通い仕事をし暮らし始めたという経緯で、実家からの距離は違いますが、上京した人たちと共通する部分があると思っています。

そしてこれまで自分の周りで東京にやってきた人を多く見てきましたが、現在も残っている人、地元に帰った人、別の場所に移った人がいて、十年以上のスパンで考えたときにいくつか分かったことがあります。


ひとつは、10年から20年またはそれ以上の期間となると、意外と東京に残る人は多くないということです。

東京に一度来たらもうずっと暮らし続ける人が多い気がしていましたが、自分の知っている範囲では思ったよりそうでもありません。
若い頃には経済的に苦しくて東京を離れた人がいましたが、今はむしろその逆、ある程度の成功を収めて離れる人が多い印象があります。

その成功の基準は、推測ですが経済的なことよりもその人がやりたかったことができるようになったという風に見えます。
スキルや仕事を手にした、結婚し家族を持てた、やりたいことが見つかったのでそれがしやすい環境に移るなどです。

おそらくその目標の実現のため若い時に東京の中心部にやって来て、ある程度の達成が見えたとき、その後の人生を考えて地元に帰ったり、東京とは別の適した場所に移ったのではないかと思います。


もうひとつは、結局東京を好きな人が長く居続けるということです。

東京出身ではない場合、地元という拠り所がないため常に生活基盤を更新しなければならない不安定さがあり、大都市ならではの常に次に来る新しいものを吸収し続けなければならない面倒くささがあると思います。

私は最初賃貸の狭い暮らし、しかも昭和の木造アパートからスタートし、何とか少しずつ積み上げて今は最低限の場所を確保出来てはいます。

(今思うと昭和のボロアパートにたった1年半ほどでしたが住めたのは貴重な体験で、毎日が行き当たりばったりでお金もなく苦しい思いもしましたが、本当に楽しかったです)

今でもここに根を張って不動の立ち位置を確保できた気はしませんが、そういった常にぐらつくように感じる足元を気にしない、むしろそれを面白がれるタイプの人が残っている気がします。


都市の生活に必要なもの


東京は、自分の目には好きなものは無限にある場所、普通じゃないものが当たり前に存在する場所、平穏に生きていくには少々不安定な、移り変わりの激しい場所だと思います。

特に20代のような若い時期は、すべてのコストが高く競争相手が非常に多いため、よほどの実力やコネ、運などの力がなければ盤石な仕事や生活基盤などは築けません。


そしてそういった基盤を容易に手に入れられない自分を含むほとんどの人は、長い時間の労働に耐える体力や不安と依存に負けない精神的な強さが必要で、それらは中途半端な知能や学歴よりはるかに重要であり、そういったものを持っていなかった人々が東京から去っていきました。

さらに時間が経つと、暮らしの快適さや自分に適した環境を求め外の地域に移動する人が増え、また減っていきました。

少し寂しい気もしますが、その分新しいものもやってくるわけで、そういった変化が常にあるのは面白いと思います。




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