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【バスケのデータ分析論文紹介】Evaluating Micro-Actions in Basketball Using Deep Feature Representations of Spatio-Temporal Data

こんにちは

つい最近、バスケのデータを利用した分析に関する論文の存在に気づいたため、今後つらつらと紹介していこうかなと思い始めた私です。

バスケのデータを分析した論文や書籍、ウェブページなどの紹介記事というのを中々見かけないので、その領域を拡充できればと思っています。

今回は下記論文

概要

一般的なスタッツ分析では評価が難しいMicro-Actionsを評価する手法を開発。
トラッキングシステムで得られたデータを元にディープラーニングを利用することで評価を行う。

※Micro-actionsとは、チームのオフェンスやディフェンスを遂行する際の個々人の動きを指していて、例としてはスクリーンやパス、バックドアカットなどです。
※トラッキングシステムについてはこちら、ディープラーニングについてはこちらを参照してください。

目次と主な記載内容は下記の通り

1 INTRODUCTION
└導入と論文の概要の説明
2 BACKGROUND AND RELATED WORK
└先行研究のレビュー
3 PROPOSED METHOD
└利用している分析手法の説明
4 EXPERIMENTS
└分析の結果を元にした具体的な実践例
5 CONCLUSION AND DISSUSSIONS
└まとめと今後の展望

分析の対象

2016-17のレギュラーシーズン750試合分。
(トラッキングシステムでデータを取れているもの)

分析内容

大雑把に言うと、下記の通り。

試合の各場面での得点期待値をディープラーニングで算出。

T1というタイミングでの得点期待値(P1とする)と、T1の後に来るT2というタイミングでの得点期待値(P2とする)から、P2-P1を計算

T1とT2の間に起きたプレイ(スクリーンやパスなど)を抽出し、得点期待値の変化と照らし合わせることでプレイの質を評価する。

※P2-P1が正の値ならプラス評価、負の場合はマイナス評価
※出場選手によって同じプレイでも価値が変わるため、出場選手の違いも加味しているそうです。

ちょっとイメージしづらいと思うので、論文中の具体例を紹介します。

画像1

例えば上記の画像では、左側の画像のタイミングでは得点期待値が1.07でしたが、オフボールでO4選手がO5選手のスクリーンを使い、O3選手からパスを受け取りました。その結果、得点期待値は1.07から1.28に上昇しました。
そのため、これらのMicro-Actionによって得点期待値が0.21上昇したと考えられます。

※具体的な分析手法とその実装は難しいので*1、興味のある人は3章や4章を見てもらうとよいです。
ダウンサンプリング行ってたり、利用しているニューラルネットワークの内容を説明していたりするので、機械学習に興味関心のある人は面白いかも。

興味深い点

個々のプレイの価値を評価するという点では、プラスマイナスやPERのような、最終的な結果から選手の価値を分析する手法とは真逆のアプローチですね。BOX SCOREを突き詰めた一つの形という印象です。

また、2019年の論文ということで、トラッキングシステムを利用した最先端の分析の事例でもあり、取り組んでいるレベルの違いを認識させられます。

また、バスケに特化した分析手法ではないため、流動性が高い、他のチームスポーツ(サッカーやアメフトなど)にも応用が期待できるらしいです。

紹介は以上です。
こういった文献紹介記事は継続的に行っていこうと思うので、面白い文献をご存じの方がいましたら教えていただければ幸いです。


文献紹介記事のまとめリストです。
本論文以外にも読んだものをまとめているので、ぜひご覧ください。

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*1
私自身も機械学習をかじってはいますが、英語だと理解するのが難しかったです。。。

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