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バスケのデータ分析オンライン講座第8回 ~異なるリーグの選手の比較方法など~

こんにちは。

アメリカのバスケのデータ分析オンライン講座について、前回は第7回の講義のまとめを行いました。

今回は第8回の内容の振り返りや感想を記載していこうと思います。
今回は一つのテーマに絞った話ではなく、参加者から質問されたトピックに対して回答する回でした。
そのため、複数のトピックが紹介されているので、興味のある箇所をご覧いただければと思います。

次の試合に向けてどのような分析などをしているのか

組織体制

  • どのような分析をしているかはチームによって異なる

  • 例えばコーチングスタッフと分析組織がどのような関係になっているか

    • コーチングスタッフの出張(アウェイの試合)にも同行するケース

    • レポートや分析結果を共有するだけのケース

次の試合に向けた分析の概要

  • 次の試合の準備としてやっていることを、NBAのケースで話す

  • 前提として、試合の日程が詰まっていて、次の試合までの時間が短いため、準備できる量はそれほど多くない

  • それを踏まえて重要になるのは準備のための下地を作っておくことで、それは大きく2つのことを意味する

    1. 分析に使うツールをオフシーズン中に作っておく

    2. シーズン中にどのような意思決定をしたくて、そのためにどのようなデータが必要になりそうかを、オフシーズン中にコーチ陣とすり合わせる

  • 講師がいたチームでよく行っていたのは、対戦相手に関するstandardなレポートを作ること

    • 項目例としては下記

      • 自チームと相手チームの4 factors比較

      • 具体的なマッチアップ分析

        • どこのマッチアップが有利になるかなど

      • 個々のプレイヤーの強みと弱み

    • 作る際に、明確な解説や注釈も記載している

      • 単純に数値を乗せるだけではなく、このデータからこのようなことが読み取れるという解釈まで書く

      • 時間が迫っているコーチがデータの海に溺れないように適切にガイドするという考え方

    • プレーオフでは対戦相手が固定されていて、分析する時間が確保できるので、より深く分析を行っている

      • 自分たちや、自分たちに似たチームとの試合を分析するなど

ふと思ったけど、ある日時点でのスタッツを再現できる機能があるとイメトレに使えそうですね。
(例えば10節終わった時点での結果を見て11節の試合のイメトレするみたいな)
これがあると、11節の結果も使って、次の試合の準備として何を見るべきかを議論しやすくなりそう

NBAの分析組織はどのようなものになるか

  • スポーツ組織でデータ分析をしている160人に、今後3年間でスポーツ分析は成長するかと聞いたらほぼ全員がyesと答えた

  • MLBは他のスポーツに比べて分析の活用が進んでいるので、ロードマップとして参考になる

    • スタッフ面では、データエンジニアやデータアナリストやデータサイエンティストが複数人いる

    • データエンジニアはデータが適切に利用できる環境を整えて、データサイエンティストは選手評価やトレード分析で様々なモデリングを行う

    • データアナリストは、分析組織と他の部署を適切につなげるのが重要な役割になる

      • すべてのデータで高度なモデリングをする必要はないが、それについて理解をした上で分析結果を共有できるようにする

      • バスケに関しても、エンジニアやサイエンティストに比べてドメイン知識を持っておく必要がある

異なるリーグの選手の比較の仕方

  • サンプルデータで説明

    • サンプルデータのGoogleスプレッドシートはこちら

  • リーグGでxという成績だった選手AがリーグHではyという成績だった。。。というデータを集めて推測できるようにする

  • シンプルにx→yの比率を集計して係数を作るのがシンプルなやり方

  • xとyの値を、それぞれリーグGとリーグHの成績の分布で標準化して(x’, y’と置く)、x’→y’の比率を集計するという方法も共有された。分布の標準偏差が異なるケースでメリットがあるらしい

実際に出してみましたが、成功率に変換すると極端な値になるのと、シンプルなやり方との違いは今のところ分からずです

その他細かいトピック

良い分析組織を持っているチームについて

  • セルティックス・キャバリアーズ・ホークス・シクサーズ・ラプターズが良い分析組織を持っている

    • 特にラプターズはPlayer Developmentがとても優れていて、分析組織もそれの一助になっているらしい

    • また、Player DevelopmentはNBAでもまだ未開拓の領域で、その中でデータが選手のためのロードマップ作成などに寄与するだろうと考えている

選手とのコミュニケーションについて

  • 選手によってデータを活用した改善を好むかは異なる

    • シェーン・バティエはデータを積極的に活用していたり、一部の若い選手は4factorsなどのような指標に慣れ親しんでいたりする

    • しかし、多くの選手にとっては、プレーの流れの中で考えるのに慣れており、データを使ってしっかり止まって考えるのはあまり快適ではない

  • おすすめは、コーチングスタッフから選手にデータ分析の結果をかいつまんで伝えてもらうこと

    • ショットセレクションが悪い選手に対して、シュートチャートを見せて、どこから打つのがその選手にとって良いのかを、スタッフを交えて伝えるなど

  • 選手のパーソナリティを理解して、どこまで伝えるかを考えることも必要

NBAでのデータ分析官のキャリアについて

  • 今のNBAでは、データ分析官のキャリアパスは少しずつ整備されていっている

    • データ分析官からスタートしてGMになるなど

  • 一方で、データサイエンス領域で働くなら、スポーツ以外の業種で働いたほうがお金が稼げるのも事実

    • 過去に、チームのインターンに来ていた学生(統計学専攻の院生)がとても優秀だったので、卒業後にオファーしようとした

    • しかし、オファーした額は55,000$で、彼なら他の会社で3倍ほどはもらえる状況だった(結局彼は関係のない会社に就職した)

  • お金を気にせずにスポーツでデータサイエンスをしたいと考えていて、かつ優れたデータサイエンススキルを持っている人はとても少ないので、現状だと難しい問題となっている。

感想

今回はいろいろなテーマについて概論的に話しており、リーグ間の選手比較を除けば、分析スキルの一歩手前の話(組織体制や分析結果の活用の仕方)が多かったかなと思います。
ここらへんはNBAに限らず、B.LEAGUEなどでも共通の要素にも感じられ、謎に親近感みたいなものが湧いていました笑
キャリアや分析組織周りの話は、以前にNBAの採用要件をまとめた際にも言及しているので、もしよければご覧ください。

また、今回の講座の振り返りをSports Analyst Meetupというイベント(リンク)で発表させていただきました。
その時の発表資料が下記になります。
講座の概要や感想などにご興味ある方は是非ご覧ください。
(いくらかかったのかなども載っています)

講義のまとめは今回が最後になります。
回ごとに異なるトピックを扱っているので、下記マガジンから興味のある回をご覧いただければと思います。


最後に、ここまでお読みいただきありがとうございました!
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