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ピロウズ短歌まとめ その1(2023年1月〜2月)

今年に入ってからツイッターで、the pillowsの楽曲をモチーフにした短歌「ピロウズ短歌」を作って定期的に投稿しています。

きっかけは、酒に酔った状態で短歌本を読んだことで、ぼんやりと自分もやってみたいなと思ったからです。適当に好きな音楽を基に作ってみると(クオリティはともかく)そこそこの数が出来ました。
そして僕のツイッターにはピロウズのファン・バスターズがたくさんいるので、ピロウズにまつわる短歌を作れば見てもらえるかな、といった目論見のもと、ほとんど見切り発車でスタートしました。(そしてその翌日、新型コロナウイルスに感染してしまいました。)

ここでは今まで投稿したピロウズ短歌を、ちょっとした解説も添えてまとめていきたいと思います。前述の通りthe pillowsの楽曲をモチーフにしているのですが、曲の歌詞以外にも僕個人の解釈や記憶、思い出などを詰め込んだ歌もあります。

たくさんまとめ過ぎても長ったらしくなってしまうので、2ヶ月分の短歌をまとめていこうかなと考えています。今回のは1~2月に投稿した短歌です。曲のリンクは張り付けませんので、YouTubeや各種サブスクを利用しながら読んでもらうのも一興かもしれませんね。the pillowsを知らない人も、これを機に興味を持っていただけたら嬉しいです。

前置きが長くなってしまいましたが、ゆっくりお楽しみください。


キミの夢 今朝もまぶたが濡れていた 冷たい空に揺れる芥子の花
(『ONE LIFE』より)

いちばん初めに投稿したピロウズ短歌で、いちばん好きなピロウズ曲です。学生時代に何度か、「夢の中でこの曲を聴いていて泣きながら目が覚めた」という経験をしたことがあり、その記憶を上の句にのせました。いきなり個人的すぎる思い出をぶち込んでますね…。


不揃いで曖昧なまま僕たちは星々の花に見惚れてただけ
(『Please Mr.Lostman』より)

個人的に3本の指に必ず入る好きな曲。間奏後のラストサビの歌詞をググッと詰め込んだつもりです。ただ偶然集まって空を見上げていただけのような場面でも、「よかった」と胸張って言える思い出がたくさんあると思うんですよね。孤独で惨めで美しい、希望の曲だと思っています。


"生きる"とは、絶えず枝葉をのばすこと 木陰の淵で神の手に触れる
(『Dance With God』より)

実は僕が初めてライブで聴いたピロウズ曲です。2016年、ふくろうずと東京カランコロンとのスリーマンライブでの1曲目がこれでした。歌詞を見ると、何となく「木」のイメージが浮かんだんですよね。年輪って単語が出てくるし、世界遺産=屋久杉?的な安直なものですが。サビの歌詞とうまく意味を繋げられたような気がして、結構満足しています。


風にさらされたいつかの傷跡も歌にしてキミの窓を叩こう
(『傷跡の囁き 誰もいないパラダイス』より)

1月はピロウズの再現ライブツアーが終盤に差し掛かっており、その主題アルバムのひとつ「ペナルティーライフ」から一首作りました。同アルバムの中では景色が想像しやすく、いちばん作りやすい曲でした。句またがりが上手く出来ると気持ちいいです。


逆境で歪んだ姿も「僕」だから刻み続ける夢の足跡
(『GOOD DREAMS』より)

再現ツアーvol.4のもうひとつの主題「GOOD DREAMS」から、表題曲で一首。これは横浜のツアーファイナルを観終わった直後に作ったもので、個人的にその日のハイライトとなった曲でした。
大人になって色々嫌な経験をして、気力も熱意もほとんど持てなくなってしまったけれど、それも紛れのない自分自身だ。まだ倒れてはいないので何かが出来るかもしれない。ライブ中にこの曲を聴きながら、「お前が本当にやりたいことは何だ?」と、さわおさんに問われているような感覚がありました。外に向けて何かをやっていれば、人生は自然と前に進んでいくことを信じたいです。


群衆の野次、暴動が鬩ぐなかオレが断頭台に立つ夜
(『BAD DREAMS』より)

同じくアルバム「GOOD DREAMS」収録のインスト曲。原案自体は、上のグッドリよりも先に出来ていました。インスト曲を短歌にしたら面白いだろうな~という軽い気持ちで。しかし最近、旅行先のホテルで改めてこの曲を聴くとより深みを感じて、もっと練り直すべきだったなと若干後悔しています。インストで短歌は難しい…。


キミもあの子もアイツらもこの僕も隠れ家で待つ誰かのしるべ
(『THAT HOUSE』より)

風が吹き抜けるようなサッパリとした曲調に、不思議な歌詞が乗った特徴的な歌。キミ→僕→彼→キミと、登場人物がループしてるんですよね。上の句が雑っぽく見えてしまったかもしれませんが、誰もが誰かを必要としていて、かつ必要とされているんだぜ、といった解釈です。


トゲトゲの尻尾も切れない生き物に僕を重ねて手を取り合った
(『ストレンジ カメレオン』より)

説明不要の名曲。歌詞に出てくる「ストレンジカメレオン」を、自分に重ねて救われた人ってたくさんいると思うんですよね(僕もその中の一人です)。ピロウズとバスターズ、またはバスターズと別のバスターズが手を取り合うイメージで詠んだ、正真正銘バスターズのための短歌です。


暗闇を抜けて心を取り戻す フットワークはまだまだ軽い
(『トライアル』より)

2月は精神的に調子が悪く、一度だけピロウズ短歌の投稿をお休みしたことがありました。しかしその翌日にNHKの番組「プロフェッショナル」で歌人の俵万智さんが特集になっていて、短歌遊びをやっている身としてそれを視聴しました。僕は短歌はド素人だけど、生活や言葉に対してストイックな気持ちが伝わって心が震え、視聴後にこの『トライアル』が聴きたくなりました。そこからこの短歌が出来て、ツイッターに投稿するまでの流れは一瞬です。
「明けない夜明けに旅立つ」ってすごい行動力だなぁ、と思って生まれたのが下の句の言葉です。僕が会社を休職していた時、これはチャンスだと思っていきたい所へ思いのまま行動していたことを思い出しました。まだまだ身軽でありたい。


1月と2月はこんな感じです。今も引き続きピロウズ短歌を投稿していますので、次は3~4月分を5月頃にまとめる形になると思います。このnoteもツイッターも、たまたま通りがかった人たちの娯楽になれば幸いです。


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