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第16回:Chat GPT、YouTubeを使った英語の発音の練習法

こちらのマガジンでは、近年世界では英語をアメリカ人やイギリス人といった英語ネイティブ話者のように話す必要は必ずしもなく、私たちのいわゆる日本アクセントでも内容がクリアに通じれば全く問題ない、むしろ日本アクセント、中国アクセント、ドイツ・アクセント、スペイン・アクセント(や英語が公用語であるシンガポール・アクセント、インド・アクセント、ケニア・アクセントも含めて)というのは個性でありなおす必要はとくにないものというトレンドになってきていることを何度かご紹介しています。

一方で、発音は別です。これを各国の人が勝手に作り出していくとお互いに何を言っているのかわからなくなってしまうため、各音声の発音はできるだけ正しくしていくのが王道です。

といっても日本語は世界の言語の中でも発音の種類が少ない言語であり、私たち日本人が外国語学習の発音部分においてハンディキャップを負っていることは読者の方でもご存じの方は少なくないと思います。

それがChat GPTやYouTubeの学習動画の登場で状況が変わってきており、こちらの記事では、Chat GPT、YouTubeを用いて英語の発音を学習する方法についてご紹介します。


1.それぞれの発音と学習の優先順位を確認

1.1. まず最初に練習しておきたい発音は

英語の発音をパーツにわけていくと主なものはざっと50程度あるよう

ですが、最初に発音を覚えて練習しておきたいのは、

Lの発音(発音記号:l
Rの発音(発音記号:r
Fの発音(発音記号:f
Vの発音(発音記号:v
THの発音①(発音記号:θ(カタカナの「ス」のような音))
THの発音②(発音記号:ð(カタカナの「ズ」のような音) )

の6つです。

この6つはカタカナ英語と実際の英語の発音がかなり異なるため、オンライン英会話教室などでなにかしらの発音レッスンを受けたことがある方にとってはおなじみのポイントかと思います。

一方でTHの発音( θ 、ð )は実際の会話の中できちんと発音するのは日本人にとって至難の業という気が筆者にはしており、無理に正しく発音しようとしてもそこで音が途切れたり会話のリズムが変になってしまったり、そちらを意識しすぎることで話す内容に頭がまわらず流暢に話すことができなくなってしまうため 、実は筆者はいまだに実際に英語で会話をするときは θ 、ð をそれぞれ「ス」、「ズ」といっています。

ちなみに英語の発音記号に苦手意識を持っており自分は発音記号を覚えるのに向いていないのではと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、発音記号が難しいのではなくこれまでの学校教育において真剣に教えられていなかっただけで、ほぼ全員が苦手意識を持っているので心配せずこの機会に1つ1つきちんと覚えていくのがよいと思います。

1.2. 次点で練習しておきたい発音は

次に、上記のR、L、F、V、TH( θ 、ð )の6つの発音の次に練習をする優先順位が高いと思われる発音11個をご紹介します。

正直ここ以降は全部カタカナ英語でも問題なくビジネスの現場で通じるものの、この11個はきれいに発音できるとかなりスマートな英語を話しているように聞こえる、学習のリソース対効果が高いものです。

æ:「ア」でも通じるものの、æ、ʌ、ə の中で一番特徴的な音でかつカタカナの「ア」からの距離が遠い(筆者自身はきちんと発音できているか今でも怪しいです)

əːr
:「アー」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

ər:「アー」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

ɔː:「オー」でも通じるものの、ou(オゥ)との違いがあることは覚えておきたいところ

ɪər:「イアー」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

eər:「エアー」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

ɑːr
:「アー」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

ɔːr :「オー」または「オァ」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

uər:「ウァ」または「ウァー」でも通じるものの、日本人が自然に発音できない r の音を微妙に含んでいるため一定程度練習した方がベター

:「チ」でも通じるものの、とくに語尾の tʃ は特徴のある音なため一定程度練習するときれいな発音になる

ʃ:「シュ」でも通じるものの、これも特徴のある音のため一定程度練習するときれいな発音になる(ちなみに筆者はつい1年くらい前まで、"she"の発音( ʃiː )を"sea"の発音( siː )で発音していました)

1.3. 一応どこかの段階で軽く学習して、感覚で言えるようになればラッキーと思うくらいでいいと思われる発音

ʌ:通常「ア」で通じるが、確実にカタカナ英語との違い自体は存在する

ə
:通常「ア」で通じるが、確実にカタカナ英語との違い自体は存在する

ʌ と ə の2つは2番目に優先順位が高い11個に含めるか迷ったのですが、練習しても母国語の発音の種類が少ない私たち日本人にとってはなかなか習得に時間がかかるものになるため、がんばって練習して上達せず英語学習自体のモチベーションが低下することを恐れて優先順位3としました。

筆者自身、現時点ではこの2つを正しく発音できているかは怪しいです。

1.4. ネイティブ・レベルを目指す段階での学習でいいと思われる発音

以下の発音はカタカナで問題なく通じるため、英語を8,500時間くらいは学習してさらに高みに登る(ついにネイティブ・レベルに到達することを目指す)段階で学習するくらいでよいかと思います。

