古田武彦『古代史の十字路 万葉批判』https://www.nanshin-lib.jp/WebOpac/webopac/searchdetail.do

豊穣な歌の世界を体感できる一冊
万葉集の成立は8世紀、記紀と同じころである。万葉集成立前に、長年にわたって伝えられてきた歌の数々に対して、疑わしい前書き・あとがき・題詞がつけられている。古代人が詠んだ歌を書き換えることはなかなか難しいが、前書き、作歌者、作歌場所を変えることはたやすい。とすればまずは歌をそのままにして、付帯情報を疑ってみるべきである。しかし江戸時代以来、付帯情報を頼りに歌の文字を改変したり、歌の解釈を牽強付会にすることがまかり通ってきた。それらを拭い去ると豊穣な歌に出会える、そういう本である。

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