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【トピックスレポート:第14回】ファッション×メタバースの未来

こんにちは!B.O.Mの竹内です。

B.O.M(ボム)は音楽ストリーミングサービスの楽曲URLなどを一つのリンクで管理・分析できるサービスです。

B.O.Mのnoteでは、月に2本程度音楽やマーケティングについてのトピックスを紹介しています。

第14回は「ファッション×メタバースの未来」です。

企業によるメタバースのマーケティングへの導入は現在あらゆるところで目にすることができますが、中でもファッション業界では大胆な挑戦が近頃頻繁に行われています。
一見双方のユーザーのインサイトは重なっていないようにも思える「ファッション」と「メタバース」ですが、どのようにしてその両者を効果的にマーケティング活動に活かしていくことができるのでしょうか。
3月末に開催されたMetaverse Fashion Weekを例に、その今後の可能性について考察を行っていきます。

Metaverse Fashion Week

3/28から3/31の4日間、名だたるハイブランドが参加するMetaverse Fashion Weekが開催されました。
稀に見る大規模で開催されたこのイベントはメタバースとファッション業界の未来と可能性を示唆する非常に興味深いものとなっています。

Metaverse Fashion Weekとは?

Metaverse Fashion Weekは、ランウェイショー、アフターパーティーやショッピングなどを没入的なメタバース空間で体験できる、60 を超えるブランド、アーティスト、デザイナーが参加した画期的なイベントです。

今までパリやミラノ、ニューヨークなどでショーケースイベントを行っていたファッション業界がバーチャル上でボーダーレスに一堂に会する歴史的な機会となりました。

プラットフォーム

メインのプラットフォームとして用いられているのがDecentralandです。

3D仮想世界のブラウザーベースのプラットフォームでユーザーはイーサリアムブロックチェーンを使用する MANA 暗号通貨を介し、NFTとしてプラットフォーム内の仮想土地を購入することができます。

実際の取り組み

Tommy Hilfiger
シンボルであるTH のモノグラムや定番のジャケット、トミーヒルフィガーの赤、白、青のブランドカラーが、さまざまなスペース全体に使用されました。

デジタルファッションNFT、Web3 アーティストのVinnie Hagerのアートワーク、ARによる仮想試着サービス、フォトブース、AIファッションクリエイションコンテストなど非常に豊富なサービスを提供しました。
また、DecentlandのみならずRoblox、Spatial、DressX、Ready Player Me の主要なメタバースプラットフォームを一つにまとめたhubをローンチすると発表し、プラットフォームをいくつも掛け合わせ相互運用性のあるマルチメタバースを可能にしています。

Balenciaga
ファッションデザイナー、Lorenzo Riva のスケッチからインスパイアされたバレンシアガの最も有名な作品のいくつかをウェアラブルなNFTとしてローンチ。
女性のためのフェミニンらしさ溢れるドレスシルエットをメタバースで確立したコレクションは期間中メインプラザで販売されていました。

Diesel
Diesel はNFTを販売する HAPEと提携を結び、Decentralandのファッション地区の中心にD-CAVEスペースを展開しました。
NFTの象徴的なシリーズBoredApeとコラボし、ゲストリストに参加することでメタバース内で着用可能なNFTが貰えるほか、ファッションパーティーに参加する権利を得ることができます。

今後の可能性

ファッション業界×メタバースの可能性

ファッションは実際に見て、着て楽しむものであり、バーチャルでの運用は難しく感じられる点もありますが、ファッション業界がメタバースを活用するのには次のようなメリットがあります。

環境負担、コストの削減

実際の服生産に比べデジタルに移行することでCO2排出量が97% 、1アイテムあたりの水の消費量が約3,300リットル削減できることがわかっています。更に、企業の設計および開発段階で物理サンプルをデジタルに置き換えることで、ブランドの二酸化炭素排出量をなんと 30% も削減できることを示唆するデータも存在しています。
デジタルファッションは、近年問題になっているファッションの環境負担を劇的に改善する可能性を持っているのです。

クリエイティブの拡大

実際の布やパーツを使わずにデジタルで制作するため、現実世界では作れないような素材やデザインをデジタルで反映することができ、クリエイティブの幅は大きく広がります。
また、ブランドを通してだけでなく個人でデザインを制作し、NFTのブロックチェーンを通して販売ができるため、より多くの人が気軽にメタバースを通して服のデザインや販売を楽しむことが可能になります。

グローバル化

消費者は自分にとって都合の良い時間と場所で服を試着し、物理的な形式または NFT として仮想ストアから衣服を注文して世界中のどこからでも物理的な配送を処理することで、ブロックチェーンで永久に所有権を維持できます。
こうした場所や時間の制限を無化する試みは、よりグローバルなファッションシーンを生み出していく可能性をも示唆しています。

おわりに

今回はメタバースにおけるファッション業界の展開の可能性についての考察を行っていきました。
メタバースでの成功例はまだあまりないものの、ファッション関連のNFT販売はさまざまなブランドで多くの利益を上げています。AdidasやNike、GucciなどはNFTの販売を通して2022年には1億ドル以上(日本円にして1300億円程度)の利益を得ていることを公表しています。
また、バレンシアガはfortnite、ラルフローレンは韓国のメタバースアプリZepetoとコラボしプラットフォーム内のスキンとしてweb3上のファッション展開を行なうなど、さまざまなプラットフォームを用いてターゲットへのアプローチを図っています。

現実と仮想の間のギャップが縮小し、Web3 が新しい技術の進歩をもたらすことで消費者に提示される選択肢として今後さらにメタバースが持つ重要性は上がりファッション業界に大きな影響を与えるかもしれません。

今後もB.O.Mのnoteでは、本件のような音楽・マーケティング業界におけるトピックスについての発信を行っていく予定ですので、ぜひフォローしていただけますと幸いです!
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