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恐竜元年:起

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その星は生きている星 小さく、青く、強く、か弱く 愛しい約束に抱かれ、優しい記憶を抱いて、 暗闇に眠る、美しい星……
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2020年8月の記事一覧

恐竜元年:始まりの三日間の物語

06:ヴァシェとミササギと雷竜のトゥシ北三屋敷の一つ、バードル・ダブスの屋敷も夜を迎えてい…

片桐継
4年前
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恐竜元年:始まりの三日間の物語

07:タツマとユェズと棗(なつ)と蒔(まき)朝が来ている。聞こえてくる街の喧騒と瞼に降る陽の眩…

片桐継
4年前
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恐竜元年:始まりの三日間の物語

08:キユラ・奥羽とロード・奥羽と六郎佐エルデスの北、ロード・奥羽の屋敷はいつもの華やかさ…

片桐継
4年前

恐竜元年:始まりの三日間の物語

09:ダブスとトゥシとヴァシェとミササギ大地からすっかり顔をのぞかせ、頂へと登り始めた陽が…

片桐継
4年前

恐竜元年:始まりの三日間の物語

10:ユェズとタツマと棗(なつ)蒔(まき)曰く「朝っぱらから歓迎の宴会もちろん酒抜き」と称され…

片桐継
4年前

恐竜元年:始まりの三日間の物語

11:独楽(こま)とスグリムと碧(みどり)起きたばかりの陽光が頂点を目指して上り始めていた。「…

片桐継
4年前
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恐竜元年:始まりの三日間の物語

12:アーシェント・祥子と皇帝とアンナトリア妃エルデスの全てを統べる皇帝は、空へと向かい切り立つ崖をくりぬき、その頂上に置かれた殿堂で多くの者達に傅かれて暮らしている。皇帝の居、エルデス宮は正門である貴族街の白き門から内部に入り、頂上の殿堂までの通路が網の目に張り巡らされ、自然の洞窟を生かして人の手で掘り抜かれた難攻不落の要塞といえた。いくつかの広間に皇家の居室、地中の奥には議会の間があり初見が迷うことは必須、その上、人工の灯の路を抜けた先に現れる頂上の部屋は、たどり着くまで

恐竜元年:始まりの三日間の物語

13:六郎佐とスグリムと独楽(こま)「紅い髪に黒い瞳、それだけがアーシェントの手がかり、か」…

片桐継
4年前
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恐竜元年:始まりの三日間の物語

14:タツマとユェズ――誰? 薄明かりの中、誰かが自分を呼んだ気がする。タツマはふと目が覚…

片桐継
4年前

恐竜元年:始まりの三日間の物語

15:アトル・アトリウム・エルデス気がつくと、彼は星の降る空にいて、その都市を見下ろしてい…

片桐継
4年前
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恐竜元年:始まりの三日間の物語

16:タツマとユェズと棗(なつ)と蒔(まき)「おはようございます」 今では慣れた朝の下宿の食堂…

片桐継
4年前
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恐竜元年:始まりの三日間の物語

17:バードル・ダブスとロード・奥羽とヴィクトリアス・シージップ「この都市は多くの民を受け…

片桐継
4年前

恐竜元年:始まりの三日間の物語

18:タツマとユェズとアトル皇子とショウ・韻二人の竜の厩はすでに宮廷の裏庭の隅に据えられて…

片桐継
4年前

恐竜元年:始まりの三日間の物語

19:蒔(まき)と華奈とヴィクトリアス バタバタとその門弟はシージップ邸へ走りこんでいた。宰相である師が午前の会議を終えた後、午後からの講義で新しい章の解説をすると前から判っていたというのに、落ち着きの無いこの男は通常運転で時間ギリギリになっていたようだ。 「ちょっと待ったぁ!」 講義室へ続く廊下の扉を閉めようとする下女に叫ぶと、一気に飛び込む、が、無常にも閂は真一文字に走り、彼は直前で見事に重い巨木の扉に遮られていた。 「勘弁してくれよ……」 拳で、コン、と軽く木の扉を叩く