ゆっくり茶番劇の商標登録について
40代弁理士の石川です。「ゆっくり茶番劇」という商標が登録されたということを息子から聞きました。これについて、良い題材なので、すこし考えてみたいと思います。
※重要告示※「ゆっくり茶番劇」商標使用に関する要綱 (ガイドライン) 動画版 #ゆっくり茶番劇 - YouTube
どうやら、柚葉企画という会社が商標登録を取ったようでした。
にしては、リアクションのコメントにおいて、反対の意見が多いのが、少し気になります。
特許庁での出願経過を確認します。
どうやら、審査において拒絶理由が出ることなく、一発登録となったようです。
どうも、息子の話だと、従来からそういう「ゆっくり茶番劇」のコンテンツ市場は、当該商標登録出願以前からあったようでして、そうだとすると、当然に当該動画配信の役務の普通名称となりますから、そもそも商標法3条1項1号違反の可能性があるかもしれません。また、いわゆる記述的商標にも当たる可能性が高いため、商標法3条1項3号違反の可能性もあるかもしれません。
なかなか、このような新しい若者文化のようなものは、特許庁でもすべて把握しきれていないと思うので、登録となってしまうことも多いかと思います。審査するのは、たぶん、私と同じく、昭和生まれの人間ですから。
さらに、ちょっと気になるのは、柚葉という方の権利行使のタイミングが、異議申立期間の2月を経過後になされている点です。なかなか知財のことを良く分かっているな、と妙に感心してしまいました。
そうすると、権利者以外の方で、「ゆっくり茶番劇」の登録商標を指定役務に対して利用したい方は、権利者に対して年間使用料を支払うか、あるいは特許庁に対して商標登録無効審判(商標法46条)を請求しなければならないことになるかと思います。
商標登録無効審判の請求には、除斥期間がありますから、商標権の設定登録日から5年経過前までに請求しなければならないことになります(商標法47条第1項)。
商標登録無効審判は、利害関係人であれば個人で請求することもできますし、弁理士に依頼して請求することもできます。
いずれにしても、今後の動向から目が離せません。
いまどきの若者にとっては、重要なコンテンツらしいですから。
ジジイは子供から聞いて初めて知った次第です。
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