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キョコロヒーという変わった番組

ゴールデンウィークの最終日の5/7に、毎週月曜深夜にやっている「キョコロヒー」というテレビ番組のライブイベントがありました。

去年に続いて2回目で、深夜番組のイベントとしては異例の5000人もの観客を集めて行われました。
私はライブ配信で見ることができましたが、ファンにとっては3時間ずっと面白いという素晴らしいイベントでした。

キョコロヒーは、今やテレビのバラエティで大活躍のヒコロヒーとアイドル日向坂46の齊藤京子の二人で進行する番組で、その変わったトークが面白いと徐々に人気が高まり、6月にはゴールデン特番も行われます。

私は番組開始してあまり間がない頃からこの番組を見て、なんか変な番組だなと思いながら気づいたらファンになっていましたが、どういった点に興味を惹かれるのか解説してみたいと思います。


① ほどよい知る人ぞ知る感


ヒコロヒーはバラエティなどでよく顔を見るのでご存じの方も多いと思いますが、いつの間に出てきたんだろう感がありちょっとした謎を感じます。
明確に「○○で売れた」というものがない印象です。

もちろんだから面白くないというわけではなく、女性ピン芸人として十分に活躍していますが、彼女が本領を発揮していると感じるのはラジオです。
「トーキョー・エフエムロヒー」という番組での彼女はお酒、音楽、旅好きの一面も見せていて、他にない個性的なキャラクターだと思います。

また齊藤京子は坂道アイドルの主力メンバーとしてその界隈では十分に有名ですが一般層には広がっていない状態で、同じ日向坂46で今一番有名な影山優佳と比べればその差が分かると思います。

ただ、この番組ではよくあるアイドル的キャラではなく「謎に物言いがはっきりした若い女」という独自のキャラを発揮していて、その意外性がコアなファンに刺さりやすいのではないかと思います。


② かつての深夜番組を思い出させる雰囲気


キョコロヒーはトークとVTRで構成されていて二人が好き勝手にしゃべっていることが多いですが、普通はアナウンサーなどが傍らで進行役を務めるところを裏方の番組Dが行うという変な構成となっていて、さらにVTRも思いつきで生まれた感じのさまざまな企画が続きます。

ひとことで言うと緻密じゃないざっくりとした感じで、面白いけどそれほど完成度は高くないと感じます。

ただそれらを見ていると、だいぶ昔の深夜番組を思い出させ、テレビが一周回った感というか原点回帰的な印象を受けます。

私は昔深夜番組が好きで90~00年代の番組はけっこうチェックしていて、「ぷっすま」とか「くりいむナントカ」、あと極楽とんぼのふざけた番組などをよく見ていました。

芸人さんやタレントさんが深夜に本当に好きなことだけをやっているような番組が多く、当たりはずれは激しかったがとても面白かったのを覚えていて、キョコロヒーもそういった番組と同じ香りがします。


③ バラエティのセオリーを崩した進行


私は見る側に解釈の余地を残さない番組というのが苦手で、例えば「さあこれがオチですよ、笑って!」みたいな典型的な話のまとめ方をするのは、強引さが目立ってしまいあまり好きではありません。

同様に、話がうまくまとまらなかったときに起こる「オチなんだからもっとうまくやれよ!」みたいなイラっとした感がある内輪の突っ込みも、笑いを強いられている気がしてちょっと引いてしまいます。

キョコロヒーはあまり完成度が高くない分ゆるい空気がただよっていて、バラエティのお約束のようなパターン化された受け答えや誘導がなく、見る方が好きに見ていられる感じがあります。

齊藤京子はお笑いの素人ですがある種個性的過ぎる語彙力と瞬発力があり、誰も予期しない意外な方向へその場の空気を持っていきますが、それをヒコロヒーが見守りつつ全部拾って進行するという掛け合いが見どころです。

この二人を自由なままにさせてあげている製作陣がとても素晴らしいのは間違いありません。


ゆるい深夜番組は意外と少ない


コスパやタイパといった功利主義的な態度がエンタメ世界の評価にも使われるようになったのは最近だと思いますが、確かにそのような基準があれば全体の質が上がりハズレを引くリスクを低減することができます。

しかし深夜番組というヒマつぶし目的のニッチなコンテンツにまで効率を求めてしまうのは、視聴者である我々が普段の日常であまりにもそのような評価に晒されすぎていることによる弊害と言えるかもしれません。

今や貴重と言えるこのキョコロヒー的なゆるさが少しでも広く認知され、これからも長く楽しませてもらえたら、ファンとしてこれほどうれしいことはありません。




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