筆者個人は、これを学習するのであれば人生もっと別なことに時間を使うのがよい気がします。(個人個人の趣味の問題ですが、実用性はあまりないと思います。)

i:通常「イ」で問題なく通じる
:通常「イー」で問題なく通じる
ɪ
:通常「イ」で問題なく通じる
e
:通常「エ」で問題なく通じる
ɑː
:通常「アー」で問題なく通じる
p
:通常パ行で問題なく通じる
b
:通常バ行で問題なく通じる
m
:通常マ行で問題なく通じる
t
:通常タ行で問題なく通じる
d
:通常ダ行で問題なく通じる
n
:通常ナ行で問題なく通じる
k
:通常カ行で問題なく通じる
g
:大抵は「グ」で問題なく通じる
ŋ
:通常「ング」または「小さいン+グ」で問題なく通じる
:通常「ジュ」で問題なく通じる
s:通常サ行で問題なく通じる
z:通常ザ行で問題なく通じる
ʒ:通常「ジュ」で問題なく通じる
h:通常ハ行で問題なく通じる
w:通常ワ行で問題なく通じる
j:通常ヤ行で問題なく通じる

2.YouTube動画で発音を練習する

2.1. 個別の発音を練習する

たとえば私たち日本人が自然には発音できない発音としてよくでてくる「R」と「L」の発音について、YouTubeで

r l 発音

と検索すると、「R」、「L」の発音について実際に発音の仕方を教えてくれる以下のような動画がでてくるので、こちらでそれぞれの発音をどのようにするのか自体を知って、練習していきます。

筆者は2021~2022年に集中的に発音の改善に取り組んだ際に、主に

サマー先生と英会話!

『あいうえおフォニックス』英語発音

Yumi's English Boot Camp

で発音を練習しましたが、今はさらに多くのチャンネルから発音の練習をできる動画がでているかと思います。

自分が楽しく練習できるチャンネル・動画で練習するのが一番ですが、いくつか発音の練習をできる動画を第17回の記事でまとめました。

2.2. リンキング(発音の連結)を学習するなら"Rupa sensei"一択

リンキングとは、前後の単語の発音をつなげることです。

たとえば、

I'm a big fan of the Yomiuri Giants.

アイム ア ビッグ ファン オブ ザ ヨミウリ ジャイアンツ。

と発音するのではなく、

アイマ ビッグ ファノブ ザ ヨミウリ ジャイアンツ。

と発音することをいいます。

リンキングの練習をするなら、YouTubeチャンネル「Rupa sensei」の「この英語聞きとれるかな?」シリーズ一択です。

「この英語聞き取れるかな?」シリーズでは、ルパ先生がリンキングのポイントを教えてくれてそれを練習するコーナーが頻繁にあり、Rupa senseiについていけばとくに過度に集中する必要もなく自然にリンキングが身に付いていきます。

筆者が覚えている限り中学、高校と英語の授業でリンキングを習った記憶は全くないのですが、もし読者の方も少し前の筆者と同様にリンキングになじみがなくても、Rupa senseiの「この英語聞き取れるかな?」シリーズであればなんの抵抗もなく自然にリンキングが身についていきます。

日本の英語教育システムの文句を言う必要もない、すごい時代です。

3.音読用スクリプトで発音を集中的にトレーニング

それぞれの発音をどのように発音するかが一通りわかったら、あとはひたすら練習(発声)するのみです。

こちらのマガジンでは、それぞれの発音を集中的にトレーニングするための音読用スクリプトを定期的にご紹介していきます。

気になる発音があれば、ぜひ試してみてください。

4.Chat GPTとのQ&A千本ノックでの音読

集中的にトレーニングをして一通り慣れた後は、筆者からのお薦めはこちらのマガジンでもご紹介しているChat GPTとのQ&Aセッション

においてChat GPTが出力した英語の文章を音読する学習方法です。

これまでの英語学習方法が英語が身に付くスピードが遅かったのは自分の関心が低いことがらを読まされたからで、自分が今そこでQ&Aした相手が話した(出力した)内容を読み上げると、自分が関心のある単語、表現、構文がふんだんにはいっており、発音のみならず音読している間にそれらにも気を配るのもありかもしれません。

できればほぼ毎日、時間がとれなければ週に数回でもこのトレーニング(音読)を定期的に行うようにすれば、目にみえて発音は改善していきます。

注意:発音よりも「流暢に話す力」の方が優先順位高!

一方で、こちらのマガジンでは定期的にトピックにだすようにしている通り、英語を流ちょうに話せるようになるために一番大切なトレーニングは英語を流ちょうに話すトレーニングそのものであり、基礎レベル、初級から中級を目指す段階の前半くらいまではあくまで自分が(Chat GPTに向けて)話す時間の最大化(およびより多くの単語、表現方法、正しい文法の学習)の方が、発音よりも優先順位は高いです。

発音の練習に割く時間はほどほどにして、流暢に話す力をあげるトレーニングにつかれたら、リラックスする時間枠として発音の練習にはいるなどがよいかもしれません。

まとめ

私たち日本人は学校教育で英語の発音やリンキングを(真剣に)教えてもらえませんでしたが、Chat GPT、YouTubeがあれば発音の壁は全く高くありません。むしろ簡単で、学習に時間をかけすぎないようにしましょう。

Chat GPTとのQ&AセッションにおけるChat GPTが話した(出力した)内容の音読をはじめ、音読を地道におこなう習慣がつけば目にみえて線形で上達していきます。

上達が目にみえるので、やる気をなくして途中でやめてしまうリスクも小さくなってきています。

音読を続けることで、「覚える」というよりはカタカナ英語の方を自分が忘れてしまうイメージです(その意味では、冗談ではなく年配の人ほど発音は上達が早いかもしれません)。


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